第一章 第10話 ポヨン再び、な結果・・・ その9
◇ ◆ ◇
「ちょw、まてよw。
おい、ポヨン?www」
「なにポヨ?」
「え? 何?
何もしてないけど、俺、人類最強なの?www」
ヤバイ。笑いがプスプス漏れてる。
「そうポヨ」
マ ジ で か !
俺、マジで俺ツエー!ですか?
「誰よりも強いの?」
「そうポヨ」
ウ ホ ッ !
ほ ん ま か !
「全盛期のヒョードルやタイソンより?」
「その人が人間なら、シンタロウの方がはるかに強いポヨ」
ウォ―――――ッ、それ、超強いじゃんか!
「は、範馬勇◯郎より?」
「その人が人間なら、シンタロウの方がはるかに強いポヨ」
マジか―――っ!
勇次郎よりツエ―――んかッ。
こりゃもう、敵いねぇなッ!
「も、も、もしかして、ご、悟空より?」
「その人が人間ならシンタロウの方がはるかに強いポヨ」
あー、さすがになー。
アイツ、宇宙人だからなー。
さすがに悟空はないかー。
悟空なら、多分、アッ!という間にアルカトピア救えちゃうもんなっ。
アークマーダーとやらの基地か居城か知らんけど、単騎乗り込んで上空から「破―――ッ!」で終わっちゃうもんなーっ!
敵幹部とか、登場すらさせねぇよ?
にしても、俺はどうやら相当ヤベー強さを手に入れちまったらしいな!
いやー、バトルモノのセオリーとして、強さはだんだんインフレしていくもんだけどさぁ。
いいのー? いきなり最強とか、話の展開上、それで大丈夫なの~?
だ が 、 そ れ が い い !
こうあるべきだよ。主人公は!
「俺ツエー」が近年のスタンダードなんだよ!
汗水たらして努力したり、苦悩したりする必要ないんだよ!
ましてや、お腹すかせたり、ウンコ我慢したりとかする必要、全然ない!
強大な敵が次々出てきて!
おんにゃのこ達はみんな俺に惚れてて!
でも言うほど険悪でもなく修羅場もなくみんな仲良くて!
その子らが毎回ピンチになって、服は破れて「イヤ~ン」で!
そこに颯爽と現れて、敵を薙ぎ払って、俺ツエーっで!
「キャー、俺くん、サイコー、抱いて~」で!
お風呂で!
パジャマパーティーで!
ラブラブイチャイチャですよ--------っ!
ゴールドも経験値も溜まりまくりで、ウハウハ!
あとは時々悩んでるふりで、「俺は・・・この力の暴走が・・・怖い・・・」とか、適当かましてりゃいいんですよ!
そんで「本当の敵は・・・俺自身なのか・・・」とか、そんなこと言ってりゃ、アンニュイな俺もカコイイ!ですよ。
ムッハーッ!
俺は、ポヨンのポーチを、コートの外に付け替え、ポンと叩いて、さあ、ここに入れ、と促す。
ちなみに放置してあったポーチは、変身したらやっぱり腰についてた。
そういう機能なんだろうね。
なくなると困るからね。
ルーラ使えば船は近くの街に着いて来てるみたいなもんだね。
「さ、行くぞポヨン」
「わ、分かったポヨ・・・」
ポヨンは引き気味に頷き、キュルンとポーチに跳び込み、顔だけ出している。
そういうことできるんだ。
知らなかった。
いつかこの首だけ叩き落とせないかな?
で き た ら い い な 。 切 断 。
部屋からバルコニーへ出ると、風が強めに吹いていた。
西の空、夕焼け雲が細くたなびき、街を遠くまで紅く染め上げている。
バルコニーの際まで寄って、上を見上げる。
上層階のバルコニーが階段状に設計されているうちのマンション。
かなみの家のバルコニーの向こうに屋上が見える。
フェンスを入れても10メートルほど跳べば良さそうだ。
「ポヨン、屋上へは、ここから跳ぶ!」
俺は、助走をつけ、足に溜めを作ると、「セッ!」と、気合を入れた息を吐き、床を力強く蹴り込んだ。
ベンチコートに剣道頭のヒーロー(もといヒロイン)が、今、高く跳び上がった。
◆ ◇ ◆
ポヨン再び・・・な結果、なんだかんだで戦いそうな俺がいる。




