第三章 第2話 においマンが最強になった結果・・・ その3
◇ ◆ ◇
倒された怪人から魂のようなモノが抜け出し、カルラさんの耳のあたり吸い込まれていった。
おそらくだけどフードの中にちらりと見えたピアスの石に。
彼女は満足げに頷くと、こちらを振り返り、
「勝ったね~」と笑う。
彼女の強さに圧倒されて「そ、そっすね・・・ははは」と答えるので精一杯。
二人で笑い合う。
俺の視線は、フードから覗く唇に吸い寄せられる。潤んでいてプニッとしてて、とても赤く、妖しくエロティックだ。
この前は、あの唇で・・・色んな所にキスを・・・。
聖剣が遠慮なく大きくなる。
でも袴はいてるから見た目わからんだろう。ふふふ。
心の中で袴の俺、グッジョブ!とガッツポーズ。
彼女はスススと近づいてきてニィとサディステックにその唇を歪ませると、細い腕を俺の首に絡ませる。そして耳元で
「ほんと助かったよ。アリガト」
ゾクリとした。
背筋から痺れ薬が全身に回った感じがした。
「ははは。いや、おれ、なんも・・・」渇いた笑いで応じる。
「ううん。
貸してくれたマスクがなかったら、私、アイツラの前で意識失ってたよ・・・。
そしたら・・・組み伏せられて、ローブもドレスも剥ぎ取られて・・・。
アイツラに捕まった女の子がその後どうなるか・・・わかるよね?」
「ふぁ、ふぁい・・・わかりましゅ・・・」
いい匂いで、ボ~っと呆けてしまう。
「ご褒美・・・ な に が い い ? 」
うはー。
役に立たなかったからお預けだと思っていたのに。
ご褒美ありみたいですよ~!!!
ヤッター!!
カルラさんは細い体を密着させながら俺の頭に回した手で、剣道の面の結び目を解く。
蒸れた額に夜風が気持ちいい。
ふふふふふ!
なににしようかな!?
なににしようかな―――っ!?
なんでもいいのかなーっ?
本番ってヤラせてもらえるのかな!?
流石に無理かな!?コンプライアンス的に!!
でも描写をさらっと流せば・・・。
「あ、でも、霧が晴れるまでね・・・今日のところは」
「あ、は、はい!」
霧が晴れるまで!?
大きさによって差異はあったけど、わりと短めだった気がするぞ!?
ど、ど、どうする?
選択肢だいぶ狭まった!!!
本番は無理だ。
お互い、シャ、シャワーとか浴びないとだし!!
カルラさんは、ホントは浴びなくていいけど!!
キ、キスか?
おっぱい揉むか!?
そ、それとも・・・禁断の・・・見せてって頼むか?
そ 、 そ れ だ !!
今まで、生では一度も見たことのない・・・アレを。
この、赤いワンピドレスのミニスカをめくって、さっきチラッと見た感じ白っぽいパンツをずらして・・・。
あ。
もしかして、な、舐めてもいいのか?
いいよな?
制限時間内なら・・・。
ドドドドドドド!
心臓の鼓動がゴリラのドラミングレベルに!!
はぁはぁはぁはぁ・・・やばい!!これは・・・。
大人の階段だいぶ登ってしまう!!
でもいいです!!
どーでもいいです!!
周りからどう思われるとか知ったことか!!!
登ります!!!
おとなのかいだん!!
おれは、震える口を開いた。
緊張で唇が乾燥しきっていて、端っこがペリってなった。
「 カ ル ラ さ ん 。
わ き の ニ オ イ が 嗅 ぎ た い で す ・・・ 」
何だって―――――――――――っ!?
いま、え?
今江?
脳内っ!?
お前らっ!?
どうなってる!?
脳内フィールドを慌てて覗き込む。
そこでは『第一回、カルラさんにナニしてもらおう杯トーナメント』が開催されており、レスラー共がすでに死屍累々。
そして、リングの上でエロマンをコブラツイストで落としたニオイマンが右手を高く掲げ、「シャァァァアアアアッ!!」っと気勢を上げていた!
その手には『ワキのニオイを嗅ぐ』と書かれたプラカード。
ニオイマン。黒いマスクに、やたらに日焼けしていて、悪役っぽくレベルアップしてた。
いや、ヒールに優勝されたらあかんやろ・・・。
まぁ、エロマンがヒーロー役かと言われれば微妙だが・・・。
理性マンとか、本能マンどうした。
トーナメント表を見る。
本能マンは『中出し』・・・二回戦負けか。
時間がないからな。
仕方ないね。
理性マンは、『かなみに申し訳ないからなにも要求しない』で一回戦負けか・・・。
15秒、アックスボンバーて・・・ファーストコンタクトで瞬殺されとるやんけ。
「あは、あははは。
それ、ちょっと恥ずかしいなぁ・・・」
カルラさんの笑い声で現実に戻る。
「でも、いいよ・・・少しだけね?」
そう言うと、ローブをファサッとはだけさせ、右手をスッとあげ、頭の後ろに回す。ためらいなく。
ローブの中のワンピドレスはノースリーブで・・・。
彼女のわきが・・・公園の街灯にさらされる。
柔らかそうな二の腕の付け根と、おっぱい山脈登山口の間にあるフニっと柔らかいくぼみ・・・。
若草が生えていたり、人によっては密林だったりするが、カルラさんのはツルッとした柔らかな平野・・・。
薄っすらと汗をかいて、湿ってる。
あ れ ?
超 エ ロ い ぞ ?
ワキを見ただけで思考が停止。
身体も、カチーンと動かない。
「ほら、どうぞ?ん?」
カルラさんがニヤニヤ。
「いざとなったら恥ずかしいかな?
ワキフェチの変態さん?」
「は・・・い、いや・・・へ、へんたいとかじゃ・・・」
いや、変態だな。認めよう。
一回目の要求がわきからのルートって、相当な難関ルート。
この先どう発展させていくのか・・・。
わ き 嗅 ぎ
わ き 舐 め
わ き コ キ
という、かなりマニアックなルートを通ることになるだろう!!
それもまた良し!!
「えいっ」
もう片方の手で首の後を持たれ、ぐいっ引き寄せられた。
しとっとした、ツヤっとした、柔らかなものが、鼻先に押し付けられた。
鼻からスウッと入り込んだそのニオイは、おそらく彼女が使っているであろう香水の甘い香り。それに交じるほのかにレモンのような・・・。
「はうっ!!!」
ドックンと心臓が飛び上がる。
曲げた膝と腰が、ガクガクする。
脳が揺れる。痺れる。
舐めろ!!というエロマンの司令。
嗅ぎ続けろ!!というニオイマンの司令。
俺は、クンハッ、ハッ、クン、はっ!はっ!くんくん!!
まるで夏の犬のように、口を開け、息を吐く。
そして、空になった杯に、鼻から空気を必死で吸い込む。
カルラさんのわきのニオイが俺を満たす。
首の後ろから、頭全体がぼんやりするほどの興奮が駆け巡る。
ガクッと地面に膝をつく。
立て膝で首をもたげ、彼女にすがりつき、わきに鼻を埋める。
そして空気を吸う。嗅ぐ。
時折鼻の穴を吸引された肉が塞いで、息が止まる。
わきの向こう、見上げれば彼女の顔が見える。
嬉しそうな、蔑むような微笑みで、俺を見下ろしていた。
その4に続いていた。




