炙り出し
部屋に集合する俺たち9人の子供
「和楽にいちゃん!作戦会議しようぜ!」
灸太は目を輝かせている
「いや待て、その前にすることがある」
「なにするの?」
「すまん灸太、今回は少数で活動したいんだ、だから今回は我慢できるか?」
俺がこう言ったのは、少数で活動するとかどうとかではない
問題は灸太は何かと声が大きいところだ
もし国家の犬が潜んでいた場合、盗聴器でも仕込まれていろ、全て筒抜けになり作戦の意味がない
それと、国家の犬を炙り出すのに大多数で動くと気付かれるのは目に見えている
「わかった!頑張って和楽にいちゃん!」
「おう!」
そうして俺は調子と琴美さんと幹太さんを廊下に呼び出した
「和楽、一体何が気になるってんだ」
「馬鹿ね幹太、わかってんでしょ和楽」
「ああ、このコスモス園の職員の中には国家の犬がいるかもしれない、もしいるんだったら、俺たちの部屋に盗聴器ぐらい仕込まれてても当然だろ?幹太さん」
幹太さんはハッとして、作戦メンバーの中で唯一わからなかった自分自身を悔やんでいた
「で、和楽はどうして私まで呼んだ?」
調子はにやけながら聞いてきた
「わかってると思うが、盗聴器を見つけるために調子の知識とラジオを借りたい」
「そう言うと思って持ってきた」
調子は持っているラジオを俺に渡してくれた
「どうやるのか教えてくれ、調子」
「えっとねー、このFMラジオを使ってやるんだけどー、あ!灸太ー」
「え?なんで灸太を呼ぶんだよ」
「作戦に必要なの」
「そうか、なら呼ぶか、灸太、ちょっと来てくれ」
「なになに和楽にいちゃん!やっぱり俺の力が必要になった!?!?」
「あぁ灸太、お前の力が必要だ!」
「なんでも言ってよ!」
「調子の指示を聞いてくれ、いいな?」
「わかった!」
「調子、いつ頃調整が終わりそうだ?
「もう終わる…………よし、準備はできたわ」
調子はラジオを弄り始め、こう言った
「灸太、普通の声でいいから部屋の真ん中で声を出し続けて」
「わかった!」
そう言って灸太は部屋の真ん中で「あー」とずっと言っている
調子はラジオの周波数のダイヤルを回し続ける
するとラジオから灸太の声が聞こえ始めた
「ビンゴね」
「流石だ調子」
「灸太ー次の指示だ、調子の言うことをよく聞くんだ」
灸太は声を出し続けて疲れたのか静かに頷いた
「灸太、今から部屋の指示する場所で小さめの声を出して欲しいの、頼めるかしら?」
「うん!わかったよ調子ねーちゃん!」
そして壁際、ベッドなどいろんな場所で試し、最後の場所、机の周り
すると灸太の声に最も近い音がラジオから聞こえて来た
「ここね」
「ああ、後は俺たちに任せろ」
幹太さんと俺はすかさず机を調べ始める、すると
「なぁ和楽、これなんだ?」
幹太さんが机の裏から見つけたのは
盗聴器であった………………
大人の中に、裏切り者がいる!!