第一章 第11話 試しに一戦交えてみた結果・・・ その2
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パリィ―――――ンッ!
その時、中央のヒビが、ひときわ高い音を立てて大きく割れた。
ハッとそちらを見る俺とポヨン。
高さ2メートル程の隙間の向こうは薄暗く、そこにおそらくポッポーであろうシルエットがぼんやり見えた。
「来たポヨ!」
「来たか!」
俺は半身に構えて、ニヤリと笑った。
敵が、 隙間から出てきた。
のそりと。
見る。
体は血の気がなく青白く、紫の血管が浮き出ている。
筋骨隆々で上半身が異様にでかく、毛のないゴリラのような体型だ。
そして2メートルをゆうに超える巨躯。
人間の頭が首の部分からポッキリ折れ曲がり、胸の前にだらりと垂れて揺れている。
そしてその折れ曲がった首の付根から、巨大なハトの頭が、生えていた。
いや、生えているのではない。
中から食い破って出てきてるって感じだ。
体の所々から、大きさはまちまちだがハトが食い破って出てきたり、外から体内に潜り込むような形で尻尾や足や羽だけが出ている。
ハトが食い破ったところからは、青紫の体液が血のようにドロドロと流れており、一歩進む毎に屋上の床面をベトリと濡らした。
体は小刻みに震え、折れた首からぶら下がっている人間の頭が揺れる。顔に生気はない。
全身から生えているハトが
「ボ、ボボッ、ボロッボォ・・・ボボボボ・・・」
低く・・・啼いている。
そして、ハトどもの紅く丸い眼球が、一斉にこちらを睨んだ。
う~ん・・・・。
ハト怪人・ポッポー・・・。
怖 --------ー い っ !
怖い!
グロい!
気持ち悪い!
何がゆるキャラだ!
デザイナー出せ!
造形やばいぞ!
子供泣くぞ!
つーか俺が今泣きそうだ!
ガン!とポヨンを殴る。
「イダッ・・・ポヨ!」
「だから! お前らネーミングセンスおかしいんだよっ!
どう見てもあれはハト怪人・ポッポーじゃねぇんだよ!
おまえのポーチも四次元ポーチじゃねぇんだよ!」
「む・・・そ、そんなこと言っても、ポッポーはポッポーポヨ。決まってるポヨ」
ゲンコツ食らったトコロをさすりさすり抗議する。
「バカ、あれは・・・
『ハトウィルス感染型汚染寄生生物兵器・PⅡバクテリア・セル』とかだろ!普通!」
「こ、怖くて、ヤバそうポヨ!」
「だろうが! だから今度から名前をつけるときはちゃんと吟味してだなぁ・・・」
ボ ゴ ォ ォ ォ ン !
轟音とともに、軽い風を感じた。
ポヨンに説教をタレようとしたその時、ハトのバケモノが丸太のような腕を振り上げ目の前の床を叩いたようだ。
コンクリが砕け、方円状に大きくヒビが入っている。
こ、攻撃力も・・・なかなかデスね?
「お、おい、ポヨン?
俺、人類最強なんだよな?
アイツ、弱いんだよな?
見た目、ずいぶん強そうだけども・・・」
「そうポヨ。
怪人の中ではパワーだけのド底辺のバカポヨ。
知性、皆無ポヨ。
ただ、動くだけの動物同然ポヨ」
俺は、「ふ、ふーん」と言いながらサササと下がって距離を取る。
「俺は強い、人類最強・・・」と呟きながら。
背中に貯水タンクが置かれている塔屋の壁を感じた。
塔屋は屋上出入口と機械室が一緒になっているのでそこそこでかく、外壁もマンション全体のそれと変わらない。
つまり硬そうなタイル。
「フン!」
俺は敵との距離が十分であることを確認しつつ、振り向きざまに壁を殴った。
ガァンッ!となかなか強烈な音。
でも、壁は砕けなかった。タイルはちょっと欠けたけど。
うーん。
パンチ力の時点でも最強ではないというね・・・。
想定ではこの壁どころか屋上タンク含めた塔屋ごと吹き飛ばす勢いだったんですけどね?
苦笑いの俺は「ポ、ポヨン?」と冷や汗を拭いながら言う。
「ちなみに、アイツのパンチ喰らったらどうなんの?」
へ、平気だよな?
俺、耐久力とかすごいんだろ?
殴られても、微動だにせず、ペッて唾吐きながら「イテェな・・・雑魚が」みたいな感じに余裕綽々だよな?
痛恨の一撃喰らっても、せいぜい「さっきのは痛かった・・・痛かったぞ―――っ!」で、反撃開始!
みたいな感じ?
どっかのフ◯ーザ様みたいな?
だって俺、人類最強だもんな? な?
「はぁ~、シンタロ~、怪人は基本的にとても力が強いポヨよ~?
頭に当たったら、シンタロなら首から上が無くなるポヨ。
だから喰らっちゃダメポヨよ~?」
一 撃 死 じ ゃ ね ぇ か !
ア ホ が っ !
その3につづくがっ!




