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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第7話 柄にもなく、勇気を振り絞った結果・・・その4

◇ ◆ ◇


 ってイヤイヤ!

 だめだよ!

 あきらめちゃ!


 閉めるんだ! ドアも! 肛門も!

 全力出せ、俺!

 出さないために!

 振り絞るのは勇気だろ! 別の物振り絞ってどうする!


 つーかなんでこんなことになってんだよ!

 おかしくない?

 おかしいよ!


 セオリー通りなら、神社で心新たに立ち上がった俺は、これから頑張って、挫けた勇気を取り戻して、瑠璃とかなみを守って敵と戦うとかじゃないの?

 ついに敵とのバトルが開始で、物語はゴリゴリと急展開!

 出てくる敵をバッタバッタ。

 ヒーロー見参!

 俺様大活躍!

 ハーレム完成!

 とかじゃないの?


 な に ? う ん こ っ て ! ? 


 いる?

 このくだりいる?


 くっそ―――――――っ!

 くそが―――――っ!

 くそのせいで、全てがくそに!


 あ―――も―――っ!

 助けて! ベンキマン(画像検索どうぞ)! 出張してきて―――っ!


 なんて叫んだところで、来るはずもないし、来られても、あいつ和式だしなぁ。

 あの野郎の顔の位置から考えるに、マイアスホールを見られながら行うのは抵抗ある。

 やっぱ来なくていいや。


 しかしどうするこの事態!

 む・・・なんか脳内を支配していた恐怖が便意によって駆逐されてきたぞ?

 空腹によって恐怖の支配から脱した時よりは、時間的制限があるが、今のうちにゲットクールしてクレバーな判断を・・・できるかわからんがやるしか無い!


 でなければ自宅玄関先でビッグバンだ!

 宇宙の起源とか勘弁だ。

 新世界の神ならいいけど!

 そしたらかつて無いほどモテない男を優遇する変態神になってやるからな!


 童貞卒業強制執行法とか作って、全国の童貞どもから心よりの喝采を受けてやる!

 モテないヤツほどかわいい子とカップリングするようにしてやる!


 なんてこと考えてる暇はないんじゃぁ嗚呼!

 リミットがあるんだ!

 無駄なリソース割いてると、すぐに限界突破してしまうぞ?


 えーと、えーとどうする?どーする?

 とはいえ選択肢はそんなに多くはない。


 一つは、このままドアノブを離し、武器バットを構えたまま後ずさり、エレベーターで逃げて、隣の貝塚公園まで歩いてそこのトイレに駆け込むパターン。


 この案のリスクは、ドアノブを離した時にいきなりメリーが出てくる事。

 これはもう、全力で逃げる以外にない。

 そしてバーストは諦めるしかない。

 ハローバイバイ。


 メリーの野郎が出てこないにしても公園トイレまでの距離も結構な賭けだ。

 この状況で移動はキツイ。

 途中で限界が来るかもしれん。


 あと、エレベータも地味にヤバイ気がする。

 浮遊感で下から押し上げられて少し楽になってからの到着する際の下降圧力。

 甘やかしてからの厳しさ。

 癒し系お姉さまからのドS系女王様。

 果たしてそのギャップに俺は耐えられるのか?

 イってしまわないか?


 さらに、どうにかこうにか公園に辿り着いたところで、ほぼ確実にディフェンスに入るであろうコンジイの存在。

 多分、先にうんこしてるねコンジイは。

 奴の人生そのもののような、細~くて長~いやつを。


 俺が「は、はやく出ろぉぉぉぉおおおっ!」って絶叫しながら、トイレの前で悶絶する姿が目に浮かぶようだ。

 我慢の限界に達した俺は、「もう女性用でもいいや!」とパニックならではの変態的結論を得てしまうだろう。

 フラフラと、そしてソロソロと、すり足で振動を与えないように女性用トイレに侵入しようとする俺という犯罪者がついに現出してしまうのだ。


 そして、きっと、そこに計ったように現れるマコ姉とあの園児。

 園児が「あ、朝のに~ちゃ~ん!」とか言いながら、体内ジャイロセンサーを揺らさないように蝸牛の如き歩みの俺の背中に、無邪気にドーンとぶつかってくるんだよ。

「ライダースラッシュ!」とか言いながらな!


 そして、俺の最後の門は突然のスラッシュでクラッシュ・・・。

「あらあら、だめよー?」なんてにこやかに微笑むマコ姉の前で、滝のような油汗を流し、いびつに捻れた笑みを浮かべながら、俺は・・・。

 オォ、ついに俺はぁ・・・嗚呼っ!


 ヒィイイ・・・イヤァアアア!

 きっと楳図か◯お先生的絵柄になってしまうに違いない。


 そうなれば、さすがにもう、『これからが俺達の冒険の始まりだ! 皆様、ご愛読ありがとうございました。灰谷慎太郎先生の次の作品(人生)にご期待ください!』ですよ。

 グッバイ マイ ライフ! 



 公園に行くのが厳しいとすれば、もう一つの方法は・・・。

 これはこれで相当の勇気が必要になるが、この扉を開けて中に入ることだ。


 考えただけでも震えが来る。

 なんせ敵のフィールドに便意を抱えたまま飛び込むのだ。

 だが、あいつが俺の部屋で直立不動姿勢でいるならば、玄関入ってすぐ右手にあるトイレに忍びこむことができるだろう。

 その後、メリーさんが俺に感づいてトイレの扉をガンガンやっても、このバットをつっかえ棒にしてどうにか用をたしてやるさ。

 前門の虎と肛門の、もとい後門の狼。狼を先に倒すのがこの不可能とも思えるミッションの唯一の攻略法だ!


 問題は・・・ドアを開けてすぐ相手が待ち受けていた場合だ。

 これはやばいよ?

 その場合は、覚悟を決め、「うぉおお、かなみぃっ! 瑠璃ーっ!」と叫びながら敵に殴り掛かるしかない。

 なんといっても初太刀が重要だ。

 飛燕の踏み込みと同時に相手の面を上からバットで打ち抜く!

 同時に反作用の衝撃で、俺の尻は中からドバッとぶち抜かれるだろう・・・。


 もう、そのあとは滅多打ちだ。

 泣きながら、そしてプリプリ漏らしながらメリーさんを完封してやる!


 で、その後は片付けだね。

 勝利の余韻に浸る間もなく下半身裸で床を拭いて、「匂いが全然取れないよう」なんて再び咽び泣いて・・・多分そこに瑠璃が帰ってくるんだろうね。

 もしかしたら「下で会ったんだ」とか言って、かなみとナギちゃんも一緒だったりしてね。

 そこにマコ姉がお茶誘いに来たりしてね・・・。


 みんなで見下ろすんだ。

 床に這いつくばる、糞尿にまみれた・・・この俺を。


 うわあもう飛び降りて死ぬしかない!


 ダイブ トゥ ブルーッ!



 その5にツヅクゥーッ!

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