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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第7話 柄にもなく、勇気を振り絞った結果・・・その2

◇ ◆ ◇


 推理がジャストミート過ぎ。

 目を見開き、口をパクパクさせる俺。

 唖然とはまさにこのことだ。

 何この子!


「あれ~?

 意外とイイトコ突きました?

 てことは・・・。

 ・・・あ、塩だけ持っていて変だな~って思っていたんですけど、もしかしてお祓い用なんですか?」


 ド・ドドド、どんぴしゃビンゴ!

 ドビンゴ・グスマン!

 こえ――――っ!

 ナギちゃんこえ―――っ!


「あ、もしかしてこのバットが護身用の武器?

 だとすると、幽霊と言うより、実体ある系のモンスターか・・・。

 いや、お塩に頼ろうとしているとこみると、実態のある幽霊系?

 貞子とか伽椰子みたいな?

 あ、このバット、おじさんの宝物じゃないですか?

 いっつも、すっごい自慢してくるヤツですよ?

 持ちだしていいんですか?」


 グイグイと正解に近づいていく度、ビクッとなる俺。

 ナギちゃんは、チラチラこちらの反応を見ながら推理を展開していく。

 ・・・すごい速さで真実に迫ってくるんですが、この子。

 にしてもおやじ、ウザいことしてんなー。


「でも~、腕におぼえありのニーニくんが、自分の木刀じゃなくて玄関に飾ってあるバットを武器として持ってるってことは・・・。

 すでに木刀が確保できない状態ってことで。

 オバケがいるのはニーニくんの部屋?

 パソコン画面から貞子が這い出てきちゃった系?」


 パソコン画面から出てきたのはポヨンだけど、貞子はもうすごく近いわ。

 この子アレかな?

 ホームズかな?

 コナンかな?

 とりあえずコロンボに追い詰められていく犯人の気持ちが今すごくわかる。

 唖然を通り越して愕然ですよ。


「でも・・・花瓶がわかんない」と首をかしげるナギちゃん。

 いや、それ俺もわからんから。

 慌ててたから。


「あ、違うかも。

 このスポーツバッグを見るに中途半端に逃走の準備をする時間があったってことだから・・・。

 なにかあって・・・。

 逃げる準備してる時にいきなり来たんだ!

 それで慌てて逃げて、玄関のバットと・・・んん~花瓶?」


 ナギちゃんは俺の顔を覗き込み、

「ニーニくん。

 花瓶持ってきちゃうくらい、めちゃくちゃ慌ててたんですか?」

 おれは、ナギちゃんの的確な推理に驚愕しながら、こっくりと頷き

「た、たぶん」と言った。

 震え声で。

 それは、いままでの推理を全て肯定するものだった。


 ナギちゃんは、目を閉じて、んん~と思案する。

 そして

「え? は? マジですか? 冗談ではなく?」

 急に怪訝な顔で言った。

「え?」

 どういうこと?


「うわ、その反応。

 マジなんですね?」

「は? いや、だって、ナギちゃんが言い当てたんじゃない?」

「はぁ、そんなの冗談に決まってるじゃないですか。

 オバケとか、悪魔とか、魔法とか、ファンタジーとか、お祓いとか、神仏とか、あるわけ無いでしょ?

 空想の産物ですよ?」

 いや、お祓いはあるんじゃないかな?

 神社で憩ってるくせに神仏全否定はひどくない?

 ていうか、神様はともかくとして、仏は確実に実在した人物じゃないか。


「な、ナギちゃん、え? ちょっと待って?

 えぇと。じゃぁ、さっきのめちゃめちゃ鋭い推理は・・・?」


「うううん。つまり、私の小粋なジョークである荒唐無稽な推理をまるっと信じていると。

 なんなら、ニーニくんには、その幽霊の姿が具体的にはっきり見えていると。

 なるほど・・・」

 頭にハテナが三つぐらいでている俺。


 その俺にびしっと指差し、

「結論!

 ニーニくんは、病気です。

 病院に行きましょう。

 ダイジョウブ。治ります。

 私は見捨てないですよ?

 破産した設定の私を見捨てずにプロポーズしてくれたニーニくんを見捨てる訳にはいかないですからね。

 治るまで、ずっっっと、ずうぅぅっと付き合いますよ?

 だと、かなみ先輩邪魔ですね?」


 どういう展開だっ!?


「いやいやいやいや!

 ナギちゃん! マジマジ! 病気じゃない!

 マジなのよ? ナギちゃんのさっきの推理、ホントに殆ど当たってたの。

 あのさ、もう、この際だから言うけど、なんつーの?

 都市伝説の口裂け女とか人面犬とかあるじゃん?

 そういう類で、メリーさんってのがあるのよ。

 ソレが来たの。

 貞子じゃなくてメリーさんが来たのよ!

 ホントなんだよ!

 でも、見た目は貞子っぽい白いマントで・・・」

「は?口裂け女とかって、噂の伝達速度を調べるため作られたウソ話じゃないですか。

 じゃあメリーさんもウソですよ」


 顔が、なんかすごく呆れて・・・蔑んでいる?

 ほんとなのに―――っ!

「ホントにホントなんだって!

 今日は、ちょっと色々あって学校サボってさ。

 家でだらだらしてたら、今から行くって謎の女から電話が来てさぁ! 

 あ、その前には、なんかわけのわからない文字の着信画面で・・・無言で・・・怖くて。

 そしたらベランダにズシ―――ンってなんか来て!

 その後、窓から外を覗いたら、肩にフランス人形乗っけた白いコートの女がいたんだよ!

 ウチ、8階なのに!

 それで俺の部屋にまっすぐ・・・それで慌てて・・・」


「・・・はぁ。うん。なるほど。

 ちょっと待ってください?

 えーと・・・。

 んんんん~~~~?

 あ、あーはいはい。

 うん。ニーニくん、むちゃくちゃですね。混乱してますね?

 あー、ま、大体わかりましたよ。

 メリーさんの顔は見てないんですね?

 ハイ、ダイジョウブです。」


 手のひらを見せて、もうけっこう、みたいなポーズ。

「顔は・・・確かに見てないけど。いや、ホントに居たんだって・・・」

「や、もう、ウソはいいですって。

 ニーニくん。ウソ下手ですもん。

 すごく良い人だから。

 ちなみに身体はダイジョウブですか?

 ケガとか無いです?」


 あれ?ディスられつつ、ちょっと褒められて、心配されて嬉しい俺がいる。

 ま、でも、うん。

 コレが普通の反応だよな。考えてみれば。

 ナギちゃんがノリでやった冗談推理があまりに的確だったんで、思わず話してしまったが、普通ならこんなこと信じられるわけがないんだ。

 だから言うつもりなかったんだし。


「あ、うん。ま、そうだね。ごめんな。

 身体は平気。問題無いと思う」

 クールガイなのにしょげる俺。

 情けない。素が出てたよ。

 あ、いや、素もクールですよ?


 空を見る俺。

 ・・・泣いてないぞ?

「あ、ま、でも、ニーニくん?」

「ん・・・あ、なに?」

 子供相手に、気落ちした返事してる俺。

 ガンバレ。俺。

 気合入れろ。


「仮に、ニーニくんの見た幻覚が事実だとしましょう」

「う、うん。いや、事実なんだぜ?」

「はいはい。

 ま、事実だとして。

 ソレはまだ、ニーニくんの部屋にいるんですか?」

「え? わかんないけど、多分、いる気が・・・する」

「なるほど・・・」

 ナギちゃんは、また、うーんと考える仕草。そして、


「もうしばらくしたらルゥが学校から帰ってきますよね?」

「え? あ、まぁ、そうね」


「ニーニくんは、ルゥがそのメリーさんとやらに襲われてもいいと?」


「えっ?」

 考えもしなかった。だってあの時は頭がパニックで。

 でも、そうか。

 アレはたしかに実体だった。

 それは確かだ。絶対に幻覚じゃない。

 きっと・・・いや、絶対に悪意ある存在。

 それを、家に放置して、俺だけ逃げる?

 瑠璃が帰って来るのに?

 かなみがおばさんの作ったおかずのおすそ分けを持ってくるかもしれないのに?


 化け物に襲われ、亡骸になった瑠璃とかなみの姿が頭に浮かんで、慌ててそのイメージを振り払った。

 俺は、バットを持ち、スポーツバッグを肩にかけ、立ち上がった。

 足は震えていない。


「ナギちゃん。ありがとう。俺、家帰るわ」

 そう言って俺は走りだした。


 ナギちゃんはニコッと笑って

「はい、頑張ってください!

 きっと勝てます。ニーニくんなら!」

 と、俺の背中に手をひらひら振った。

 タトゥーの入った右手を。


 ん? ナギちゃんは結局オレの話を信じてるの?信じてないの?

 信じてないっぽい態度がウソなの?

 もう、わかんね。


 あ、・・・花瓶忘れた。食卓塩も。

 でももういい。

 やってやるぜ!


 俺は鳥居から足を踏み出し、階段を駆け下りた。



 その3へつづくぜ!

 

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