第一章 第3話 美少女騎士キューティールナーになった結果・・・その8
◇ ◆ ◇
・・・俺はなんというか、頭がチカチカしてきた。
まさか・・・え?アレやるの?
うそやろ?
となりのポヨンを見る。
ポヨンは映像が終わったのを確認して、タブレットの操作をしていた。
俺の視線に気づいたポヨンが理科の時間に実験のビデオを見せ終わった時の先生ようなテンションで
「はい、えーと、そういうわけポヨ。
シンタロも、まぁあんな感じn」
「 ム リ だ っ ! 」
相手のセリフに被せて拒否!
完全なる拒否!
だって無理でしょ!?
無理でしょうよ!?
できる?
君ならできるの?
できるって言った奴は、ビックフットに蹴られたことがあるって言ったやつだ!
もしくは変態だ!
大変な変態だぞ!
「な!? ダイジョブポヨー」
「何ひとつダイジョブではないわ!
今、真剣に爆死か変身か天秤にかけてるわ!」
「いやいや、基本はアレだけれども、そこは魔法ポヨ。
それぞれのタイプや体格に合わせてアレンジがかかるから平気ポヨ」
「アレンジってなんだよ!
俺が変身したらコスチュームが男物になんのか!
それとも俺の体があんな感じの女の子になるのか!」
そこまで言って、ハッとした。
これは・・・。
これは!
こ れ は ! あ り う る !
トランスセクシャル物や男の娘ジャンルは、正直俺の趣味ではなかったが、最近の世の中の流れからして、可能性としてはある!
も、も、もしや・・・。
こ の 俺 が 美 少 女 に っ ?
・・・。
・・・・。
・・・・・。
えー、ちょっとまってくれよ。
えへへ。そういうことー?
いや、変身願望とか、女装趣味とか、ほんと、別に、全然無いけどさぁ~。
あれでしょ?
たしか仲間がいるんでしょ?
しかも、この感じだと、みんなうら若き美少女たちでしょ?
予想だと年上から年下、癒し系からツンデレ、きょぬーからちっぱいまでレパートリー豊かな三人から五人組プラスαでしょ?
それで、みんなミニスカートでしょ?
飛んだり跳ねたりくんずほぐれつのアクションでカメラには写されないけど俺の立ち位置からだとパンツ丸見えでしょ?
で、アークなんとかという敵の組織によって心の闇的なものに不思議な光線を当てられて化け物化したファンシーな造形のモンスターと戦って?
適当にダメージ与えたら必殺技ドカーン!で勝利して?
モンスターを操っていた敵の四天王的なヤツが「覚えていろ!キューティールナー!」とかお決まりの捨て台詞吐いて去った後は・・・、
み ん な で 、 お 風 呂 で し ょ ?
うん。
あれ?
ちょっと、興味なくもないよ?
いやいや、やらないよ?
そんな。美少女騎士なんて、やらないけどもさ~。
・・・でも、例えば美少女に変身してる間は、俺は俺であって俺でないというか・・・。
姿形が俺でないならクールガイとしてのキャラも特に崩れないというか・・・。
だから、美少女たちとキャイキャイ作戦会議したり、戦いの中モミモミしながら助けあったり、ダメージ受けてコスが破れてポロリしたり、お風呂だけじゃなくパジャマパーティー(セクシーキャラは透けネグリジェ着用)したりしても、別に問題無いというか・・・ねぇ。えへへ。
ん? ちょっと待てよ。
戦いの後、回復も兼ねて、お金持ちキャラ(おそらく黄色メンバー)のお屋敷にある、大きいお風呂にみんなで入るのは『 当 然 』のこととして、俺、変身解いたら、野郎に戻っちゃうじゃん!
駄目じゃん。
パジャマパーティーとかも無理じゃん!
だって、俺、寝る時はTシャツにボクサーパンツだし。
普通に叩きだされるやん!
ていうか、正体が野郎の時点で普段から絶対ハブにされる。
うわー。
急速にやる気失せたわー・・・。
くそー。
くっそーーー。
あーーーーー!
もう・・・。
パジャマパーティーしてぇえええ!
美少女とお風呂入りてぇえええよぉおお!
・・・。
・・・・。
・・・・・。
いや、うん、だからべつに?
最初からやる気とかないし?
興味ないって言ってたろ?
バカじゃねぇの?
・・・バッカじゃねぇの?俺・・・。
くそう・・・。
「な、なんか、シンタロの顔が、ありえないほどいやらしく歪んだと思ったら、急に元に戻ったポヨ。
この一瞬に何があったポヨ? ダイジョブポヨ?」
ポヨンがなぜかたじろいでいる。
今の妄想でどんだけ歪んだんだ俺の顔は。
いかんな、ポーカーフェイスじゃないと。
妄想の度に内容が顔に出てたら、かなみや他のサブヒロインといる時、エロい顔のみで構成された怪人二十面相になってしまう。
悪 い 事 し て な く て も
す ぐ 捕 ま る わ !
そ ん な 怪 人 !
その9につづく人。