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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
第四章 対抗試合! 茶道部に勝て
33/153

4-9 七瀬一葉VS村雨初音

【週末 金・土・日 定期更新です!】

「わたくしが先鋒なのですね。緊張します」

 村雨さんはうつむいて前髪に瞳が隠れてしまった。

挿絵(By みてみん)


「よろしくっす! わたし、七瀬一葉(いちよう)

 握手を求める彼女の指は絆創膏だらけ。


「お怪我をされているのですか」

「えへへへ。ネコちゃんがね」


「七瀬さんはネコ好きなのですが、なぜかネコから好かれない性格でして」

 九条さんが憐れみを込めて補足説明する。


「そうだったのですね」

 会場が温まったところで対戦がはじまった。


 七瀬さんの持ちキャラクターはアサシンのヴェスミランだ。原作小説では第三巻に登場。主人公たちと死闘を繰り広げた。


 対する村雨さんはアークメイジの紗良(さら)・ファーレイ。原作小説では第四巻に登場。東方の守護者とも云われる世界に三人しかいないアークメイジのひとりである。原作では戦闘シーンはなかったが、このゲームでプレイアブルキャラクターに昇格した。


 ヴェスミランは接近戦を得意とするテクニカルキャラクター。


 紗良は式神を駆使して戦ういわゆる設置系キャラクターだ。


※設置系キャラクターとは格闘ゲームにおいてヨーヨーや糸などのアイテムを設置して、連係必殺技を発動するキャラクター。


 わたしたちは普段携帯型ゲーム機にダウンロードしたMODをプレイしているけど鳳女子茶道部は据え置き型ゲーム機をテレビに接続して対戦しているらしい。テレビモニタは大迫力だ。


 第一ラウンド。開始三秒。七瀬さん操るヴェスミランのジャンプ強キックからのコンボ(連続技)が極まった。


 立ちパンチからまったく隙なく必殺技『シャドウ・エッジ』が発動する。


「いまのは……?」

 わたしこと鳴海千尋は姫川さんを振りかえった。


「キャンセルよ。ほとんどの格闘ゲームでは通常技のモーション中にコマンドを入力すると通常技のモーションをキャンセルして必殺技をだせるの。これをキャンセルと呼ぶ。コンボにはキャンセルが必須」

 姫川さんが説明する。


「わたし、できません」

 わたしは思わずつぶやいた。


「鳴海さんたち一年生組との対戦ではあえて見せなかったの。自分には無理だって思ってほしくなかった」折笠さんがわたしを気遣った。


 防戦一方の村雨さん。一ラウンド目はとられてしまった。


「ああっ、このままじゃ……」

 わたしは情けない声をあげたが、姫川さんたち上級生は試合を静観している。


「村雨さん、目が死んでない」

「なにか狙ってるわね」


 二戦目。七瀬さんは開始直後に一ラウンドと同じ連続技を狙ったが、村雨さん操る紗良は確実にガードした。村雨さんのガード効率が上がっている。接戦になった。ライフは互角。


 そして確実に式神を設置していく。気がつけば四つの式神がヴェスミランを囲っていた。ヴェスミランはたまらず宙に逃げる。その隙を村雨さんは見逃さなかった。


 超必殺技『四神降臨』発動。画面が暗転する。式神の設置数に合わせて威力が上がる技だ。最大数の式神を設置したのでガード無効化される。直撃したヴェスミランのライフは残り数ドット。そのとき紗良のライフも残りわずか。


「やった!」

 わたしは思わず叫んだ。


 その刹那。吹っ飛ばされたヴェスミランが地面に着地する瞬間。

 ヴェスミランはダウン回避(AB同時押し)から猛ダッシュで距離を詰める!


 たまらず村雨さんがガード方向にレバーを入力すると七瀬さんは不敵に笑った。

 ヴェスミランの投げが紗良に極まる。投げはガード不能なのだ。KOだった。


つづく


「いいね」や「お星さま」、ブックマークで応援していただけますと嬉しいです!ご感想お待ちしております。イラストレーターはイナ葉さま@inaba_0717です。無断転載・AI学習禁止です。

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