狂戦士レヴァンの誕生 #3-11
例によって短いですがご了承を。
体験生が来てから二週間ぐらい経過した頃、すなわち三月の中旬の話になる。
アルとガントは、中庭で木刀を交えていた。アルが風邪を引いた時を除いてほぼ毎日続けているから、いわば日課である。
「やれやれ、またやってるよ」
廊下の窓から中庭を見下ろしながら、レヴァンが呟いた。
「またって、二人はいつもあんな感じなのかい?」
レヴァンの右にいたヴァリウスが訊いた。
「うん。そうだよ、ヴァ」
と本名で呼びそうになるレヴァン。相変わらずである。
「レヴァン、僕の事は秘密だからね」と人差し指を唇に当てながら、微笑するヴァリウス。
ミシェイルがヴァリウスだった事と、アルが神術が使える事。これらを互いに守る事を、あの時彼らは誓約したのだった。レヴァンは、ずっとそばにいながらアルの秘密を知らなかった自分を責めたのだが、アルとガントがずっと黙っていたのだから仕方ない。
「甘いな、ミシェイルは。そんなんじゃ、どうなっても知らねーからな」
レヴァンの左にいたドライが口を尖らせた。
しかし、「忠告ありがとう。でも、僕は人を責めるのが好きじゃないんだ」と、ヴァリウスは毅然としていた。
「で、ところで、昼休みというのは、昼食を食べる時間じゃないのか?」
と、ドライが話を戻すと、
「うん。でも、二人も僕も魔術科の生徒だから、武器が借りられるのが昼休みくらいしか無いんだよ」
「じゃ、武術科に入れば良かったのに」
「それがいろいろ事情があってね」
レヴァンは例の経緯を簡略化して話した。
「へー」とポカーンとしているドライを尻目に懸けて、ヴァリウスは突如思いがけない発言をする。
「な、レヴァン。僕たちも行ってみないか」
「え、どこに?」
「無論、中庭さ」
そう言って、ヴァリウスは中庭へ駆け出していった。
「待ってよー」
「おい、ミシェイル」
そのあとを二人が追いかけた。
「あ、レヴァン君」
その時、たまたま廊下を通りかかったファルナが、その姿を見つけてその名も呼ぶも、レヴァンには届かなかったようだ。ファルナがレヴァンに無視されたと落ち込んでいると、
「……テヤル」
横から不意に、目が虚ろで生気の抜けた緑髪のポニーテールのブツブツとした独り言が聞こえた。自己紹介の時とはうって変わった彼女を見れば、誰もがその様子が異常であることを疑わないだろう。
当然ファルナもその一人で、
「あの人って、確かエキドナさん? なんか様子が変だけどどうしたんだろう」
ふと興味惹かれて、エキドナを尾行していったのだった。
後に大変な事になるのも知らずに。




