古術師ルカの誕生 #4-11
シータとアリッサはというと、シータはもともとの目的を達成するため、魔法エネルギーの流れを頼りに進んでいた。アリッサはそれに随行している。
「シータ、生徒のことはいいの?」
「なーに、アルとルカがいれば問題はあるまい」
「どこから湧き上がってくるんだその自信……。で、ルカが前にシータのことを『命の恩人』って言ってたんだけど、それはどういう意味なの? ルカがケチだから教えてくれなくてさ」
それはケチとは言わないのではと言うのはさておき、シータが答える。
「それは、私が両親を亡くしたルカを引き取ったからだ。まあ、私とルカの母は旧知の仲だったしな」
「そうだったの?」
目を丸くするアリッサ。
すると、シータがいきなり呟いた。
「ん? こいつが犯人だな」
シータは魔法エネルギーを辿っていた先に膨大な魔力を感じ取った。正体こそわからないが、そいつが空気中の魔法エネルギーを吸収していたのだろう。
「どうしたの、シータ?」
突然、獲物を見つけた豹のような目つきになったシータに、アリッサは戸惑いを覚えた。
「いや、ついに見つけたんだよ。ここ最近私を悩ましてくれた、頭痛の種をね」
「どういういうこと?」
「アリッサ、おまえならわかるはずだ。……この魔力の流れが」
シータに言われて意識を集中してみると、なるほど大量の魔力が一方向に流れ出している。
「ああ、本当だ。この先に何かあるのは、間違いないようね」
「アリッサ、お前ならきっと大丈夫だと思うが、ちゃんと気を引き締めて行けよ」
「そんなに危険な相手なの?」
「なかなか難敵だと思うぞ。なにしろ呪われし者だからな」
「それってまさか」
「そうだ。そのまさかだ。私も驚かずにはいられないさ」
二人とも襟を正してから、そいつの元へと向かった。




