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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第4話 四次元ポケット手に入れた結果・・・ その2

◇ ◆ ◇


 ベッドの上であぐらをかく。

 あぐらは駄目だぜ。おいなりのハミ出危険率が高い。

 今も若干はみ出ている気がするが・・・気にしないが。


「と、とりあえず、変身を解く前に、アイテムを授けないといけないポヨ」

 目の周りに青タンを作って、十字型絆創膏をいたるところに貼ったポヨンが言った。

 このボロボロ具合は、暴力系巨漢小学生にいい感じにやられたノビ的メガネ小学生のそれに似ていた。

 いっつも、ボカボカという軽い効果音と、土煙的な何かで目隠しされていたから暴力の詳細はわからなかったけど、俺がポヨンにしたくらいの極悪な所業をあのオレンジシャツの巨漢小学生は自分の同級生に対して行使していたのか・・・。ちょっとひど過ぎるぜ、ジャイ◯ン。

 映画でちょっとイイコトしたからって取り返しつくレベルじゃねぇぞ。


「あぁ、そういえばアイテム。忘れてたわ。

 ・・・なんかマジックアイテムだっけか?」

 そして、この期に及んでちょっとワクワクしはじめている俺がいる。

 いや、でも、気になるは気になるでしょ?

 だって、こんなんだけど、マジでマジもんのマジックアイテムだよ?


 そりゃ分かってる。

 ここまできたらいくらなんでも現実見えてる。

 例えば俺がほしいのは、ドラなんとかえもんがそのポケットに入れているあれやこれやのひみつ道具的なものだ。

 色んな意味で人生チートになるからな。

 でもコイツは見た感じ似て非なる系キャラ。おおくは望めないだろう。


 いわゆるお約束的な範囲で期待できるところといえば・・・、何らかの攻撃アイテム。

 移動アイテム。

 あわよくばQTハニー的万能変身アイテム。

 そしてさっきコイツが使っていた、やたら高性能そうなタブレット系の情報機器。

 攻撃アイテムは使う当てがないからいらないけど、他の三つは欲しいな。

 変身アイテムとか、夢じゃね?


 あっ! そしたら俺、美少女に変身してからキューティールナーに変身するわ!

 うほほい、再び夢が広がりング。



 ポヨンがちっちゃい腕をくるんと回すと、ポンっと音がしてでかいハートの飾りのついた腕輪が現れた。

「さあ! まずこれポヨ!」

「おお?」

 さっきも見たが、何もない空間から物を取り出すのはやはりすごい。

 手品ではないのだ。

「マジカルブレスレット、略してマジブレス!ポヨ!」

「べタなデザインにベタな名前だなおい!

 で?で?どんな機能があんの?」食い気味に訊く俺。

「フフフ! 興味津々ポヨね~!」

「いいから!はよはよ!」

 ワクワク感は否めないでしょ。


「マジブレスは、このハートの宝石に話しかけると・・・」

「話しかけると~?」、あかん、ソワソワしてしまう。

「なんと!ポヨンのテレパストーンを経由して、離れたところにいる騎士仲間と話ができたりするポヨ!

 ふふん!」

「・・・・・・」

 急速にしぼんでいく我がテンション。

「あ、あれ? どうしたポヨ?」

 エロマンガ読んでてウォオオ、このキャラ、いいぃい! と思って次のページ見たらふたなりだった時のアレと同種のしぼみ方。

「あ、で、でも、そういえば、ポヨンのテレポストーン、今壊れてるから多分使えないポヨ・・・」

 さらにしぼむわ!


「あー、ま、それなら、ケータイで、いいんじゃね?」

「ケータイ? まさかケータイって・・・あ、あのレポートにあった選ばれし者が持つ通信機器!

 確か普及率は4%以下!」

 それ、いつのデータ? 昭和の社長の自動車電話?

「俺、ケータイっていうかスマホあるし、いいんじゃね?」と、カバンからスマホを取り出して、見せる。

「・・・シンタロすごいポヨ。さすが選ばれし者ポヨ・・・。

 レポートによれば城持ち貴族とか、将軍とかしか持てないとされているケータイを・・・

 ハッ!もしかして、この巨大な館(うちのマンションのことと思われる)はまさかシンタロのもの?」

 ケータイは戦国時代の名物茶器かなにかか。

 例のレポートの信憑性がどんどん疑われていくよ。

 データが古いとかのレベルではなく!

 つーか城持ち貴族って、日本の話じゃないよな。日本の貴族はそもそも城に住んでない。


 ひとしきり、スマホについて説明する。

 そしてなんだか落胆しているポヨン。

 沈んだ声で、「はぁ~すごいアイテム持ってるポヨね~」とか自嘲気味にブツブツ言ってる。

 なんか、ごめんな?


「良し! しゃーない!

 今、ドラえ◯んとか読むと、スマホがあるだけで間に合っちゃうレベルのひみつ道具も多いしな。

 仕方ねぇよ。

 正直、ネットとスマホは現代文明の実在するオーパーツだよ。気にすんな。

 つぎ、いこうか!」

 ポヨンの背中をバシバシ叩き、盛り下がった気分を無理矢理盛り上げてみる。


 にしても、通信機器はもはや一昔前から見れば魔法並みにに発達しているんだな。

 でも、変身とか、瞬間移動とか、反重力飛行とかは、まだ科学では魔法の後塵も見えはしない。魔法文明の圧倒的勝利だ。

 さぁ、そんなアイテムを! カモン!


「えと、つぎは・・・コレぽよ・・・」

「おいおい、テンションひっくいで? 頑張ってこ? な?」

 意味もなく関西弁。盛り上げるときは関西弁。

「ポ、ポヨ・・・」

 ポヨンが沈みがちに腕を振ると、ポンッと例の煙が弾け、ポヨンが手のひらサイズの・・・なんだっけ、あの、鏡がついてる、女がちょいちょい自分の顔見たりする・・・あ、思い出した。コンパクトだ。

 ポヨンは、自身をディフォルメしたかのようなコンパクト(女児向けおもちゃ売り場で似たのを見た気がする)に変身した。

 そして、ポテっと床に落ちる。

「え? ・・・ん? それなんだ?」、単純に疑問に思って尋ねた。

「ポヨンは・・・、シンタロと一心同体ポヨ・・・」、パカっとコンパクトが開き、鏡の部分にポヨンが映り、しゃべった。

「は? はぁ。 ん? で?なに?」

「つまり、常に一緒に居無くてはならないポヨ」

「おお、そいつはウザいな。

 いや、まぁ、そうじゃなくて、アイテムは?」

「つまり、ポヨン自身をカムフラージュし、敵や一般人の目を気にせずに、常に持ち歩けるようになったコレ。この姿こそが、マジックアイテムその2ポヨ・・・」


 ただでさえしぼんでいた期待がしぼみきるっていうか・・・代わりに怒りが膨らむっていうか・・・なんだろうこの無感動な感情。

 コレジャナイ感ってやつ?

 とりあえず踏み潰したい。

 そもそも、こんなデザインの物を持ち歩いて鏡見ながらボソボソ喋る男子高校生、どう?

 どうしょうもねぇわ。

 カムフラージュっていうか、注目の的だよ。完全に悪い意味で。通報通報。


「・・・・」

 怒りを押し殺すのにエネルギーを使っているせいで、無言になる俺。

 あぁ・・・、このコンパクト、逆方向にバキッと折り曲げたら、どうなるんだろうなぁ・・・。

 もしかしたら俺のモヤモヤした怒り的な感情が、スーッと治まるかもしれないなぁ。フフフ・・・。

「ちょ!何するポヨ? そっち側には曲がらないポヨ!」

「・・・・」

「そ、その表情はなにポヨ?

 すごい無表情なのに、コメカミがビキビキなっギャアアアアアアアッ!」


 フンッ!っと力を込めてみたら、バキッっと音がしてコンパクトが逆「く」の字に・・・ブフッw

 うっは―――――っ!

 めっちゃスッキリ!

 めっっっちゃ! スッキリス―――ッ!

 溜まっていたんだ!

 俺、ストレス溜まっていたんだよ!


 コンパクトがボワンッと煙に包まれ、元のサイズに戻ったポヨンが腰に手を回しながら(手が短いので全然届いてないけどな)、ミギャアアアと喚きながら床を転がる。

 涙がジャバジャバ出ている。

 転がり跳ねまわるポヨン。

 涙やら鼻水やらが、四方八方、全天球1080℃に弧を描きながら飛び散る。

 3Dねずみ花火・・・脳裏にそんな言葉が浮かんだ。


 そして俺は、憑き物が落ちたかのように、満面の笑顔だった。



 その3へつづく

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