第一章 第10話 ポヨン再び、な結果・・・ その8
◇ ◆ ◇
「ポヨン、で、いつ来るんだ?
その鳩ポッポー?」
「現れるのは、6分後。
場所は直上7メートルポヨ」
「はやいわっ!
でも、上ってことは屋上か、人もいないし、好都合だ」
俺は、クローゼットを開けて、なるべく丈の長いコートを物色。
そう、コスが恥ずかしいならば、その上に何か着てしまえばいいのだ!
どうだ、この発想!
プ◯キュアやセーラー◯ーンたちが、衣装恥ずかしいからと言い出して、ハデハデコスチュームの上に黒のコート着ちゃう。
顔は目出し帽で、みんな厚着でバトル。
番組の根幹を揺るがす背信行為。
でも俺はやっちゃう~。
見た目とかどうでもいい~。
というか俺、デフォの見た目はすでに壊滅的に破綻しているので、全身モザイクかけるつもりで着込んでやるさ!
そして選ばれたのが、真冬の朝練にもバッチリ、カッパーのパチもんと揶揄されるケイパのロングタイプベンチコート(白)!(安い!)
ダボッとしてるし、ひざ下までバッチリ隠れる。
妙に長い肩当てが邪魔だな~。
肩をこんなにガードする前に、急所丸出しの胴体をガードしろよな。
ビキニの時点でアーマーとしての機能マジでゼロだが。
無理やり着込んでみるとまるで肩だけアメフトのショルダーガード的に盛り上がってしまっているが、別に気にしない。
要は女装がバレなければいいのだよ。
そして、足だが・・・。
このブーツも、ハイヒールのパンプスも、サイドにある翼の飾りがデカくて、ジャージも履けないんだよなぁ・・・。
さっきのウンコ我慢大会の時にわかったけど、多分脱げないからなこれ。
パンタロン持ってたら完璧だったんだけどな!
タオルとかでグルグル巻きにしようかと思ったけど、もういいやそのままで。
あ、頭・・・と言うか、顔は・・・。
「あー、ちょっとポヨン?」
「なにポヨ?」
「ちなみに顔ってさー、出してたらバレる?」
「どういうことポヨ?」
「いや、ほら、よく美少女戦隊物というか、魔法少女モノにあるじゃん?
主人公たちは顔丸出しで戦ってるのに、変身中の姿を見ても、友達とか周りのみんなはなぜだか本人だと気が付かないっていう例のアレよ。
そういうお約束な設定って、キューティールナーに備わってるの?」
「顔、見られてもポヨ?」
ポヨンは、きょとんとしている。
了解。
そういう便利機能はナシ・・・と。
ま、あれ意味わからんしな。
それこそ魔法だよ。
OK、ダイジョウブ。
策はある。
俺は、口元にマスクを付ける。
そしてクローゼットの奥から剣道具一式が収められている剣道袋を引きずり出し、中から久しぶりに面を取り出した。
手ぬぐいを素早く頭に巻き、面をつける。
紐をキュっと締めると、心地よい圧迫感と、なんとも言えない匂いが懐かしかった。
派手な足元、肩幅でかいベンチコートに剣道の面。
これで、女装もばれないし、誰が見ても俺だとわからないはず。
問題があるとすれば面の中で折り畳まれたウサ耳がちょっと痛いことだが、ま、今回は我慢しよう。
あっ、ちょっと待った。
「ポヨン」
「な、なにポヨ?」
いったいコイツは何の格好をしているのだろうという奇異の目をこちらに向けていたポヨンが、軽く引きながら答える。
「確認なんだが、敵は弱いんだな?」
「いわゆる、最弱クラスポヨ」
「で、質問だが、俺は変身して、どのくらいの力になっているんだ?」
そう、敵が弱くても、俺も弱かったら話にならんからな。
ポヨンは、P-padをスイスイ調べ、
「シンタロウの変身後の強さは・・・」
ゴクッ・・・俺の、強さは?
「現状で、能力値的には・・・。
人 類 最 強 ポ ヨ 」
・・・はぃ?
え?
ジンルイサイキョウ?
え?ジンルイサイキョウって、人類最強ってこと?
人っ! 類っ! 最っ! 強っ!?
な?
な・・・。
なんだってぇええええ?
あ、やべ。
ちょっと嬉しがってる俺がいる。
その9へつづくのがいる。