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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第3話 美少女騎士キューティールナーになった結果・・・その2

◇ ◆ ◇



「いやいや、だから早まるな、待て待て」

「早まって無いポヨ!

 熟考した上でのリンク解除ポヨ!」


 で す よ ね ー 。


「お前なんか騎士(シュヴァリエ)の資格無いポヨ。

 聖女神ルミナスルナ様といえども間違いはあるポヨ。

 お前なんか、絶っ対! 間違いポヨ!」


 でーすーよーねーっ! 俺もそう思う!


 ていうか全幼女の憧れ、世界のヒロイン美少女何とかキューティーなんちゃらに、高校生男子を選定してる時点で、絶対間違ってるよねー。

 破綻してるよねー。

 バグってるよねー。

 ハッハー。

 なんて思っていたら・・・。


「○∠∬◆! ●×∀△〆・・・※¶♭§・・・■◇♮∃∈」

 あれ?

 ポヨンが、なんか、聞き取れない言葉を言い出した。

 呪文というやつですか?

 ポヨンのおでこに、何やら赤く光る紋様が浮かび上がる。


 その刹那、俺の体が大きくガクンと震えた。


 すごく熱くて凍えそうに寒い。

 え? なにこれ?


 部屋が不自然に暗くなり、耳鳴りのような音とともに紫の光が渦状に俺の周りを取り囲む。

 プラズマ放電のようなバチバチとしたフラッシュが渦の周りに弾ける。

 体内が実際どういう状態なのかは分からないが、感覚的には心臓の裏のほうが、ビリビリ振動しているみたい。

 体全体が膨張してるような、でも締め付けられているような・・・。

 手足に力が入りすぎてガチガチと硬直しているようで、でも力が全く入らない。


 ポヨンがちっちゃい手をゆっくりと前に出し、上に掲げる。

 その動きに合わせるように、俺の体が ゆっくりと中空に浮かび上がった。


 マ ジ か ! こ れ !



 眉間にすごい熱を感じる。

 赤く光っている感じがする。

 もしかしたらポヨンのおでこと同類の紋様が浮かんでいるのかもしれない。

 呼吸ができなくて、夜店で掬い上げられた金魚のように、口がパクパクした。


 あれ?これは・・・これはやばい?

 やばいやばいやばい。

 やばくね?

 やばいよね?


 ほんとに俺、四散して死ぬんじゃね?

 いま! なう! なう死ぬんじゃね?

 だめだめだめだめ!

 死ぬのやだ!

 イヤダイヤダ!

 どうしようどうしよう!


 ハ ー ド デ ィ ス ク の 中 身 消 さ な い と !


 じゃなくて!

 まじで!

 マジでどうしよう!

 この状況はちょっと・・・完全に計算違いだ。

 どうにか、どうにか、どうにか修正しないと。

 マジで死ぬ!


 俺は、腹に思い切り力を入れて、震えながら声を絞り出した。

「机の、上にある・・・白い紙袋の中を・・・見ろ・・・ポヨン。でないと、後悔する・・・」

 かすれた声が、どうにか出た。


「な、何だポヨ? 別にいまさら・・・」

 ポヨンが謎の呪文の詠唱を中断する。

 宙に浮いたままだが、少し楽になった。


「アルカトピア?の命運がかかっているんだろ?

 その紙袋を・・・開けるんだ! 今・・・すぐ!」


「な・・・。 わ、分かったポヨ。」

 何とかギリギリ絞り出した必死の言葉に気圧されるポヨン。


 こちらに向けられていた手が下げられると同時に、おでこの紋章がスウッと消える。

 部屋が明るくなり、紫色の光もバチバチいってたプラズマっぽい何かも消え、その途端、宙に浮いていた俺の体は一メートルほど落下した。


 ドシン!

 腰打った。痛ぁ。


 でも、とりあえず即死ルートは回避した。かな?

 実際ほんとにマジでガチやばかったかもな、今。

 手が震えてるぜ。



 ガサゴソ。

 袋を開けるポヨン。

 中からほわっした湯気と甘い香り。

「な、何だポヨ?」チラリとこちらを見る。

「コレは、お前への土産だ。あと、詫びの印だ」

「ポヨンは魚は食べないポヨ!」

「これは、たい焼きというものだ、魚ではないぞ~?」


「馬鹿にするなポヨ! 鯛は間違いなく魚ポヨ! 正確にはスズキ目タイ科の魚ポヨ!

 でも淡水魚のティラピアをイズミダイと無理やり呼んだりして回転寿司に出したりもしてるポヨ。

 キンメダイやマトウダイなど、他の白身魚を種族的には関係ないのに鯛の仲間のようにしたりして売る、それを『あやかりタイ』なんて言ったりするポヨ!

 これは、どう見ても鯛じゃないポヨ!

 鯛にあやかる、『あやかりタイ』ポヨーーーーーッ!」


「ちょまっ! なんで鯛にそんなに詳しいんだお前っ!

 そしてそんなに鯛に詳しいお前がなんでたい焼きを知らないんだっ!」

「ちなみに、鯛が赤いのは海老をたくさん食べるからだという迷信は、実は迷信じゃなくてほんとポヨ。『海老で鯛を釣る』は、そういう意味ポヨ」


 そ、そうか。

 いや、その迷信すら知らなかったがな。

 鯛が赤い理由、気にしたことないし。


 ちなみにそのことわざの意味は自信満々なのに間違っている!



「いやいや、あのな、それは魚の・・・鯛の形をしている、お菓子なんだ。食ってみろ。

 そして、緑茶を飲め。美味いから」

 怪訝な目で、俺とたい焼きを交互に見るポヨン。

「・・・ハッ? また、ポヨンを騙そうとしているポヨか?」、疑いの眼差しを向けるポヨン。

「そんなことはせん」

「でも・・・お菓子を魚の形にする論理的な理由が見当たらないポヨ」

「あー、うん」

 そうね。

 俺もそう思う。

 魚って完全におかずカテゴリーだし、生臭いイメージのはずだし、甘い菓子をわざわざ魚型にする必然性がないし、日本、頭おかしい。


 ドイツのハンバーグ発祥の地、ハンブルグに行って、ハンバーグ注文して、それが精巧なウ◯コの形だったら「美味しいです、シェフを呼べ」って言って、来たらグーで殴る。


 誕生パーティーにおばあちゃんが焼いたニシンのパイの中身がニシンじゃなくてミシンだったら、「私、ミシンのパイ嫌いなのよね・・・」っていう孫を誰が責められよう?

 宅急便届けたロリ魔女も苦笑いで「ですよね~」ですよ。



その3へつづく

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