表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
64/247

第一章 第8話 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・ その10

◆ ◇ ◆ 


 その後、お茶を淹れて戻ってきたかなみを交えて、女子三人はファッション誌を広げている。

 コレが欲しいだの、アレを買うだの、このケーキが美味いだとくだらない話のオンパレードだ。


 みんなして背中向けて雑誌見てるだけの地味な絵面で動きもないし面白くない。

 もうちょっとサービス精神というものを持たんか君たち!


 足、組み換えろよ。

 パンチラ見せれ?


 無理なら野球の話しようぜ?

 なぁなぁかなみぃ、今年のメジャーはどこが優勝すると思う?

 5月だけど日本はもう、ソフバンと巨人で決まりじゃん?

 多分このままどこも追いつけないよ。

 だからメジャーの予想しようぜ。

 え?「私はマリナー系を買いたい」だって?

 それはマリナーズの事かい?マーリンズ?

 どちらにしてもなかなかマニアックなとこつくね。


 うん。

 ファッションの話?

 はい、知ってた。


 くそー、せめて水着とか下着の話しろよーっ!

 できれば見せ合いっこしろヨーっ!


 なんだよアウターって!

 ビジターかアウェイかわかんねぇよ!

 上着でいいだろが!



 あと、俺の話しろよ!

 心配じゃないのか?

 絶賛神隠し中だぞ!?


 ナギちゃんに至っては、そもそも俺の様子見に来たんじゃないの?


 俺のことにみんなして想いを馳せろよ。

 俺がカッコイイだの!

 憧れるだの!

 付き合いたいだの!

 セッ〇スしたいだの!

 いろいろあるだろうよ!


 俺の脳内の本能マンとエロマンがさっきまでこの状況にワックワクだったのに、いますっげぇ退屈そうにだれてんだよ。



 知ってるか?

 俺、ファッション誌なんかにゃ絶対マネできない奇抜なファッションをキメてんだぞーっ!


 そんな俺を見ろーっ!



 その時、ナギちゃんがクルッと振り向き、こちらを見た。

 ・・・じっと見ている。



 あ、うそ。

 やっぱ見ないで?

 ちょっと、やな予感するから。

 君、鋭いから。


「かなみ先輩。

 あれ、先輩のポーチですか?」

 こちらを指さす。

 かなみもこちらを一瞥し、

「んーん、違うよ?

 あれ、シンのバッグの横においてあったから持ってきたんだけど・・・。

 シンの・・・で、いいのかなぁ?」

「ニーニくんの?」

「たぶんだけど・・・」


 ナギちゃんはこちらを不審そうに見ながら、ちょっと考えるような仕草。

 な~んか、やなんだよなぁ。



「ま、あんな痛いデザインのポーチ、かなみ先輩は持たないですよね」

 ナギちゃん、嘲笑う。

 俺だって持ちたくねぇよチクショウ。


「中身、何だったんです?」

「わかんないの」と首をかしげるかなみ。

 カワイイ。

「カギついてないけど、なんか開かなかった」と瑠璃。

 頷くかなみ。カワイイ。


 美少女三人がみんなこちらを見ている。

 ふふふ。

 悪くない絵だ。

 あぁ、訝しげに見つめる顔もみんなカワイイなぁ。


「あの、さわっても?」

「ん、いいよ?」

 ナギちゃんが、四つん這いで這い寄ってくる。


 契約者以外は開けられないとわかってはいるが、ちょっと、心拍数が上がった。


 

 そして手が画面いっぱいに広がって、周りにギュッとくぐもった音が響く。

 持ち上げられたようだ。

 そういえばかなみもナギちゃんの金髪やタトゥーには無反応なのね?

 もう慣れてんの?

 女子ーズは俺の与り知らぬところで仲良しさんなの?


 で、いっつも俺のうわさ話しちゃったりしてんの?

 あ、そう、してないの。



「 っ お わ ! 」

 100インチの画面いっぱいに広がるナギちゃんの、キラキラの瞳に結構びっくりする。

 軽く叫び声が出た。


「ん? なんか音が・・・」

 つぶやくナギちゃん。

「んぐ? 音?

 あ、おいしっ」

 ケーキが美味しくてたまらないかなみ。


「いや、なんか聞こえたような・・・」

 慌てて口を抑える俺。

 そうだよ。

 小さいけど音は漏れるんだった。



 と、とりあえずこのポーチは開かないから黙っていればやり過ごせる。

 ビークワイエットだ、俺よ。


 画面が激しく上下する。

 振ってるな。

 どいつもこいつも、とりあえず振るよな。


 ミシミシ音がする。

 画面には指と手のドアップ。

 ハートのボタン引っ張って開けようとしてるな。

 でも残念~、開きませ~ん。

 なぜなら魔法でロックされてるから~ 。


 チ キ チ キ ・ ・ ・ 。


「ん?」

 なんか、画面に映るナギちゃんの指が、ダイヤル回すみたいに・・・。


 チ キ チ キ 、 カ チ 。


 パ カ 。



「・・・え?」

「あれ?」



 ・・・。

 ・・・・。

 ・・・・・。

 ・・・・・・やんの・・・。



 ふ 、 ふふ 、 フ タ ・ ・ ・ 開 い て や ん の 。



「あれ?え?」

 見上げる俺。


 遠く頭上にそびえる、巨大なナギちゃん。

 大きな目がポーチの中を覗き込んでいる。


 その瞳にははっきりと見えているだろう。



 豆 粒 ほ ど の 俺 が !


 全 裸 に 靴 下 の !


 チ ン コ ケ ー ス 装 備 の 俺 が っ!!





 ううううあああああああああああああっ!


 ああああああああああっ!




◆ ◇ ◆ 



 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・うあああああああああああああっ!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ