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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
余命一年のヒロイン編 第二章 護国寺先生マッチングアプリの沼にハマる
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2-5 姫川さんはオナペット!?

 永遠にも思える沈黙。それを最初に破ったのは姫川さんだった。


「うっしーの婚期が遅れたのはあたしたち生徒に尽くしたからでもある。みんな甘えてたんだよ。あたしはね。うっしーが弱いところを見せてくれて嬉しい。完璧な大人だと思っていたから。あたしのマーマに会ってみる? うっしーなら家族になってもいいよ」


「その言葉だけで十分だ。婚活アプリはアンインストールする」


 護国寺先生はなにかを悟ったような顔をした。


「ちゃんとアカウントの削除と課金設定の解除しなきゃだめですよ」折笠さんの指摘が入る。


「それくらいはわかっている。もうこりごりだよ」


「ねえ、うっしーの家族ってどんな人だったの?」姫川さんは彼を慰める口調だった。


「んん? なぜそんなことを訊くんだ」護国寺先生は眉の端をあげた。


「聞いたことなかったなって」


「わたしたちも知りたいです!」わたしこと鳴海千尋は声をあげた。


「わたしもかも」折笠さんも手をあげた。


「おれの家庭は……、荒れていた。いわゆる機能不全家族だ。家に警察や保健所が来たこともある。もうあの夜には戻れない。

 暴力的な父親、子どもをかばうことをせず宗教にハマる母親を見て、こんな人間にはならないと決意して家をでた。自分は温かい家庭をつくると誓って。社会復帰するのに時間がかかったから年収が低いのだ」


「うっしー、サバイバーだったんだね。すごいじゃん。そんなに立派な大人になって。奇跡の人だよ。うっしーを見てくれている人はきっといる」


 その話を聞いてわたしは胸が熱くなり、瞳が潤った。護国寺先生は家庭でつらい経験をしたから、わたしたちには温柔な態度をとっていたのだ。わたしたちを陰に陽に見守るために。無から有は生まれないと言うが、彼は与えられた愛情の何千倍もの大きな愛を持った奇跡の人だった。


「そう言ってくれるのは姫川だけだよ」


「うっしーのこと嫌いな人、手をあげて」姫川さんが提案した。


 eスポーツ班メンバーで手をあげる人はひとりもいなかった。


「イケメンだと思う人」


 みんな手をあげた。折笠さんは「今回のことはマイナスだけど……」と注釈をつけた。


「割と好きな人」


 村雨さん以外は挙手した。村雨さん? 手をあげないの?


「わたくしは最愛ですから」みんなの視線に答えるように村雨さんは宣言した。「護国寺先生。今回のことは悪い夢を見たと思って、今晩は手淫をして眠ってください」


「なにを言っているんだ! きみは!」先生は目を見開いた。


「わたくしはお姉さまと護国寺先生を想って、毎日自慰しています。うお座だから性欲が強いのです。うお座はみんなむっつりスケベです」


「3P⁉ あたし初音のオナペットなの⁉」これには姫川さんも仰天。


「うお座だから性欲が強いって、うお座の人に誤解を招くわ」折笠さんの突っ込みが入る。


「ボクのお兄ちゃん、うお座ですけど、性欲強いですよ。当たってます」ノアちゃんが拍車をかける。


「わたくしもこれだけ恥ずかしい情報を解禁したのです。先生も忘れてしまってください」


「みんな……ありがとう」


 村雨さんの発言は先生を励ますためだったんだ。彼女なりの気遣いなのだ。先生の弱い部分を見ても想いが変わらないなら、村雨さんは大人の女性だ。


「宇宙意思ヴァイチャはうっしー先生はこのなかにいる誰かと結婚すると言っています」


 いままで沈黙を守っていた黒咲ノアちゃんが予言した。


「わたくしですね!」村雨さんはほほを赤らめた。


「そうとは限りません。未来はコントロールできませんから」


 ノアちゃんが意味深な言葉を語ったことが、この章のエピローグです。


 たしかに護国寺先生は数年後このなかにいる誰かと結婚することになるのだから宇宙意思ヴァイチャは侮れません。








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