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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第10話 ポヨン再び、な結果・・・ その1

◆ ◇ ◆ 


 かなみたちが出て行って、しばらく待った。


 ほら、慌ててポーチからすぐ出たら、絶っ対、フェイントで戻ってくるじゃん?

 ワワワ忘れ物~♪とか言ってさ。


 というわけで、もう、完全に行ったかな?という頃合いで、ポーチの中から飛び出た俺が真っ先にしたことは、服を着ることではなく、愛機を立ち上げ、ブラウザの閲覧履歴とキャッシュを消し、チョメチョメのフォルダー名を『歴代沢村賞投手一覧』にして、パスワードを変えることだった。


 パスは・・・『サイヤング』にしよう。

 沢村賞と思わせといてサイ・ヤング賞を持ってくるこの狡猾さには瑠璃も太刀打ち出来まいて。フフフ。


 っていうかもう瑠璃にパソコン貸さねー。


 あんなクールビューティー気取っといて(勝手に俺が言ってるだけだが)、俺の恥部を漁るとは。エロガキが!



 俺は、ジーンズに赤Tシャツ(テキサス・レンジャーズ)を着て、黒い半袖シャツ(無地)を羽織り、自分のベッドにドサッと横たわる。

 ・・・服、変じゃないよねぇ? 変?


 にしても・・・疲れた。

 先ほどのやりとりを思い出して、いろいろ憤る。


 特にかなみにネガティブイメージを摺りこんでくれた上に報酬ウナギだけ食って秘密をバラしたナギちゃん。噴飯モノだ。


 でも・・・なんか忘れてるような・・・。



 あっ! 思い出した。メリーのやつ!

 ガバっと起き上がる。


 クローゼットの中から木刀を取り出し、構える。

 いや、でも、多分もう居ないな。

 瑠璃たち普通に入ってきたんだし。


 あっ、瑠璃の部屋の穴・・。



 俺は、多少緊張しつつ、部屋のドアを開け、顔を出して左右を見渡す。

 居ない。

 廊下に出る。

 バラバラと飛び散っていたドアの破片は綺麗さっぱりなくなっていた。

 瑠璃が片付けたのか?


 そして、ドアを見る。

 ポヨンが空けた大穴から、瑠璃の部屋の中が・・・見え・・・ない。


 え?


 ない。


 穴そのものがない。


 瑠璃の部屋のドアは、昨日までと同じように、どこからどう見てもただのドアだった。


 サスサスと穴のあった辺りを触ってみる。

 ツルツルだ。

 パテみたいなもので埋めたとか、破片を頑張ってつなぎ合わせて修復したとか、そういうものではない。

 ドアをまるごと取り替えたのかと一瞬思ったが、ドアノブの下に、瑠璃が子供の頃貼り付けたシールを数年後に剥がして残っちゃった後があるし、細かい傷もある。

 まごうかたなき今までと同じ瑠璃の部屋のドアだ。

 でもさっきぶち抜いた穴だけは・・・ない。


 ガチャリとドアを開け、部屋を見る。

 メリーは居ない。

 そしてドアの内側も・・・ツルツルだ。

 削れた痕跡もない。


 つまり・・・えーと、どういうこと?


 

 えーと、あー・・・ゆ、夢かな?

 全部、夢かな?


 いやいや、夢なわけないよ!

 どういうことだ。

 意味わからんぞ。


 何かがおかしい。

 思いだせ。


 もしかして今、スタンド攻撃を受けている?

 いや、ない。



 整理しよう。


 瑠璃はまず、俺がメリーから逃亡して神社にいる間に、ここに帰ってきているんだよな。

 で、その瑠璃は確か・・・ナギちゃんとの会話でおかしなことはなかったかって訊かれて、「何もなかった」って言っていた。


 てことは俺が逃亡して、瑠璃が帰ってくる間に、メリーは消えて、何故かドアの穴も綺麗さっぱり消えたことになる。


 つまりここから導き出される結論は・・・メリーがプロの修繕屋だ!



 な わ け あ る か っ !



 メリーが左官屋スタイルでドアの修繕をしているシーンが浮かんで消えた。

 ないない。

 それ、怖くない。


 いや、謎のオバケに家が徐々に営繕されていくのは、なんならちょっと怖いけどな。

 謎の営繕マンを探せ!みたいなね?

 何のことかわからなくていいよ。


 えーと・・・、ど、どう思う?

 俺をクール・ガイたらしめている知性マンと理性マンが、なんかプスプス頭から煙り出してるんだけど。

 エロ方面はいろんなレスラー出てきてワイワイ会議してるけど、頭ひねるのは君らだけ?

 寂しいね。


 や、でもこのドアの治りっぷりはね?

 明らかに不思議な力というか・・・。

 魔法系のなにかじゃないとこんな風に直せない感じですよ?



 もー、なんなんだ。

 こんなこと考えてる場合じゃないんだよ、ホントは。


 なんか、メリーより、ドアの穴より、かなみや瑠璃やナギちゃんたちのことが気になってるんだよ。

 どこ行ったのさ。

 なんか不穏な空気感が漂ってたよ。



 あ、ドアは、アレだ。

 メリーの肩に、なんかフランス人形みたいな動く人形いたやん?

 あいつじゃね?


 あいつが不思議な力で、ドアを・・・直す・・・かぁ?


 動機は?

 俺を襲いに来て、ドアを直す動機、ある?



 んんんん・・・・・・。

 ピコーン!

 これならどうだ?


 メリーも俺と同じようにマキビシ踏んで、足イッテーッ、ってなって・・・。

 ほら、あいつも裸足だったし?

 俺が忍者にブチ切れたように、メリーもドアと破片にぶちきれるも、やり場のない怒りを不思議な力を操るあの人形にぶつけて、人形はしぶしぶ直す。


 で、メリーは足に刺さった刺が痛いので、なにもかも嫌になって帰宅!


 ほら、タンスの角に小指ぶつけた時に、あまりの痛さに全てが嫌になって、宿題やらの全てのヤル気が失われて、そのままベッドでふて寝しちゃう例のあの現象みたいなものよ。


 全然ピコーンできてないけど、もう考えてもわからないから、とりあえず、それで決着しとこうぜ?

 知らんけど!

 もういい!

 


 つーか、ほんとにメリー居ないよな?


 俺は、リビング、ダイニング、キッチン、玄関(松井バットは元通りに飾られてました)、トイレ、風呂、客間、両親の部屋、物置、親父の趣味部屋と順番に確認していった。

 が、やはりメリーはいなかった。


 俺は少し安堵してフンッと鼻息を鳴らす。

 その後、親父の趣味部屋から昔の野球漫画を数冊持ち出し、最後にもう一度瑠璃の部屋のドアをサスサスと擦ってから、自室に戻った。



 その2につづく。


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