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ガルシア大陸戦記  作者: シグレイン
狂戦士レヴァンの誕生
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古術師ルカの誕生 #4-1

新しい章に入ります。

 七月になって、学院はいよいよ夏の暑さというやつを迎えようとしていた。

 学院は比較的高地に立地しているので相対的には涼しい方なのだが、それでもやはり夏の暑さというのは厳しく、毎年体を壊す者が後を絶たない。本来なら学院側も暑さ対策として《冷気》の魔法を施したりしなくてはならないのだろう。

 しかしながら、予算的にそれは不可能であった。魔法を行使する者を雇うほどの経済的余裕はないのだ。

 学院の主な財源は、エリン国民から徴収する税金と授業料である。そのため予算は限られていて、なかなかそこまで手が回らないのだ。

 学院側は夏季の授業数を減らしてこれまで対応してきたが、これ以上減らすと学力が低下してしまうし、「授業は春夏秋冬きっちりとやる」という初代学院長の言葉があり、これ以上はやりようがなかった。

 そういうことで、生徒たちが「暑い、暑い」と言う中でも、授業は平常通り進んでいった。魔術科では初級魔術全般と魔法体系及びその理論の勉強が終わり、武術科では基本的な武器の扱い方をマスター。そして、七月第一週に定期考査が行われ、その後二週間が夏季の休業期間。ただし成績に問題があると、その程度にもよるのだが補習を受けたり、まったくひどく改善の兆しが見られないと判断された場合は退学処分となる。

 したがって、無事夏休みを手に入れるために生徒たちは勉強に躍起になるのだった。

 アルたちもその生徒たちであった。前回はチェスに興じていたガントとレヴァンも、今回は全身全霊で勉強し臨んだし、アルは二人に負けじとさらに勉強した。その結果、定期考査はアルたちにとって無事終わった、と言っていいだろう。

 まずガントとアルは相変わらず肩を並べていた、つまり学年一位の名誉を分かち合ったし、レヴァンも今回は解答欄を間違えないで学年順位を一けたに乗っけて七位とし、さらに初試験の体験生たちも万人の敵ケアレ・スミスには会わなかった。特に、ファルナとヴァリウスは五位と六位という輝かしい順位を取った。……普通はそんな簡単に好成績は取れないのだが、ガントは読書によって膨大な知識量を誇るし、アルは普段の言動からすると意外なことに寝る間も惜しんで勉強する努力家、レヴァンは持ち前の運とほどほどにできる能力を生かして高得点をたまにだが取るし、体験生に選ばれているくらいだからファルナはもともと頭がいいわけで、さらにヴァリウスに至っては正体がミシェイル王子だからもともと非常にハイレベルな教育を受けているのだ――学年トップ級の成績でも不思議ではない。

ところが、試験が終わって一喜一憂、悲喜交々の生徒たちに思わぬ事態が訪れる。

 教室にて担任イグリアが魔術科生徒の個人順位の発表をし終わったちょうどその時、学院内で魔術による緊急連絡が行われた。要するに校内放送が流れたのだ。

「これより緊急集会を行う。一年生は、至急講堂に集まること」

 たったそれだけだった。

 しかし、テスト結果発表後いきなり緊急集会である。

「もしかして、テストのことで学院長がお怒りになっているのかも」

 誰かがそう言うと、その場にいた全員が隣の人と顔を見合わせた。


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