第4話 二番目の記憶。
次はお前は私の妻だった。
家同士が決めたものだったが、お前はいつだって私に誠実であろうとしてくれた。
愛、と呼べるものだったのだろうか。お前の献身を私は当たり前のように享受した。
私は父について商売を学んでいるところだった。
戦争が過熱して、武器や食料や、毛布、なんでも仕入れれば面白いほど高値で売れた。物品を大量に買い込んで小出しにしていく。父は商売上手だった。
戦場になった辺境の村々には餓死者も出始めている頃、我が家は貴族以上の暮らしだった。
父の商談について行った先の娼館で、私は…驚いた。アナスタ。あの人がいたから。
アナスタは僕より10歳ほど上の高級娼婦だった。
ああ、会えた時のあの感動はなんと伝えればいい?あの人の綺麗な瞳に私が映る。それだけで、生まれてきてよかったと思った。信じられるかい?
私は家に寄り付かなくなった。
かなりの額を払いアナスタを娼館から身請けして、郊外に小さな家を買って二人で暮らした。もうこれ以上は何もいらない。そう思った。
私たちは一緒に眠り、一緒にご飯を食べ、中庭をゆっくりと散歩した。こんな毎日が続くものだと…思ってはいけなかったね。
お前がナイフを手に、庭に立っていた。
抱き合っていたアナスタがゆっくりと崩れ落ちていく。
ああ、まただ。
お前が何で泣いているのか、私は理解できなかった。
いつもいつも自分の指から零れ落ちるものを…ただ眺めるしかなかった。