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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第7話 柄にもなく、勇気を振り絞った結果・・・その7

◇ ◆ ◇


 つまり、キューティールナーに変身して、その時、腰に装備されているであろうポヨンルームにキュルンッと飛び込み、ポヨンルームのトイレを拝借しよう。

 万事解決だ!

 

 マンションの廊下で変身とか、知るか。

 もはやどうでもいいんじゃ!

 変身に掛かる時間なんてたかだか30秒程度だろう。

 そのままキュルンとポーチに入ってしまえば他の住人に見られるリスクは低い。

 ここのフロア四室しかないし。


 最悪見られてとしても、その場でキュルンと消えてしまえば、なんか「謎のファンシーな幽霊が出た」的な話で終わりデスヨ。


 ウンコ漏らしたまま!

 自宅にも入れず!

 汚物状態で泣き濡れて立ち尽くしているところを他の住人に見られ!

 マンション中に「灰谷さんトコの息子さんがヒソヒソ」、「なんでも廊下でヒソヒソ」、「まぁ、なんてスカトロなことをヒソヒソ」なんてことになって!

「うちの残念な兄がスミマセン・・・」ってなる方が問題だ!



 よっしゃ! そうと決まれば早速変身だ!


 変身・・・・変身かぁ・・・。

 ビキニアーマー、やだなぁ・・・。


 でも、やるしかっ!

 よし!

 やるぞ!

 やってやる!


 ・・・やるよ?

 うるさいな!

 やるってば!


 色々あるんだよ。

 心の準備とか!

 変身してる時のあのくねくねした動きで漏らしちゃわないための気合とか!

 便意強度には波があるんだよっ。

 その波が引く時を待っているの!


 なんて言っててもしょうがない。

 ・・・よしよし、ハイハイ、ヤりますよ!

 イチ、ニィ、サン、ハイ!

 がんばれ!俺!


「ええぇと、確か・・・せ、世界の、ヒロイン・・・キューティールナー。

 ル、ルナリンク・・・チャージ?」

 俺は、ケツの紋章に手を当て、ボソボソ小声で、変身の呪文をつぶやいた。


 マンションの廊下にピンクの光がパアッと広がる。

 変身発動。

 ちょっと噛んだけどOKっぽい。

 そういや、レクチャービデオの女の子もけっこう噛んでたもんな。


 朝と同じように俺の身体がふわりと浮かび上がる。

 慣れないな、この感じ。


 っと、こっからダンス(?)が始まるから気合い入れて穴閉めないと。

 頼むぜ?便意マン。

 あと少しの我慢だから!


 勇気マン改めエロマンはもういいから寝てろ。

 もしくは本物の勇気マン呼んでこい。偽物め。


 俺の身体はキャッチーなミュージックに合わせて軽快なダンス。

 体は色とりどりの光りに包まれ、ピカピカと眩く弾け・・・若干伸びる髪。

 ん?今気づいたけど、髪の色若干ピンクっぽい?

 腹はへそ出し。

 大胸筋との間にパカパカ隙間のある硬いブラジャーのようなアーマー。

 短いスカートにパッツンパッツンのパンツ。

 そして、片方だけのダメ絶対領域&ムダ毛丸出し生足ハイヒール。


 二度と変身するまいと誓ったはずの例の姿に、再び変身した。

「やっぱり死にてぇ・・・」

 廊下に手をつき、再びがっかりポーズの俺であるが、落ち込んでいる暇はねぇ。

 油汗が全身だらだらなんだよ!


 俺は、即座に腰をまさぐる。

 左腰。あった。

 部屋に置きっぱなしだったポーチ。


 ポヨンはたしか変身した時に装備されるようになっていると言っていた。

 少し不安があったがホントだったようだ。

 ポーチのフタに付いているハート型のボタンに触れようとすると、やはりひとりでにフタが開いた。即座に手を突っ込む。


 キュルンッ!


 思い切り引っ張られるような感じがして俺はポーチの中に吸い込まれた。

 落ちていくような、引き上げられるような不思議な感覚。

 周りの景色が大きくなりながら足元の方へ飛んで行く。

 頭側から吸い込まれたはずだが、ポヨンルームの真ん中に足から降り立つ俺。


 直後に軽い落下感。

 同時にドサッという音が聞こえ、ポーチが廊下の床に落ちたのだと悟る。

 衝撃とかは殆ど無いのな。

 ちょっと揺れたかも、くらい。


 上を見上げると、フタは閉まったらしい。ポーチの内側と思しき天井が見える。

 天井意外と高いな。

 む、よく見るとあのシャンデリア、かなり豪奢だな。

 なんだよアレ。ムカつく。


 現代日本社会におけるシャンデリアの役割をポヨンは理解してないようだな。

 物語にシャンデリアが登場したら、75%位の確率で下敷きになって誰か死ぬんだぞ?

 機会があればポヨンに味あわせてやる。伏線の回収というやつだ。


 っと、そんなことよりトイレだよ。

 ええと、トイレトイレ・・・。


 ポーチの中、細長い広い部屋。

 周りを見回す。

 舐めるように見回す。

 くるりと一回転して見回す。

 

 えーと。どこ? トイレどこ?


 左を見る。部屋の左端には流しがふたつも付いているシステムキッチンのスペース。

 食器棚・・・白い壁・・・ダイニングテーブル、イス・・・。

 で、サイドの長い壁。

 壁側には白を基調としたちょっとファンシーなデザインの花柄の入った高級そうなローチェストが幾つか・・・。

 部屋の中央あたりには、白の革素材の高そうなソファと、その前にある大きなガラス天板のローテーブル・・・。

 壁に埋め込まれた100インチ位の黒い硝子板。

 なにこれテレビ?でかいな。ムカつく。

 そして、壁~~~っと来て・・・部屋の右端にドレッサーと、小さいベッド。サイドテーブル。

 ポヨンの寝室スペースか。

 そして折り返してまた壁、壁~~~。

 そして、俺。

 で、壁が続いて、再びキッチンっ!

 一周完了!


 うん。ドアが・・・無いな。どこにも。

 ワンルームなのは別にいいけど、ウォークインクローゼットとか洗面所とか・・・。

 風呂とかも無いのかな?

 かな?


 ト。


 ト。


 ト。

 

 ト イ レ と か 、 無 い の か な っ !?



 その8に・・・つづく、かなっ!?


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