第一章 第8話 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・ その3
◆ ◇ ◆
ガサッと音がして、なんか動き出した感じ。
「ま、お財布をこのまま置きっぱなしは危ないから、とりあえず持って上がりましょう。
なんでこんな状態なのかわかりませんが・・・。
にぃにが戻ってきて、荷物がない~、財布がない~って焦るかもしれませんけど。
ま・・・別にいいでしょう」
いや、よかねぇよ? 瑠璃?
お前、そんなひどいやつだったのか?
この兄に対して最近冷たいなとはおもっていたけども。
あと、お前、いまにぃにって言ったからな!
外の様子に聞き耳を立てていると、どうやら二人はかなみの家に入ったらしい。
移動中、かなみと瑠璃が交代でポーチを開けようとしたがどうやら開かなかったようだ。
もしかしたら俺とポヨン以外開けられないのかもしれん。
やっぱ魔法のアイテムだし、契約者以外には使えないってことなのかな。
トスッ。
わずかの衝撃。
ポーチがどこかに置かれた感じだ。
ここは・・・もしかして、かなみの部屋なのか?
ま、普通に考えたらそうだわな。うん。
かなみの部屋。
か、か、かなみの部屋・・・か。うん。
ダイジョウブ。
おちつけ? な?
かなみの部屋ってことはだよ?
つまり?
かなみが勉強する部屋だよ。うん。
かなみが眠る部屋であり。
かなみが、かなみが、き、着替える・・・部屋で。
かなみの・・・ブラとパン・・・服が入ってるクローゼットがある・・・部屋。
かなみが・・・ふ、風呂上がりに・・・ぜんr、もとい、バスタオル一枚でくつろぐ部屋・・・。
かなみが・・・夜な夜な・・・ベッドで・・・な、部屋・・・。
ふぅ・・・。
うん。ダイジョウブ。
冷静。冷静だった。
そうか。
かなみの部屋か・・・。
これ、あれか?
フォオオオオオ!
ついに女の子の部屋に入ってしまったあぁああっ。
スハー、スハー、クンカ、クンカ!ってやつか!
そうなのか!
・・・いや~微妙。
どう考えてもポヨンの部屋の中にいる感が拭えないぜ。
とくにポヨンの毛布にくるまっているからなおさらだ。
どことなく桃っぽい匂いがするんだよなぁ。
フルーツのじゃなくて、匂いつき消しゴム的なヤツ。
っていうか、この体勢ツライ。
ポーチ開かないならこんな低いテーブルの下でこんな窮屈な姿勢してなくていいじゃん?
「ムフフフフフ~」
「ウフフフフフ~」
んん?
なんか・・・なに?
この不敵な笑い声。
ままま、まさか俺の邪念が読まれたっ?
「じゃ、食べよっか?」、うれしそうなかなみの声。
「食べましょう!」、テンション上がった瑠璃の声。久々聞いた。
「お茶入れるねー。珈琲と紅茶どっちが良い?」
「じゃあ紅茶を。あ、手伝いますよ」
扉の空く音。
パタパタと遠ざかる二人の足音。
部屋出てったな・・・。
紅茶を入れに行ったのか。
うん。
どどど、どうしよう?
俺は・・・とりあえず、腰が痛くなりそうなのでテーブルの下からもそもそ這い出る。
まとっていたシーツ類を適当に投げ捨て、再びソファにドッカと腰掛けた。
それにしても、全裸でソファは落ち着かないぜ。
なぜなら俺は変態ではないからだ。
昨晩から立て続けに変態的コスチュームを纏っているが、全く本意ではないのだ。
ソコのトコロ誤解しないでもらいたい。
そんなわけで変態ではない俺は服を着たい。
しかし、変態コスに変身してそれを解いてしまったがために、俺の服はスターダストとなって消えてしまったからな・・・。
変身ヒロインもコスト大変だよな。
俺の服は値段的にそんなでもないけど(多分全部でも5千円位か)女の子って服けっこう高いみたいだし、変身の度に万単位でお金飛ぶのとかきついよな。
絶対やらんぞ。
・・・あっ!
シューズ消えた?
やっべ! あれは高いよ! つっても1万5千円位だけど。
でも、痛い!すごく痛い。
っていうか他に靴ないよ、俺!
学校の革靴しか!
あとサンダルしか・・・。
まじかー。
キツイわー。
1変身で2万とかやってらんねぇわ。
どこの暴利なコスプレ喫茶だよ! くそー。
頭を抱えて、バフッとソファの背もたれに後頭部を埋める。
優しく包み込む背もたれ。
・・・これ、良いソファだよなぁ。
柔らかくて。
高そうだなぁ。
チキショウ。
こちとら朝からウナギと服と靴で3万円以上も飛んでいるというのに!
ポヨンの野郎、どこ行ったんだろう?
またどこかの木に引っかかってんのかなー?
次戻って来たら、金請求しよう。
今日の服代と昨日のジャージとかうなぎとか、諸々で・・・利子ついて・・・。
大 体 15 万 円 っ て と こ か ・・・。
暴利! 灰谷金融! ヤミ金ハイタニくん!
可哀想に、ポヨン。
もう、これは闇カジノ船に乗って負けて地下労働行きですわ。
地上に戻るには闇パチンコで6億出すしかないですよ。
それでだね。
服を着ようにも、着替えはスポーツバッグの中なわけだ。
つまりはキュルンと飛び出て服をとって再びキュルンとここに戻ればいいわけだ。
しかし外の様子がわからないから、もし飛び出した所にバッチリかなみが戻ってきたら、そういうムードでもないのに俺はすでに全裸なわけだ。
そしてその後ろには瑠璃がいるわけだ。
つ ま り 俺 は 死 ぬ わ け だ 。
死因、木刀による撲殺。
・・・いや、刺殺だな。
かなみなら木刀で刺せる。
そして俺の骸に唾を吐く瑠璃の絶対零度の瞳。
お、お、おそろぢい・・・。
で、でもだよ? 諸君。
このチャンス逃したら、服はともかく、かなみの部屋をクンカクンカスハースハーする機会が永遠に失われるぞ!?
いいんか!?
それでもいいんか、漢として!
もう、服とかどうでもいい!
せっかくかなみの部屋なのに!
ポヨンルームにいるためにその恩恵に全く与れていない、この状況が許せんのだ。
ポヨンのせいだ!
ポヨン殺すっ!
だから、もう。
とりあえず一旦、外出る!
決めた!
かなみたちは今台所でお茶を入れているはずだ。
少しだけなら大丈夫なはず。
ほんの一息。
一呼吸だけでもかなみの部屋の空気を吸えれば俺は満足だーっ!
やってやる!!
クンカクンカしてやるぜーっ!!
・・・多分この時、脳内ではエロマンが主導権を握ってたんだろうね。
その4につづくんだろうね。




