双剣士ガントの誕生 #2-6
試験結果に一喜一憂していたからであろう。今思えば、学院長による「アル大特訓」なるものは、もう三回も終わっていた。回数を重ねるごとにアルは器用にも習得していく。
本当は今回が四回目の日で、冬期休暇前ラストだったのだが、ガントは、両親に帰省についての手紙を書いていなかったので、「アルには悪いな」と思いつつも、手紙を書いている次第である。以下はその抜粋だ。
――前略。父上母上、お二人ともお元気でいらっしゃいますか? 私は元気です。さて、この冬、学院より帰省許可が下りましたので、レヴァンと新しい友人アルを連れて、久々にローエンハルト家に帰りたいと思います。今月の二十五日から、来月の十日まで滞在したいと思います。急な連絡で、申しわけございません。草々――
ガントは五分で文面を考え、たった五分でそれを書いたわけだが、走り書きとは思えないほど達筆だった。後からその手紙を見たアルが、「ガント、オマエ面倒くさいから、オレに嘘ついてさぼっただろ?」と疑ってしまったのも、仕方がないことである。
さて、ガントが手紙を認めている間、アルはショック死してもおかしくない事態に陥ってしまっていた。
学院長室の扉を無言で破壊する――無論、神術を使ったのだ――と、アルはいつも通り「先生。来たぜ」とでも言って入室する予定だったのだが、「先生」と言った後、二の句が継げなかった。
ソファに座っているのが二人。一人はシータだ。もう一人は赤髪で小柄な少女……。
「なぜ、ルカ、オマエがここにいる?」
ルカも幼馴染みに同じ感情を抱く。
「アルこそなんで……」
シータがつまらなさそうな顔をして、
「あれ? なんだ、二人とも知り合いかい。じゃ、紹介するまでも無いな。ところで、ガントの姿が見えないが」
「ああ、アイツなら今日は来られないと。何でも両親に帰省の旨を伝えるのを忘れてて、明日の朝一番の速達で出す為に、今晩手紙を書くんだってさ」
「そうか。それは逆に都合が良いな」
「それより、なんで彼女がここにいるんです?」
動揺で口調が変になってしまうアルだった。
「彼女は最近雇った、部屋の掃除係だよ。最近この部屋に来る度に、顔をしかめる失礼な少年がいるのでね」
それって、もしかしてオレ? と真意を悟るもスル―し、
「そうか。そいつはひどい奴だな」
「本当だ。私の生徒の中にそのような無礼を働くのがいるなんて、本当に残念だよ」
「で、その様子からじゃ、二人はしばらく会ってないんでしょ? お互い訊きたいことがあるんじゃない? 私はちょっとそこらへんをウロチョロしてるから、ごゆっくりどうぞ」
学院長室の主はニヤリと笑って、部屋から出た。




