第一章 第10話 ポヨン再び、な結果・・・ その7
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うーん。
敵。
なんつーか、いわゆる魔法少女アニメ的な敵なのか?
つーかメリーじゃないんだ。
じゃあメリーは結局なんなんだっつー事になるんだけど、もう帰ったからいいか。
「あー、なんというか、ポヨン?」
「なにポヨ?」
「そのハト怪人・ポッポーってのは・・・人型なんだけど人間の頭のとこがハトっぽくなってて、鳥の羽とか尻尾とかも生えてて、鳴き声は『ポーポー、ポッポー、トラスト・ミー』とかいう感じの?」
「その通りポヨ!
いや、『トラスト・ミー』とは言わないポヨ」
「人間のちょっとした心のスキマにアークマーダーとか言う輩が悪のハート的な物を入れたために怪人になってしまった的な?」
「シンタロすごいポヨ!
概ねそのとおりポヨ!
心の隙間じゃなく体に入り込む感じポヨ」
「それで、適当にボコボコにして必殺技浴びせて倒したら『ア~クマ~ッ!』とか、変な断末魔あげて、取り憑いてた悪の魂的なヤツが抜けて、めでたしめでたし的な?」
「ばっちりポヨ!
あ、でも、『アークマー』とは言わないポヨ」
「ハト怪人の他にも、イヌ怪人やネコ怪人、はたまた無機物系の信号機怪人やバケツ怪人、植物・鉱物系のポプラ怪人や岩怪人なんかもいたりするのか?」
「シンタロ天才ポヨ!
信号機怪人以外は全部いるポヨ!
なんで分かるポヨ?」
バケツ怪人は・・・いるんだw。
しかし、うん。
なるほどね。
OK、なんかもう、敵はチョロそうだ。
D級だからかもしれんが。
きっとAとかB級のやつはストーリーの都合上、もしくはおもちゃ会社の都合上、アイテムが増えて必殺技が強化されたら倒せるようになるのだろう。
最初の武器はバトンでその後はアローかな?
そんなことを考えていたら、「あっ!」と、急に声が出ました、俺。
ピコーンと閃きましたよ?
これ、金とか宝石とか落とすんじゃね?
敵につきものでしょ?ゴールドと経験値!!
んで、レベル上がって、使える魔法も増えて・・・。
むーん、戦う気とか無かったけど、ちょっとやってみてもいいかも。
楽しそう。
考えてみたら、そうだよな。
変身する度に洋服代かかるのに、貰いがゼロとかやってらんないよな。
そんなブラックな福利厚生じゃ美少女シュバリエたち、破産しちゃうよ。
借金まみれになっちゃうよ。
そしたら世界の平和を守るために、昼は戦い、夜は怪しげなお店で恥ずかしいことしてお金稼がなきゃいけないじゃん。
そんな美少女戦隊キャバクラ・・・。
ア リ で す け ど っ !
いやいや、ウソウソ。
それなんてエロゲ?
いきなり立つな、エロマン。座ってろ。
ま、でも、ちょっとヤル気出てきた。
「ポヨン? なんて言うか、試しに戦ってやってもいい気分になってきた」
「ホントポヨかっ?
56億(略)年待たなくてもいいポヨか?」
ポヨンの顔がぱぁっと明るくなる。
「さすがシンタロウポヨ」とか「これで世界は救われるポヨ」とか言っている。
「ま、ちょっとな。
ところで、何分後にどこに出るんだ?
リビングか?ベランダか?マンションの廊下・・・とかだったら、このカッコはまずいな・・・」
なぜなら、このまま外へ出たら、お約束通りに、バッチリ帰宅してきた母親に見つかるに決まっているから。絶対。
そして、ただでさえアレな息子が日常的に変態的女装コスで出歩いているとかなって・・・。
家 族 会 議 で す よ 。
そこで妹の口から淡々と語られる、兄の痴態。
『家族社会学概論』フォルダーの中身の詳細。
むせび泣く母(母ちゃん真面目過ぎなんですよ)。
自分にもいろいろ後ろ暗いところがあるのか、無言で目を閉じる父(同じ穴のムジナですわ)。
無言を肯定と受け取り、怒る母。
「まぁまぁ」と軽く俺をかばいつつ、たしなめる父。
それでますます激高する母。
我関せずで紅茶を飲むクールな妹。そう。
そ し て 、 一 家 離 散 。
ホームレス高校生ですよ。
下の公園で・・・寝るとこはコンジイが帰ったあと公園の管理事務所で。
確かテレビもあったな・・・。
まぁまぁイケそうだけど、あの部屋はきっとコンジイの加齢臭が染み付いていてきつい。
なわけで、身バレは避けなければならん。
つまり俺がやるべきことは・・・。
そ う ! 変 装 だ っ !
その8につづくんだっ!