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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第8話 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・ その1

◆ ◇ ◆ 


 脱力。

 脱力していた。

 ポヨンのソファの上で。


 なんだろう。

 死の危険を紙一重で切り抜け続けた後のステージクリア感と、あれはトイレじゃねぇし卑怯な裏技だろ?っていうモヤモヤした感じ。

 更にはポヨンに対する心よりの申し訳無さ・・・。

 いろいろ心の中で噛み砕いて整理するのに、必要だった。

 全裸でソファで脱力することが。


「あ~・・・、メリー・・・どうしよう?」

 なんか、いろいろショックでどうでも良くなってきたんだけどどうでも良くはないわな。


 うん。

 今の俺なら勝てる気がする。

 苦難を乗り越えてすごく精神的に強くなったというか、冷静になっている。

 めっちゃクールゲット。

 壮大な賢者タイムって説もある。


 一部の焦りも恐怖もない。

 だって、メリーって、スペック的には普通の女だろ?レスラーじゃないだろ?

 しかもなんか動きとか遅いっぽくない?

 メリーを貞子の類似品でイメージしてんだけども。


 見た目怖いけど冷静になったら松井バットでノーダメ勝利いける気がする。

「鍵閉まってるからなぁ、着替えたら玄関前で瑠璃が帰ってくるのを待つか・・・」

 それで鍵を受け取って・・・。

 瑠璃には金渡して、ケーキ屋でなんか買い物頼んで(ルガリウで好きなの買ってイイって言ったら喜んで受けてくれるだろう)。

 その隙にメリーを処理して・・・。


 あっ、ヤベェ。

 ポヨン蹴っ飛ばして瑠璃の部屋のドアに穴空けたんだった。

 結構デカかったぞ? 瑠璃の顔位。


 どうしよう?

 どうイイワケしよう?

 苦しいけど、ヤクルトのバレ◯ティンの真似を極めようと思ってバット振り回してたらやっちゃったってことにするしか・・・。


 でもあんな、かなり円に近い穴、バットで空くか?

 そもそも木製バットで扉にあんな穴空くか?

 いやでも、もうソコは「バレンティンのパワーはスゲェんだ、ホームラン60本の日本記録は伊達じゃねぇんだ」って叫んでゴリ押しするしか!

 そして瑠璃は冷たい顔でこう言うだろう「はぁ、バレンティンて誰?」。


 そうなればこっちのものだ!

 如何にあの年のバレンティンがすごかったか。

 比較対象に55本記録保持者の王さん出して。

 王さんのレジェンドストーリーから長島の天覧試合ミラクルホームラン。

 そして監督時代のメークミラクルに話題をつなげて。

 最終的にはマー君のシーズン24勝0敗と、日本シリーズの最終戦登板時の球場の一体感がいかにすごかったかまで持っていければ!


 も う ド ア の こ と な ん て ウ ヤ ム ヤ だ!


 ・・・になるかなぁ?

 そういえば、2月14日に瑠璃が義理チョコをくれた時、「バレンティンチョコありがとう」って言ったし、3月14日に「はい、これ、バレンティンのお返し」とも言ったけど、完全なスルーだったね。


 などと全裸で頭抱えて、ソファでゴロゴロしていた俺は、こんなアホなことに時間を浪費していたことを激しく後悔することになる。


 なぜなら・・・。


 ポーチの外から、ウィーン・・・とエレベータの扉が開く音。

 え?

 誰?

 誰か来た?


「います?」

「うーん。いないけど・・・」

「じゃあやっぱり気のせいじゃないですか?」

「声聞こえた気がしたんだけどなぁ・・・。

 あ。でも、なんだろう?これ?」


 ポーチの外から、鈴の鳴るような、透き通った声。


 か 、 か 、 か な み だ !


 間違いない。

 この清楚さの中にリビドーを刺激するような妖艶さを内包する魅惑のヴォイス!

 朱野かなみその人だ。


 なんで?

 なんで?

 なんでいるの?

 もう、下校?

 そんな時間?

 いやいや早すぎだろ!

 っていうかかなみ部活は?


 そして、あと、もう一人は・・・

「瑠璃ちゃん知ってる?」

「これは、にぃに・・・兄の、スポーツバッグですね」


 ウォオイッ!

 やっぱ瑠璃だ!

 なぜ瑠璃もいるっ?

 なんでだーっ?


「じゃあ、やっぱりいたんじゃ?」

 ガチャガチャとドアノブをひねる音。

「鍵は閉まったままですけど・・・いるのかな?

 にぃに・・・兄はカギとか閉めるタイプじゃないんですけど・・・」


 俺はいつでも田舎セキュリティー。

 母と瑠璃には、よく注意されている。


 カチカチという打鍵音と、かすかに聞こえる我が家のチャイムの音。

 間を置いて何度か鳴らす瑠璃。

 混乱して硬直している俺は未だ全裸でソファの上。


「やっぱ、いないみたいです」

「鍵開けて入ったら?」

 え?

 あ。

 あ、それ、まずい。

 中にメリーが・・・。


「キーケース、鞄の中なんで・・・。

 かなみさんの部屋に置きっぱなしです」

「あ、そっか・・・」


 え?なに?どういうこと?

「あれ?これは?」

「あ、それはパパ・・・、じゃなくて父の・・・大事にしてるバットです。

 なんか有名な選手のサインバットらしいです。なんでこんなとこに・・・」


 未だにパパと呼ばれている父は果報者だと思う。

 ていうか瑠璃、ゴジラ松井知らんのっ?

 ほんとにマジで?


 松井とイチローと新庄は国民全員が必須で知ってるもんじゃないの?


 え?

 新庄は知らないの?

 そぅ・・・。



 その2につづく・・・。


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