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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
余命一年のヒロイン編 エピローグ
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エピローグ3 さようなら、聖少女暴君

「この作品の黒幕って、天照大御神さまなんじゃ……」

 折笠さんが困惑気味に言う。


「神さまに命をもらったあたしは高校では生まれ変わろう。人生を楽しみ、人を助け自分から輪に入る。それを目標に生きることにした。

 あたしは人生二週目だよ。最後まで秘密にしても良かったけどあなたたちには伝えたいと思った。あたしは特別な人間でもなんでもない。いちど死んでるから吹っ切れているだけなんだ」


「ヒメ。よく話してくれたね。そしてわたしはいま怒っている。わたしにだけはもっとはやく話してほしかった。なんでひとりで抱えた! あなたにとってわたしはその程度の存在だったのかよ! ばかばかばか!」

 折笠さんはほほが赤くなるまで涙目で悲憤した。


 姫川さんは彼女を抱き後ろ髪を撫でた。


「ごめんね。詩乃。大切なあなただから伝えるのが怖かった。あたし、怒られるのいやなんだ」


 姫川さんはオーバードーズ経験者の傷みを抱えていた。だけれど、わたしたちの前ではいつも太陽のような笑顔で微笑んでいた。そのことを想うと胸が熱くなる。涙袋から液体が滴った。


「わたくし、なにも知らないでお姉さまに甘えていました」


 村雨さんが涙で使い物にならなくなった眼鏡を外した。


「初音、あなたに甘えられることこそが、あたしにとって最大のご褒美だった。あなたたちと同じ刻を共有したことによって、あたしの傷はとっくに癒やされていたんだ。だから、ありがとう」


 そのときの『聖少女暴君』の顔は一生忘れらない。一抹の愁いを帯びた、カルマから解放された少女の面影を。


 そのとき背後から背の高い、色黒な男性が近づいてきた。


「よう、姫川。おれのこと覚えているか?」


「なによ。いまいいところなんだから」

 姫川さんがいら立って振りかえる。


 そこには学ランを着込んだ精悍な青年が立っていた。彼は姫川さんを見て微笑んだ。


「似てる……」


「誰に?」


「あたしの初恋の人」


「その男の名前は伊達惣次郎(そうじろう)であっているかな? 光栄だ。いまヨーロッパから帰国した」


 姫川さんの死んだはずの恋人、伊達惣次郎さんが生きていた⁉


「惣次郎、生きてたんだね!」

 姫川さんは最初喜んだが、立腹して態度を豹変させた。


「三年間連絡ひとつよこさないってどういう了見だい! いまさらよりを戻したいなんて、こっちから願い下げだね。あんたを想ってオナってたあたしがばかみたいじゃないか。あたしは女の子にモテモテなんだからね。ここにいる折笠詩乃と結婚します」


 姫川さんは精一杯強がりを言った。


「姫川、聞いてくれ。ドイツでテロに巻き込まれたおれは記憶を失った。生死をさまよったおれは光の使徒カフラマーンの騎士に選ばれ、超能力に目覚め、異能力者と闘うことになったんだ」


「カフラマーンの騎士って、ノアの言ってること本当だったの⁉」


 黒咲ノアちゃんが中二病設定で自らのことを光の使徒カフラマーンの騎士と名乗っていたのは真実だったらしい。


「この作品のタグを見てくれます? 異能力バトルはよそでやってください!」

 姫川さんも混乱している。


「あっ、伊達先輩。帰国したんですね」

 黒咲ノアちゃんが現れた。伊達さんと知り合いみたい。


「ノア。元気そうだな。ヨーロッパでの戦いは終わった」

 伊達さんもノアちゃんと気さくに話している。


「ノア。どういうことか説明しなさい!」


「ボクは伊達さんが生きていることを知っていました」


「じゃあ、はやく言え! ボケナス!」


「彼はヨーロッパ支部の先輩です。ボクが光の使徒カフラマーンの騎士というのは真実です。

 宇宙意志ヴァイチャはヴァイローチャナ。日本名毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)。この宇宙を守護する大日如来を表します。

 人間は信じたいものしか目に映りません。だからボクも必要以上に真実(トゥルー)であることをアピールしませんでした。

 ボクが伊達さんは生きていると言っても信じてくれなかったでしょう? だから黙ってました。ちなみに日本支部は超平和なので敵がいません」


「ぐぬぬ。まあこの作品もエピローグだし、大目に見るわ。惣次郎。この格好でデートしよう!」


「泣いたカラスがもう笑った」

 伊達さんも微笑む。


「それが女ってもんよ」

 姫川さんは伊達さんのほほにキスした。これで姫川さんは学生カップルコンプレックスを完全に克服した! 余命一年の予言を覆した!


 姫川さんは伊達さんと一緒に旅立っていった。一年後に護国寺先生の同窓会で再開する約束を残して。




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