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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第11話 試しに一戦交えてみた結果・・・ その1

◆ ◇ ◆ 


 天高く舞い上がり、キリモミ三回転ひねりで華麗に屋上へ着地!!


 ・・・できない。



 俺は、一階上の、かなみの家のバルコニーのヘリの手すりにつまづき、転倒した。



 顔から落ちたが、面を被っていたおかげでそんなに痛みはない。


 ていうかっ!

 え?なんで?

 ジャンプ力・・・低くない?


 人類最強、こんなもん?


 しかもウサギタイプの騎士なのに?



 起き上がり、困惑する。

 顔を上げるとその視線の先、ガラス戸の中、リビングルームの中から、掃除機片手にこちらを見ているかなみのおばさんがいた。


 びっくりした顔で、目をこすって、こちらを二度見。


 そのまぶたが開く一瞬前に、俺は二度目のジャンプで、かなみ母の視界から消えた。



 しかしそのジャンプでも、屋上フェンスを越えられず、弁慶の泣き所を強打。

 反転。そのまま頭から落下。



 剣道の面の防御力は、前面は鉄の格子なのでそこそこ高いが、脳天は布なので、今回は痛い。

 おお痛い。


「おぉい、ポヨン~! 全然ジャンプできねぇじゃねぇかぁあ?」

 頭をさすりながら、腰にいるポヨンに、悪態をついた。

 右目からだけ涙がでる。

 たまにあるよね。片目から涙。


「シンタロッ、あそこポヨ!」

 叫ぶポヨン。

 そして、俺の片目に映る・・・えーと、何? 切れ目?



 だだっ広いマンションの屋上。

 その真ん中辺りの中空に、ヒビが入っている。


 そのヒビは、湖の氷が割れていくような軋んだ音を立て、縦に伸びていく。


 そこから、紫掛かった霧が流れ出し、徐々にと周囲に広がり始めた。



「ポ、ポヨン! なんか、ほら! なんか出てきてる!」

 俺はその霧の範囲から逃れようと後ずさる。


「大丈夫ポヨ!

 むしろその霧の中で戦うポヨ!」


「インフォームドコンセプトが必要だって言ってるだろ!

 説明だ! 説明しろよ! でないと絶対入らないからな!」

 そう言っている間にも紫の霧は朦々と広がり、亀裂を中心に半球形をかたどって拡大していく。


「大丈夫ポヨ! その霧は一時的な異界ポヨ!

 敵は魔界から来てるので、その中は魔界扱いポヨ! さあ行くポヨ!」


「その説明で大丈夫なわけ無いだろっ! 絶対行かんわ!」

 霧のドームは広がり、後ずさる俺は、マンション屋上の端に追い詰められている。

 これ以上広がってきたら、飛び降りるか、中に入るかしか・・・。


 迷っていたが、どうやら霧はそれ以上に広がらなかった。

 半径15メートルのドーム状ってとこか・・・。


「平気ポヨ! その霧の中に敵が現れるポヨ!

 倒せば霧は晴れるポヨ!」


「毒霧とかじゃないんだなっ?」


「ダイジョブポヨ、その霧の中はこっちの世界の人間には見えないし、入れないポヨ!

 位相が違うポヨ。すり抜けるポヨ。

 でも一定時間経つと、中の状態がこちらの位相と統合されるポヨ」


「イソウってなんだよ!

 つーか結局、中に敵がいて?今は普通の人は入れないし見えないけど、早く倒さないとそのうちこっちに出てくるってこと?」


「シンタロ馬鹿だけど大体そうポヨ。

 中で建物とか壊すと、位相が統合された時にこっちもその状態になるポヨ。

 統合される前に倒せたら、魔界は亀裂の中に吸収されて、破壊前の状態に戻るポヨ。

 だから早く中に入って倒すポヨ!」


 今、馬鹿って言ったなコイツ。

 言ったなコイツ。

 逝ったな。


「イダッ!ッポヨ」

 俺は、ポーチから出てる頭をチョップすると、その霧に、歩を進めた。


 ま、だいたい分かった。

 時間内に倒せば器物の破壊はリセットされるってこったな。

 わかりやすい閉鎖空間だぜ。


 どうせ敵はポッポーだ。

 サッサとどつきまわして、金と経験値をいただこう。

 PS4買おう。




 中は半透明のドーム状だった。

 プラネタリウムの中みたいな。

 霧がもうもうと充満しているかと思ったんだけどな。


 外の様子も、紫のセロファン越しに見てる感じだけど、ちゃんと見える。

 ふっしぎー。


 その半球の中心にある亀裂は、ピシパキと音を立てて、先程より大きくなっていた。

 あの中からハト怪人ポッポーが出てくるんだな。



 ちなみに俺は、どんなカワイイゆるキャラ怪人が登場したとしても平気で殴るぜ?

 絵面的に弱いものいじめている感じになろうが気にしないぜ?


 なぜなら俺は、着ぐるみに「中の人」などいないと思っていた純真な幼少期の頃から、駅ビルのイベントに来ていたオーちゃん(我が区のゆるキャラ)に蹴りを入れていたし!

 着ぐるみの中には汗を書きながら頑張っているバイトのにーちゃんが入っていると悟った小学低学年期にもオーちゃんに蹴りを入れていたタイプの人間だからだ!


 ちなみにオーちゃんはウチの区にある羽川空港をイメージしたゆるキャラで、奇しくもポッポーと同じ鳥系の着ぐるみなんだけどさ、飛行機に鳥って、ちょっと・・・。


 バ ー ド ・ ス ト ラ イ ク とか大丈夫ですかね?


 暗い未来しか見えないんだけど?



 ま、そんなわけで、ポッポーに、中の人がいなかろうが、中の人が元首相だろうが、全力でワンパンしちゃうぞ?


 だから早く出て来い。

 紹介とかナシでいきなり殴ったる。


 なお、俺は子供の時から「ヒーローがダラダラ変身してる隙に殴ればいいのに」と思っていたタイプだ。



 ポキポキ指を鳴らす。

 キューティールナー改め、剣道コートマン。


 せっかくだし、なんか、戦いの前に、ちょっと言っとこうかな。

 えーと・・・えーと。



「 フ ッ・・・ 俺 の 中 の 、

  獣 が・・・ 目 覚 め る ぜ ! 」



 あれ? なんか違うな・・・。

 いまのなし。



「え? シンタロ、ナニいってるポヨ?」


「う、うるっせぇ!

 なんでもねぇよ!」



 自分でも外したなと思っているのに、外からワンテンポ遅れでいじってくるのやめて?


 ポーチから俺を見上げるつぶらな瞳に、ゴンとパンチをくれてやった。



 その2につづいてやった。


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