第一章 第3話 美少女騎士キューティールナーになった結果・・・その7
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ていうかなにこれ。
いつ撮影?
録音環境も多分悪い。
風の音とか入ってるし。
そこに画面の左からピョンと女の子がフレームイン。
妹の瑠璃よりも若干幼く見えるから、十二~四歳ってとこだろうか。
金髪の可愛い子。
服装はなんか、やはりファンタジー世界で村人が着てるような布の服。
質素っぽいな。
そしておでこには、例のハートマークが、あるね。
「はーい! 良い子のみんな!元気かなー?
世界のヒロイン、キューティールナーだよ~!」
カメラ?に向かって手を振る。ハイテンションガール。
しかも日本語だ・・・。
あれ?俺が日本語に聞こえてるだけか?
魔法? 翻訳こんにゃく?
「今日は、これからキューティールナーになるみんなに、世界のヒロインとして恥ずかしくない、変身の仕方をレクチャーするよーっ!」
世界のヒロインがそもそも恥ずいわ!と、心のなかで突っ込んでいると、金髪の子がどんどん画面に近づいてきた。
顔のドアップ。
彼女の目線は下。
そしておそらくカメラの下に置かれているであろう何らかの機械(予想では古いラジカセ)をゴソゴソいじってカチッと先ほどと同じボタンの音。
シャーとテープの回るノイズ音。
そして、テテテと走って定位置まで戻る。
なんだろ、このノスタルジー感ある動画。
なんていうか家庭用ビデオカメラ出たての・・・昭和かな?
正面に向かって左半身に構え、左足を軽く浮かせて曲げる。
左手を腰に当て、顔の横で右手をパーにした決めポーズをとって待機する金髪美少女。
片足立ちだから、なんかちょっとグラグラしている。
テープからは、まだシャーと言う音が聞こえている。
少女は・・・か~なり、グラグラしている。
うん。
曲の頭出しのタイミング、完全にミスってるな。
たっぷり二十秒ほど待って、ようやくハイテンションのキャピキャピしたキラキラした感じの曲が始まった。
満を持して金髪美少女が自分のおでこに軽く触れ、空に手のひらを掲げる。
「みん・・・せ、世界のヒロイン!
キューティールナー!
ルナリンクチャージ!」
出 だ し 噛 ん だ ー っ !
なんとなく予想はしてたけどーッ!
たぶん「世界のヒロイン」を「みんなのヒロイン」て言いそうになったんだ!
ていうかめっちゃ照れてるやんこの子。
顔、赤っ!
パパパッと画面がフラッシュした。
その瞬間、金髪美少女の周りにピンクの光がキラキラとあふれる。
目を閉じる少女。
そしてその体が50センチほど、ふわりと浮き上がった。
多分だけど・・・特撮じゃない。
金髪美少女が踊りだすと、着ていた服が光りに包まれながらビリビリと破れ消えていく。
おおお?エロい感じ?
いや、ロリじゃないよ俺は。
そこ!通報すんな!
まぁ、予想通りというか、エロくて大事な部分はチカチカしていて見えない。
周りに散っている星のカケラのようなものが、手、足、胴、あちこちに纏わりつく。
金髪美少女が曲に合わせ、腕や足やおしりを強調して振り付けるタイミングで、それぞれの箇所がピカンと光ってコスチュームになった。
レオタードのような形のピッチリしたボディースーツに短いスカート。
肩や胸にピンピンひらひらした飾り。
左手にジュエルの埋まったキラキラした白いガントレット。
右手に白いロング手袋。
左足には金と銀のアンクレットと翼の飾りがあしらわれた白いハイヒール。
右足は太ももまであるタイツというかオーバーニーソックスにやはり翼飾りのついた厚底ブーツ。
全体的に白くてラメがあって、ちょいちょい宝石っぽい飾りがあってピンクや黄色のパステルカラーのラインも入って、左右が・・・うんアシンメトリーだな。
色々な要素と記号を詰め込みすぎて、完全にとっ散らかったデザインだ。
特に足!
下駄と上履きじゃないだけマシだが、これでは素足の綺麗さを見せたいのか、絶対領域で太ももの悩ましさを出したいのかわからんじゃないか!
いいとこ取りはできないぞ!
最後に、肩下くらいの金髪が腰までボリュームアップし、金髪の一部が輝きながらバニーガールよろしくウサ耳状に変形した。
最後に目尻にハートマークがキラリンとついて、唇にラメの入ったピンクのルージュが入る。
そしてゆっくりと目を開くと、その瞳に金色の光が煌き、ハートマークが輝いた。
金髪美少女はにこりと微笑み、
「みんなのすべてを愛して守る!
世界のヒロイン、キューティールナーッ!
キャハッ!」
セリフを噛まずに言い終えて、決めポーズ!
・・・そして曲は終わり、周りに散っていたピカピカしたカラフルな光が消え、その子はふわりと地面に降り立った。
その後、その恥ずかしいコスの少女はまさに恥ずかしそうな顔で、画面にテテテと近づいてきて、手を伸ばし、「あれ?えーと・・」と言いながら、カメラ本体をゴソゴソいじくる。
画面には少女の胸元が大きく写っている。
ちょっとエロい。
ていうかこのコス、胸開きすぎじゃね?
そして、「あ、これだ」という言葉とともにカチッと音がして、ブツッと映像は途切れた。
うーんこの動画クォリティー・・・。
その8につづいティー・・・。