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ガルシア大陸戦記  作者: シグレイン
魔法戦士アルの誕生
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魔法戦士アルの誕生 #1-5

 アルとしては、最初の一カ月はあまり思い出したくない嫌な出来事でいっぱいだった。ずっとそう思っていたせいか、どんなことがあったかまでは覚えていても、細かいところの記憶が結構欠落していた。


 したがって、あまり多くは話せないのだが……。



 初めの一週間、アルはガントとレヴァンと一緒に、全ての授業を見学した。


 アルとしては、一人でのんびりと見学しようと思ったのだが、レヴァンが耳にタコが出来るくらいに、

「アルさんも、一緒に行きましょうよ」と言うので、仕方なくそうしたのだった。


 見学してみて、武術科が一番自分に適しているな、とアルは思った。別に、武術に自信があるわけではない。ただ、学 術科は覚えることが多すぎて見るからに大変そうだったし、魔術科も目に見えない力を操るということに抵抗感を感じて良い気がしなかった。それに、芸術というものには、センスも興味もなかったから、アルには選択する理由はない。当然のことながら、エリート集団で構成される医術科に入る気などは、微塵にもない。


 そのような理由で、七日目の夕食の後、アルは授業見学の内容と感想を素直に書いたレポートと一緒に、「消去法にて、武術科」とだけ書いた紙をイグリアに提出した。


 イグリアは、白紙の解答用紙を受け取ったような顔をしながら、アルの右目の色を確認しようとした。しかし、髪の間から見えた右目は眼帯で覆われていて、その色を確認することは不可能であった。後でシータに、「右目は眼帯で覆われていたので、見ることができませんでした」と伝えなくてはならない。心ならず、彼女はため息をついてしまった。


 もし、イグリアがアルの眼の色を確かめるのに頭が一杯でなかったなら、たった一文で済まされたレポートに気付いていたに違いない。仮にそうだったら、アルはまた職員室行きだったかもしれない。いや、訂正しよう。職員室行きは確定だ。まあ、アルはそんなことを知る由など、当然無かったが。


 ガントとレヴァンはどうしたかというと、両人とも魔術科を希望した。二人は、「幼いころから剣術は仕込まれてきたので武術科に行く必要はないし、教養もそれなりに自信がある。それに、医術科で医療について学びたいわけでもない。すると、魔術科以外に選択肢はない」と考えたわけだが、その顛末を聞いたアルは、普通は得意分野を伸ばす方を考えるのではないかと、口には出さないが疑問に思った。


 いずれにせよ、こうして無事に天国のような一週間は終わったのであった。


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