第一話 接触
はじめまして。
この文章を画面に表示していただきありがとうございます。
どうにか、考えている通りにゴールまで行こうと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
夕日が地平線に沈む頃、崖の下の小さな洞窟で少年は一人立ち尽くしていた。
「なんだ、行き止まりじゃないか...」
目の前には岩壁。
ところどころに何かの鉱石が露出している以外は何の変哲もない岩壁。
「これじゃ、すぐに奴らがきちゃうよ...」
突如、村を襲った立派な鎧の襲撃者たち。
彼らは前触れもなく現れ、前触れもなく村人たちを襲っていった。
少年は命からがら逃げだし、今に至る。
「はは、でももう逃げられないよ...」
ぺたり、とへたり込んだ少年のはるか後ろから、金属が擦れる音が響く。
逃げ込んだ方向から見つかるのも時間の問題だろう。
この洞窟は村から離れているとはいえ一本道だ。
道中に追手を惑わすものなど何もなかった。
「僕、ここで死んじゃうんだな...」
少年が諦観を抱き始めた時、
<おい、お前、聞こえるか?>
頭の中に響くように、若い男の声が聞こえた。
「だ、誰?」
見回しても誰も居ない。
人が二人入ったら窮屈に感じるほどに狭い洞窟で、その声はひどくハッキリと少年に届いた。
<なぁ、助かりたいんだろ?>
尚も響く声に、少年は此処が何処か、ようやっと思い出す。
ここは禁忌の洞窟。村人は誰も近付いてはいけない、魔物の穴...。
「助かるの...?」
<俺の言う事聴きゃ、助けてやるよ>
震える少年の問いに、声は含み笑いを込めて返した。
「居たぞ!ここだ!てこずらせやがって!」
背後で、奴らの声が聞こえた。
少年が振り向くと、鎧を着込んだ襲撃者が三人。
そのうちの一人が、へたり込んでいる少年の腕を掴んだ。
ミシリ、と少年の腕が悲鳴をあげる。
「っ痛...」
<おやおや、野蛮な奴らだこと>
また声が響いたが、襲撃者たちは気にかけることもなかった。
襲撃者はぐいぐいと大人の力で少年を引き摺っていく。
<で、さっきの話だが>
<お前、助かりたいんだろ?>
身体に響く激痛の中、声だけがはっきりと聞こえる。
「助かりたい...」
襲撃者に聞こえぬよう、ぼそりと呟かれる言葉。
<なら、俺と契約しようぜ>
洞窟の奥から、声が響いた。