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灰色の世界  作者: 羽雪
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プロローグ

赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤。

女子トイレの個室に広がる鮮明な色と鉄の匂い。

手首から流れ出てくるこの世界で唯一の色。その色に私は少し安堵する。

ああ、痛い。

でもそれが酷く正しいことに思えてしまう私は、異常なのだろう。


世界が、灰色にしか見えない。






灰色の世界

作/羽雪





【プロローグ】

私はここに転校してきた。両親の再婚と引っ越しの為、夏休みがあけて一週間ぐらいたった頃に。

私は幼少期からの癖でいつものように愛想笑いをしてしまう自分に苛立ちながら毎日を過ごしていた。

嫌われたくない。

その感情が人一倍私は強かったと思う。いや、強かった。

母子家庭で育ったのだが母親が厳しく、小さいときから私が何か失敗すると殴ったり蹴ったり外に出して鍵を閉めたりしていた。

愛されていたはずだ。だって、私が何もしなければ母は優しかったのだから。

でも、私は頭を撫でられたことや抱き締められたことなんて数えられるほどしか記憶に無い。

母は本当に私のことを好きだっただろうか?そんな考えが今でも頭によぎる。

お前は嫌われている。そう誰かが頭の中で叫んでいる気がする。

そして私は嫌われ、白い目で睨まれ、殴る蹴るなどの暴行をされ、汚い言葉で罵られるのが怖くなった。

好かれたかったから笑って、その人が好きそうな会話をふり、必死にいい人をしていた。

でも、

「死ね」

擦れ違いざまにかけられる言葉。日常茶飯事な出来事。

結果がこれだ。

どういう経緯でこうなったのかはよく覚えていないけれど、私は何もしていない。

『転校』『音楽の授業をサボる』……そんなことはあったけれど、少なくともあいつらには何もしていない。

なのに理不尽にもかけられる言葉。

怖い。

敵意を向けられた恐怖を私はその時初めて知った。


そんな毎日を私、天宮 栞はすごしていた。




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