特定
大人たちの中に裏切り者が存在していることはわかった、しかし誰だ、誰なんだ
「ああぁわっかんねぇ……」
俺は頭を抱えていた
「和楽、一旦休憩しようよ、頑張りすぎだよ」
「ああ、すまねえ、葉、でもたらたらやってると必ず裏切り者が察してやってくる、先手を打つしかない……そのためには一刻も早く裏切り者を炙り出さないと……」
葉は俺の頭を叩いた
「ちょ、何すんだよ葉!」
「和楽が倒れたら元も子もないでしょ!!みんな和楽を頼りにしてるのもあるけどもっと私たちも頼って欲しいの!」
「和楽にいちゃん、おいらたちはもっと頑張れるよ!だからおいらたちに作戦をちょうだい!必ずやってみせるから!」
俺はすごく自分に悲しくなった。
どこかでみんなを見下してたのかもしれない。
もっとみんなを頼って、みんなで社長を叩き潰すんだ、これは、俺たちの戦いなんだから。
「………みんな聞いてくれ、今日は琴美さんの指示に従ってくれ」
「わかった、和楽、お前は休め。
さあ!琴美、俺たちに指示をくれ!」
「え、えぇ!?ちょっと和楽!アタイそんなの聞いてないわよ!あんたなに考えてるのよ!」
急な司令塔任命にあわてふためく琴美
「琴美さんにしか頼めないんだ……頼む!俺はすこしオーバーヒートした頭を休めるよ」
「そっか………あんたずっと根詰めて頑張ってくれたもんね、いいわ!アタイに任せなさい!」
「ありがとう、琴美さん……」
そう言って俺は部屋の奥で横になって寝た………
ーーーーーーー
目が覚めると朝だった。
「ごめんみんな、寝すぎたみたいだ」
「大丈夫よ和楽、あなたの体が元気になったなら!」
「ああ、葉、心配かけたな、すまねえ」
「で、琴美さん、現状はどうなった?」
「ああ、裏切り者の目星は付いたよ」
「どうやって付けたんだ?」
「肉声でシャット国の軍と通話してる声が聞こえたんだよ、録音済みだよ」
「それは誰だ?」
「その声は調子の出してくれたデータと重ねると鳳 敬、総理大臣の息子さんと98%一致したのよ」
俺の予想した人とは違ったので驚きであった
「それならかなり怪しいな、裏をとろうか」
「それが調子と灸太がダメって言ってくるのよ……」
なぜだ、もう確定しているだろう、灸太はまだしもあの調子までも止めるのはなにか理由があるのか、聞いてみるか
「なあ、調子、なぜダメなんだ?」
「ああ、それには理由があるよ。通話が聞こえたのはトイレかららしいんだけど、この通話時間の管理室の監視カメラを見てたんだ。そしたら管理室にいたんだよ、鳳さん」
「なんだと、ちょっとその映像もう一度見せてもらえるか?」
「いいよ」
監視カメラを見ると、そこには確かに管理室の真ん中で寝てる鳳さんの姿があった。
いったい誰が犯人なんだ?誰を疑えばいいんだ?
「で、録音したのは誰だ?」
「私よ」
手を挙げたのは、染子だった。
「ちょっと聞かせてくれ」
「いいわ」
そして録音機を流した染子、そこからは確かに鳳さんの声が聞こえてきた。
「このコスモス園に元日本国側の職員がいる、ただちに排除する」と
一体どういうことだ?
確かにトイレからは鳳さんの声が聞こえるが鳳さんは管理室で寝てる。更に音声一致率が98%ってのも気になるし………
一応灸太にも聞いてみるか
「灸太、どうして鳳さんを捕まえちゃダメなんだ?」
「だってまだ確実じゃないじゃん!例えば鳳さんの声を誰かが真似したとかそういう可能性もあるじゃん!」
俺ははっとした
「そ、そうか灸太!ありがとう!!ナイスアイデアだ!」
そうだ、その可能性を考えてなかった!見えてるようでなにも見えちゃいなかった!
しかしこれで裏切り者探しは振り出しに戻ったわけだ、ここからどうするか、だな…………