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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第零章 どこか、遠い世界での、或る日・・・。

◇ ◆ ◇



 どこか、遠い世界での、或る日・・・。



◇ ◆ ◇




 敵の勝鬨が地響きのように響く。


 聖女神ルミナスルナと神聖騎士キルシュミリは宵闇に紛れ、森の中を逃げながら、その大音声を遠くに聞いた。


「ああ、もうほかに手は、ないですね・・・」

 キルシュミリは立ち止まった。


 ともに逃げていたルミナスルナも立ち止まり、膝をついて息を切らしている。

 キルシュミリは、彼女の頭を優しくなで、そして決意を込めた瞳で


 い き な り 鎧 を 脱 ぎ 捨 て た 。



「ふぅ、軽い軽い」

 白銀の鎧を地面に投げ出すと、にこやかな笑顔で、そのまま下に着ていた白い法衣もするすると脱いでいく。


「え?え?ちょ、キュルシュ。な、なにを?」

 突然のストリップショーに何が起きたのか理解できないルミナスルナ。


 キルシュミリは豊満すぎる胸をゆさっと揺らし、ぱつぱつのブラウスのボタンをプチプチ外しながら、にこりと笑うと、


「ルミナ様。

『 装 甲 が 薄 い ほ ど 防 御 力 が 上 が る 』の法則です!

 さ、ルミナ様も脱いでくださいませ?」


「え?いや、ちょっと?え?」

 後ずさるルミナスルナ。


「大丈夫。聖闘〇星矢とかドラゴ〇ボールとか、戦闘始まるとみんなすぐに脱ぐんですよ?」

「え?いや、なにそれ?え?」


「彼らはなぜか股間の布地だけは無事なんですけど」

「な、なに言ってるの?」


「私たちは、もういっそ、裸になりましょう?」


 敵が眼前まで迫りつつあるというのに、なぜ?裸に?

 混乱する聖女神ルミナスルナ。


 多くの仲間を失い、追い詰められ、キルシュミリの頭がついにおかしくなってしまったのかと思った。


 ブラウスを脱ぎ去り、今度はスカートに手をかけながら、キルシュミリは言う。

「あの敵の歓声。

 どうやら最後の守りの陣も破られたようですね」

「う・・・」


「おそらくキューティールナーもシャイターンもゴーレムも堕ちたでしょう。

 他の騎士たちも、もはや・・・」


「ああ・・・そんな・・・」

「ルミナ様。

 残念ですが、この先に、逃げ道は・・・ないです。

 おそらく森の出口には待ち伏せがいるでしょう。

 我々は大公に裏切られたんです」


 脱いだスカートをたたみ、地面に置くと、背中に手を回しブラのホックに手をかける。

 少し前かがみになる。

 零れ落ちそうな、大きな胸。



 膝をつき、へたり込むルミナスルナ。

 光り輝く紫の髪がふわりと地面につく。


「なぜ・・・女神の加護を失えば神柱が崩れ、このアルカトピア全体も崩壊しかねないというのに。

 そうなれば、大公自身も生きてはいけないのですよ!?

 それに、アークマーダーに寝返るということは、人として・・・」


 悲痛な叫びのルミナスルナに哀しそうな笑みのキルシュミリ。


「ルミナ様。

 安寧が視野を狭くし、欲望が信仰を曇らせます。

 人間をやめてでもなお、あの御仁は酒池肉林が欲しいのでしょうね・・・。

 正確には、ルミナ様や私を、どうしても好きにしたいのでしょう」


「そんな・・・そんなことで、この世界は・・・」


「ですから、ルミナ様を失うわけにはいきません。

 大丈夫。絶対に逃げ切ります」

 キルシュミリは自信に満ちた笑みを浮かべ



「ささ、だから、 服 を 脱 い で くださいwww」



「ちょ!そこがわかんないんだけどっ?

 あっ!まって!やぁ!」


 すでに下着も脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿となったキルシュミリ。

 見惚れるほど大きく張りがあり、でもとても柔らかそうな胸。

 くびれつつも肉付きの良い腰回り。

 大きく丸みのあるお尻からむっちりとした太もものライン。



 背後に大きな月が出ている。

 誰もが劣情を掻き立てられる肢体が、ルミナスルナの体に絡みつき、優しく押し倒す。

 月影が二人を照らし、煽情的なシルエットを草むらに映した。


「ちょ、え?やぁああぁああ・・・」

 ほほを赤らめ、言葉にならない声が出る。

 まがりなりにも女神が、こんなことをしていいのだろうか?

 こんな時に?


 あぁ、でも、もうどうでもいいのかも?

 ルミナスルナは混乱した頭で思う。



「ル ミ ナ 様 を 、

 私 の い た 世 界 に 、

 お 連 れ し ま す ・ ・ ・ 」


「ほへ?」

 女神の思考に混乱がプラスワン。


「こちらの世界に私が召喚された時に対になっている帰還の魔法を使います」

「へ? え? しょうかん?」


「大公は追ってくることはできません」

「な、なにをいっているの?

 キルシュのいた・・・せかい?」


「あちらの世界で、力を蓄え、反撃に出ます。

 こちらにはあちらから通信できるルミナ様のハリボテでも残しておきます。

 というか、こういう事態に備えて実はもう用意してあります。神殿の奥に」


「ちょっと!ちょっとまって?

 あちらって・・・もう、何を言って・・・」


「『地球』・・・こちらの世界でも認識している者はいるようですよ?

 シャオムトの古文書に載っていたリガイアって、たぶん地球のことです」


 草むらにルミナスルナを組み敷いたキルシュミリは、にっこりと微笑み

「それでですね。

 私の帰還魔法はこちらの世界の物質をあちらに持ち出すことができないし、帰還の対象は召喚された私だけなんです。正確には還元魔法ですかね」

「は、はぁ?

 じゃあ、私はどちらにせよ行けないんじゃ・・・」


「はい、だから。

 全 部 脱 が し ま す ね 。

 うふふ」


「あ、ちょっ?ああああ?

 だからなんでぇぇぇぇえ?」


 ルミナスルナは弱い抵抗を試みるもむなしく、その身にまとう光のドレスをあっさりと脱がされる。

 下着もはぎとられ、真っ赤になった顔を背け、胸と股間を隠すルミナスルナ。

 未成熟な見た目ながら、神の魂を宿したその裸体は、月の光をまとい輝いて見えた。


 彼女をそっと抱きしめるキルシュミリ。

「キ、キルシュ・・・は、恥ずかしい」

「うふふ。とっても、かわいいですよ?」



 ドドドドドド・・・。

 軍馬の蹄の音が迫ってきた。

 二人が逃げようとしていた道の先からだ。


 黒いローブを被った一団が現れ、無言で彼女らを取り囲んだ。

 キルシュミリの腕の中で、ルミナスルナは震える。

 キルシュミリは何ごとかつぶやき、祈りの言葉をささげた。

 そして、慈しむように笑いかける。

「平気ですよ。ルミナ様」


 ほどなく、その包囲の一端が左右に分かれ、黄金の鎧に身を包んだデブいヒゲのハゲが輿に乗って表れた。

 男は、脂ぎった顔を紅潮させながら

「ブホッホッホ・・・これはこれは麗しの女神さまと美しき従者殿。

 裸でお出迎えとは、準備がよろしいことですなぁ~。

 私に体を開く気になりましたか!

 グホッホッホ・・・」


「キ、キルシュ・・・

 はやく、あなただけでも元の世界へ・・・」

「ふふ。

 さ、行きますよ?ルミナ様。

 神域級神聖魔法『リィンカーネーション』」


 キルシュミリが指で印を切ると、突如、目も眩むほどの白い発光。

 森の木々の影がバァッと放射状に広がる。


 聖女神ルミナスルナの体は光の粒になり、キルシュミリの下腹部に収束した。


 そして光が収まり、森の姿が元に戻った時には、ルミナスルナの姿はどこにもなかった。



 デブいヒゲのハゲが、脂ぎった声で「な、なんじゃぁ?これはぁ!?」と慌てふためく。

 その姿を見てキルシュミリはにこりと笑うと、ゆっくりと立ち上がった。


 なんの拘束もされていない大きな乳房が、たゆんと揺れる。

 「ウホ・・・」

 マヌケな顔でエロい視線を向けるデブいヒゲのハゲ。


「ふふふ。

 やられキャラのデブヒゲハゲ様。

 前から思ってましたけど、あなたってラ〇ュタの将軍様にそっくり。

 一度でいいから、『もしもしもしもしっ!?』って言ってほしかったですわ。

 では、ごきげんよう。

 還元魔法『リターンホーム』!」


 キルシュミリの足元に発光する光の輪が現れる。

 その輪がキルシュミリの肢体を照らしながら上昇し、頭の先を超えたたき、彼女の姿もそこにはなかった。


「ほあぁぁ?

 また消えたぁあああ!

 も、もしもしもしもし?ってなんじゃ?」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 デブいヒゲのハゲの問いには誰も答えず、森に静寂が満たされた。


 


 どこか、遠い世界での、或る日の出来事。




◇ ◆ ◇


 そして、幕が、上がる!




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