第一章 第10話 ポヨン再び、な結果・・・ その2
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「はぁ。だる・・・」
口の端から思わず漏れ出たそんな溜息交じり。
そのままベッドに横臥し、マンガを読み始める。
静か。
パラリ、パラリとページをめくる音がやけに大きく感じる。
さっきまでドタバタしてたから余計にな。
しかし昔の漫画はすげーなー。
やってることは野球なのに人が死にまくってるもんなぁ。
実在の野球選手を登場キャラクターと戦わせて、こんなにめちゃくちゃにして文句とか出なかったのかなぁ・・・。
というわけでアスト◯球団と、おお◯く振りかぶってを並べて鑑賞してみてください。
同じスポーツしているとは到底思えない。
地獄◯子園はまぁ置いといて?
それにしても落ち着かない。
ザワザワする。
全然マンガの内容が頭に入ってこない。
俺は二巻の半ばを過ぎたところで、漫画を置き、むっくりと起き上がる。
「どーしたもんかなぁ・・・」
部屋の隅に投げ捨てられているポーチが目に入る。
昨日から、色んなコトがありすぎだよ。マジで。
現実離れしすぎている。
でも、アニメじゃない。
ホントのこ~とさ~♪なんだよな・・・。
つーか、ポヨンどこ行ったんだよ。
いろいろ聞きたいことがあるのに、肝心なときにいねぇよ。
クソポヨンが。
戻ってきたら制裁だ。
ちなみにヤツがここに居ないのが、蹴り飛ばした自分のせいだということは重々分かっているが、悪いのはポヨンだと思っている。
なぜなら俺は悪く無いからだ。消去法。
とりあえず、本日、二度も変身した。
敵?と戦うとかは、分けわからないからゴメンだし、アル・・ピ?・・えーと・・・その異世界なんてのは、ネットもシャワートイレもないと思うので絶対行かない。
だいたいさ~、異世界って、もう既にいろんな奴らが活躍してると思うんだよね。
勇者も魔王も鍵屋も武器屋も居酒屋でさえも、もう、こっちの世界の人がやってると思うんだよ。
後追いでいまさら行ってもなぁ。
しかもこんなコスで・・・。
う ん !
ハ ブ ら れ る わ !
だから行かなーい。
だが、変身に関しては、やむを得ずしなくてはならないような不測の事態が、なんだかんだであるかもしれない。
能力の説明というか、取扱説明書が欲しいよなー。
いろんな技の出し方とか、そもそもどんなスキルやアビリティがあるのかとか、PPPKでお手軽に空中コンボが繋がるとかね・・・。
何もわからないのはとにかく困るね。
ウ ン コ す る と き に パ ン ツ 脱 げ な い と か !
ほ ん と 困 っ た か ら ね !
「試してみるか」
俺はそう言って、ゆっくりと立ち上がる。
なんとなく変身してみようと思う。
そんでいろいろやってみよう。
ヨガファイヤーって叫んだら口から火が出るかもしれんぞ?
俺は、ケツの紋章に手を当て
「世界のヒロイン・・・あ」
思いとどまった。
服が無くなるよね。また。
いくら格安で、さらに地味だのセンスがないだのと揶揄される様な服でも、これ以上無くなるのは痛い。
あと、俺のオシャレ着(世間的には知らん)であるところのレプリカユニフォームは地味に高い。
全裸で変身すれば・・・無料かな?
俺は、とりあえずポイポイと服を脱ぎ捨てた。
モザイクはなくてもダイジョウブ。
なぜならカメラワークがいい感じに俺の机の上のペン立ての後ろからの角度で、なんだかウマ~イ具合にいろいろ隠れてるはずだから。
「よし、世界のヒロイン、キューティールナー、ルナリンクチャージ」
気持ち小さいボソボソ声で言った。
・・・。
・・・。
・・・あれ? 反応しないんですけど?
「せ、世界のヒロイン! キューティールナー、ルナリンクチャージ!」
さっきよりはそこそこ声を張ってみる。
しかし、いわゆるひとつの、シ~ン・・・。
あれ――――っ? なんでー?
なんかちょっと恥ずかしくなってきた。
アレですか?
服着てないとだめですか?
変身シーンで、毎度モザイクはめんどくさいですか?
パンツだけならどうだ?
「世界のヒロイン! キューティールナー、ルナリンクチャージ!」
ぱあっと、周りに光が舞い、俺の体が浮き上が(略)
おや?・・・あっさり変身できました。
とりあえずリアルで「パンツ溶けた」やっちゃった!
結局なんか着てりゃいいのか。
それとも局部を隠せばOKなのか?
変身を解除した俺はパンツが溶けているのでやはり全裸である。
次はよれよれの靴下を履いてみる。
「世界の(略)チャージ」
ぱあっと周りに光が舞い(略)。
・・・はい、変身できた。
どうやら丸出しでもOKらしいな。
モザイク関係なさそうだ。
布地が身体についてりゃいいのか?と思って全裸に首からタオル掛けて試してみたが、コレは変身できなかった。
一応、何か「着ている」というのがトリガーらしい。
魔法もいろいろ複雑だな。
破綻の無いようにプログラムは作りこまれているのかな?
デバッガーさん、ご苦労様。
まぁ、『着衣状態であること』が変身条件なら、つまり風呂場で襲われたら俺はキューティールナーに変身できないわけだ・・・。
てことはだよ?
いや、俺はいいんだよ。別に。
でもな、他の美少女騎士たちは・・・。
お風呂で襲われたら、大ピンチなんじゃね? えへ。
いつもは一蹴しちゃうような雑魚敵クラスにも抵抗できない・・・。
気の強いあの子も、癒やし担当のあの子も、お姉さま系なあの子も、クール系のあの子も。
・・・変身できなければ、みんな、ただの女の子。
戦隊物でいうところのトループどもは、日頃の恨みを晴らそうと、ここぞとばかりに美少女騎士たちに襲いかかり・・・力づくで・・・。
おお、おぉぉまい、ごっど!
すげぇ事になってきた!
脳 内 が っ !
バ カ レ ス ラ ー ど も 大 歓 喜 っ !
ふふふ。
これは伏線だ!
俺は、無駄とも思える変身条件のシミュレートを重ねることによって、いつか来るかも知れない「お風呂回」で、ムフフになるフラグを立てました!
同じ文章を何回も読むのはめんどくさいけど、自分の中で既読スキップしたので万事おk。
皆の者、その日を刮目して待て。
そしてこの俺に感謝せよ!
後、どこかにいる神様、伏線の回収、絶対忘れんなよ? マジで!
そんな俺は、全裸で首にタオル掛けて、ありえないほどニヤけていたけど気にしなーい。
その3へつづくーう。




