第一章 第11話 試しに一戦交えてみた結果・・・ その14
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「わ、かりました。松田さん・・・タン?」
「ま、ただの松田でも良い」なんかちょっと恥ずかしそう兜ををそむけて言う。
しかし、黒炎の八脚馬に乗った黒鎧フルプレートの騎士に対して「松田さん(タン?)」て呼ぶの、結構、抵抗ある。
違和感がパない。
「で? 君は?」
「あ・・・ええと・・・」
え?ホントの事、言う?
言うべき?
恥ずかしいんだけど。
でも、多分向こうも自分の名前恥ずかしいと思ってそうな感じだったな。
いや、でも、ぶっちゃけ男が『世界のヒロイン、キューティールナー』よりはすごくマシだと思う。
松田さんタン(?)てあだ名はともかく、見た目がめちゃめちゃ良いし、長い名前もダサいかどうか判別つかなくてケムに巻けそう。
逡巡していると
「で、私は、君のことは、なんと呼べば、いいのかね?」と詰めてきた。
「ええと、ビ、ビビ、ビッグ・ザ・ブドーでお願いします」俺は慌てて答える。
噛みながら言うほどのもんでもなかった。
そして、俺とビッグ・ザ・ブドーとの共通点 → → → 剣道の面。
なんでかなー。
偽名でももうちょっとなんかあったろうに、なんでか脳内で言語中枢に革命が起こってしまったよ。
ゆで先生?
脳内を覗くと暇そうなレスラーたちがキン肉◯ン限定モノマネ大会をしており、本能マンがマスクに星を描いて「ペンタゴンのマネ」。
そして便意マンが剣道の面を被って「ビッグ・ザ・ブドーのマネ」とかやってた。
暇してやがったな。
こいつらの所為か・・・。
無意識に俺の言語中枢に影響を与えやがって・・・。
「なるほど、えーと、んん?
ビ・・・?
うん。ビビビの・・・ブドウだな?」
お か し な 改 変 さ れ た ー っ !
「うん。覚えたよ。
アルカトピアの平和のために、どこかで会ったら、またよろしく頼む。
ビビビのブドウ君」
ビビビのねずみ男みたいに言わないでください。
「あ、名乗り合ったなら、握手だな」
「そ、そうなんですか?」
そんな風習しらんけど。
騎士は重そうな鎧を意に介ざず、軽々と馬から飛び降りた。
ん ん っ ?
下馬するときに・・・プレートメイルの腰に付いている、スカートのように長いタセットがめくれて・・・。
なんか・・・色白なふとももと・・・パ、パンツ見えたような・・・。
黒い・・・縞パンが見えたような・・・。
見間違い?
いやいや、俺のパンチラエクスプローラー能力に見間違いはない!
ちょ、ちょっとまって? ちょっと混乱。
エロマンが水色ではなくあえて黒ラインなのがイイと言っているが無視。
あれ?
女の人?
女の子?
男の子かと思ってたけど、そう言われたら、少し声高い気もする。
くぐもっててよく分からんのだよ。
でも、アレだよな?
男で、黒の縞パンなんて履いてたら・・・ド変態ですよね?
男 で 、 ビ キ ニ の 俺 は 変 態 じ ゃ な い け ど ね ?
そして、眼前に迫る黒い甲冑の・・・女???が手を差し伸べる。
思わず握手に応じる。
フルフェイスのヘルム。バイザーの中の瞳が、こちらをじっと見つめてくる。
な、なんですか?
「ふむ。では、失礼する」しばらくジロジロ睨め付けられた後、その騎士は踵を返し、再び馬に飛び乗った。
マントがなびいて、今度はパンツ見えなかった。
肩に乗った黒い猫タンが何事か呟くと、騎士の体がだんだんと透けていく。
騎士が小さく手綱を引き「ハイヤッ」と言うと、黒馬はそこにまるで階段でもあるかのように、宙を掛け登っていった。
空 、 飛 び は っ た で ぇ !
あっけにとられている俺を半透明の松田さんは5メートルほど上から見下ろし、
「あ、ビビビくん。ソロ狩りはあまりオススメしないよ?
できたら仲間と一緒に戦うといい。
私なら別だが。
では、また、どこかで!」と言って、軽く手を振る。
そしてそのまま透明になって、見えなくなった。
微かに馬の蹄のような音が遠くに聞こえた。
その行き先に眼と耳を凝らしたくて俺は慌てて面をとった。
面の中で蒸れ蒸れだった顔を、夕闇の風が撫で、ひんやり涼しかった。
◆ ◇ ◆
試しに一戦交えてみた結果・・・難易度ナイトメアのクソゲーだった。




