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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
余命一年のヒロイン編 第九章 クライマックス! 世界大会GERO
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9-15 護国寺先生、一緒に闘ってください!

 第三戦 姫川天音VSミーシャ

 ミーシャの使用キャラは当身技を得意とする神凪(かんなぎ)マハル。神凪マハルは東方を統治する女王で、超カリスマの天才児である。


 クライマックスであきらかになる事実なのだが、東方は一〇〇〇年後の日本だった。原作小説では戦闘シーンはないが、MODでプレイアブルキャラクターに昇格した。姫川さんの使用キャラは引きつづき創竜刀アストリアである。


 ミーシャの当身の精度が高いことは事前に知っていたので、アストリアは隙の少ない小技を起点に攻めようとした。ところがマハルはアストリアの小パンチを当身でキャッチ。


 当身技で投げられたアストリアはダウン回避【AB同時押し】でダメージを最小限に抑えた。飛び道具の『オーラショット』をはなつ。これが悪手だった。


 マハルは『国宝八咫鏡』で飛び道具を跳ねかえす。前の試合でライフが残りわずかだったアストリアはKOされた。


「わたしの勝ちよ、アマーニャ。試合を棄権してロシアに帰ろう」


「子どもじみたこと言わないで、ミーシャ。そんなことできるわけないでしょう。まだナルミンこと鳴海さんの試合が残っているわ。彼女が勝ったらあたしを困らせないって約束して」


「ふん、そのさえない子がアマーニャより強いっていうの?」


 ミーシャはわたしを一瞥して鼻を鳴らした。


 わたしはつばを呑んだ。大将のわたしが負けたらすべてが終わってわってしまう。  

 姫川さんでも勝てない相手をわたしが倒さなければならないの?


「千尋は強いよ。あたし以上にね。あたしは彼女を愛している」


「えーっ! 天音さん、なにを……」


「(小声で)しーっ、これは挑発だよ」


「きー、悔しい……。その女を血祭りにしてやるわ。わたしが勝ったらいうことを聞いてもらうんだから」


「いいよ、ミーシャ。そのかわり千尋が勝ったらおとなしくロシアに帰ること」


 話がどんどん大きくなっていく。生来プレッシャーに弱いわたしは緊張で手汗をかきながら対戦席についた。

 そのとき観客席から声が飛んできた。


「鳴海さん! なんだかよくわからないけど、がんばって!」


 スクールカウンセラーひかりちゃんの声援だ。彼女の高音の美声で視野が広がった。


 後ろを振りかえるとわたしを応援してくれる人たちが声援を送っている。


 わたしはふっと笑った。護国寺先生を地獄に落としたひかりちゃんがいまわたしたちの味方をしてくれている。天の采配はかくも人知を超えている。


 両手を強く握って、ゆるめた。いつも通りにやればいい。


 わたしは仲間たちに見守られながら席についた。


〝護国寺先生、一緒に闘ってください!〟


 目の前の強敵相手に彼ならどうするか? 天啓が下りた。


 試合開始。わたしは試合開始位置から一歩も動かなかった。当身が得意ならこっちから仕掛けなければいい。それがわたしのだした答えだった。


 こちらからは攻撃をしないので、マハルは接近して攻撃するしかない。マハルが近距離から技をだそうとしたそのとき! キースのコマンド投げ『全員皆殺しだ』がマハルをとらえる。


 さらにダウンしたマハルに接近して起き攻めを仕掛ける。投げを警戒している彼女に突進必殺技の『皆殺しの乱舞』がヒット! 硬直が解けた瞬間ふたたび投げ!


 投げと攻撃の二択にマハルは翻弄されている。やぶれかぶれに超必殺技の『イスタリスの残酷姫・降臨』を発動! 命中すれば追加技の『判決・死罪!』まで確定の大技である。


 キースはガードでしのいだ。硬直中のマハルに接近。やることはひとつだった。


 わたしはくるくるとレバーを回した。超必殺技『裏切り者の断頭台』がヒット!  

 キースのKO勝ちである。


「千尋! あなたがいてくれてよかった!」

 姫川さんがわたしに駆け寄る。


「さすが鳴海さん。あたくしを二度も倒しただけありますわ」九条さんは扇で自らを煽いだ。


 ミーシャは無言で立ちあがった。仔熊のぬいぐるみを抱きしめながら。その双眸から涙が滴り落ちる。


「みんな嫌いだ。どうしてわたしに優しくしてくれないの!」


「ミーシャも日本に来ればいいよ。来年あたしは卒業しちゃうけどね」


 姫川さんの言葉にミーシャは顔をあげた。希望の芽を見つけた旅人のように。

 わたしは対戦相手のミーシャと握手してから席を離れた。


 ギャラリーの小山ひかりちゃん、村雨さん、二ノ宮恋ちゃん、黒咲ノアちゃん、有給の冒険者さんまで拍手してくれている。


 折笠さんが姫川さんのお尻をつねった。


「いたーっ。なにしてくれてんのさ!」


「ヒメの女たらし。ロシアでも愛人をつくっていたのね。自分がまいた種は自分が刈り取るしかないのよ」


 姫川さんもこれにはぐうの音もでなかった。


 そのとき会場で歓声があがった。何事かといぶかしがると、偵察をしていた七瀬さんがわたしたちに駆け寄った。


「決勝の相手が決まりました。韓国チームです。姫川さんが以前負けた相手もいます」



 レンコンさんチーム 決勝進出。

 そして決勝の対戦相手は韓国チーム。



つづく



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