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金平糖缶

追憶の向日葵

作者: 羽黒鷹丸
掲載日:2026/03/01

「今年も暑いな・・・・・・」  

 僕はこのひまわり畑の世話をする仕事をしている。  

 この仕事は大変だ、夏の暑さや日差しとの戦いがあったり、病気になっていないかを調べたりしなければならない。  

 だけどこの仕事は好きだ。いや違う、この場所の世話だからこの仕事が好きなのかもしれない。  

 ここは思い出の場所だ、あの人との。    


 僕が高校二年の頃、クラスは荒れていたしバラバラだった。  

 色んな理由で学校に来ない人はいたし、クラスメート同士のちょっとしたもつれによる、いじめまで発展しないまでも空気で感じる嫌な何か。  

 そんな中、僕らのクラスを担任と受け持つこととなった教育実習生の女の人。  

 その人は誰に対しても優しくて、明るくて温かかった。他人の為に涙を流せる人間がいる事を知れたのも彼女のおかげだった。  

 クラスメートも皆そう感じたのだと思う。少しずつクラスの雰囲気は変わり、直ぐに保健室に行っていた人も、停学の常習の人も来るようになって、教室に居る人数も増えていった。  

 彼女はいつも言っていた『根っから悪い子なんていない。ただあなた達位の頃は傷つきやすいから、自分を守る為に衝動に身を委ねてしまう。本当は誰かを傷つけても何にもならないって分かっているし、何なら傷つけるつもりさえ無かった事もあったと思う。苦しいよね』と。  

 皆、彼女と会える日常が好きだった。だけど教育実習には期間がある、別れの日は近付いていた。  

 彼女と会える最終日の前日、僕らはひまわり畑に彼女に連れられて行った。この場所に。  

 そこは彼女にとってのお気に入りの場所らしい、それを僕らに最後に紹介したかったと照れ臭そうに話した。続けて彼女は言った。

『私もあなた達と同じ頃に人間関係や将来に悩んでたんだ、だけど、たまたま来たこのひまわり畑のひまわりに勇気を貰った。ひまわりは俯かずに太陽を、必ず訪れる眩しい明日をずっと見ているんだって。では最後にみんなに一言送ります。かけがえのない一輪の花のみんな、辛い事があって泣いても俯かずに、まだ見ぬ明るい明日を信じて前を見て進んでください』  

『はい!』  

 皆が一斉に言った。バラバラだったクラスはまとまった。僕らは一人一人個性を持った一輪の花、それがクラスとしてまとまった、まるでひまわりの様に。  

 ーーそして夕日と重なり微笑む貴女はソレイユーー。  


 あれから彼女は何をしているんだろう。無事教師になれたのだろうか、結婚をしているのだろうか。

(初恋だったな・・・・・・)  

 少し伸びをして作業を終わらせた僕は、ひまわり畑の入り口に歩いて行った。

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