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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
余命一年のヒロイン編 第九章 クライマックス! 世界大会GERO
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9-10 世界大会第一戦 後半

 二戦目。

 勝ち抜いた姫川さんはそのまま創竜刀アストリア。スミスは新キャラの星詠みのアークメイジ・シオメネスが使用キャラクター。


 原作ではバトルシーンがないこのキャラクターも『メディウム・オブ・ダークネス』用に原作者が必殺技を考案したそうだ。


 アストリアは飛び道具の『オーラショット』を放った。シオメネスは必殺技の『ワイズマン・ミラー』で反射した。


『ワイズマン・ミラー』はあらゆる飛び道具を跳ねかえすことができる必殺技だ。


 アストリアは戦法を切り替え接近戦に持ち込む。近距離が苦手なシオメネスは技の打ち合いに負けてライフが半分以上減ってしまった。


 シオメネスは起死回生の超必殺技『オーラクルム・エクスキューション』を放つ。銀河の星々を召喚して敵を処刑する超魔法だ。


 アストリアは攻撃をまともに喰らった。姫川さんなら躱せたはず。どうして⁉ そのままKOされてしまった。


「ヒメ。なぜわざと負けたの?」

 セコンドの折笠さんが疑問形で尋ねる。


 わたしたちのなかで九条さんだけが微笑んでいた。


「さすが姫川さん。初戦であたくしたち全員を試合に慣れさせるおつもりですね」


「察してくれてうれしいよ。沙織」


「あら、あたくしのことを下の名前で呼んでくださるの?」


「日本には同じ飯を食えばもう仲間という諺があるからね」


「嬉しいわ。天音」


 見つめあう姫川さんと九条さん。ふたりきりの世界に入ってしまったよう。


 次鋒のわたしこと鳴海千尋は席に着く。キャラクターはもちろんキース・ストライダー。原作では憎まれ役だがわたしは彼に愛着があった。


 三戦目。

 飛び道具を持たないキースは魔法を使うシオメネス相手に不利。そんなことは百も承知で一歩ずつ接近する。


 ハイリスク・ハイリターン。接近するまではしんどいが一度捕まえれば勝利確定。それが投げキャラの魅力だとわたしは思っている。


 シオメネスは飛び道具の『シューティング・スター』を撃ち放つ。それを可能な限りPディフェンスしながら一歩、また一歩。捉えた!


 超必殺技『なにも知らないやつらに思い知らせてやる! おれの見た地獄を‼』発動。画面が暗転する。スミスが悲鳴をあげた。


 脳天から叩き落とされたシオメネス。距離は離れていない。起き攻めで裏に回り空振りキャンセルからふたたび投げ!


 コマンド投げ『かわいそうだが死んでもらう』が極まる。二発の投げを喰らったシオメネスは気絶。スミスは戦意喪失。コントローラーを投げだしてしまった。わたしは容赦なく叩きのめした。シオメネスはKO。


 わたしは対戦台の向こうの彼を睨んだ。


「いまの態度はなんですか? 最後の一フレームまであきらめないのが格闘ゲーマーです」

 彼は落胆して無言で視線を落とす。



 第四戦。ブラウンは黒騎士シャフト卿。隠しコマンドを入力しなければ選べないラストボス。わたしは姫川さんと同じやり方で九条さんと交代した。


 九条さんは指ぬきグローブをはめなおして座席についた。彼女は終始無言だった。集中しているのである。


 九条さんの持ちキャラは聖騎士ラウニィ・フェルナンデス。深紅の鎧に身を包み、ポニーテールにした金髪が鮮烈な女性魔法剣士である。彼女が氷の魔剣アイス・ピアースを抜き放つと氷結が散らばる。


 ラウンド開始直後、飛び道具の打ち合いがはじまった。黒騎士シャフト卿の『黒の波動』とラウニィの『エレガンス・ニードル』が画面上で相殺される。


 黒騎士シャフト卿のバックステップ直後にコマンドを入力すると画面上に二発『黒の波動』を撃てるバグはバージョンアップで修正されてしまった。打ち勝ったのはラウニィ。『エレガンス・ニードル』がシャフト卿に直撃する。


 ラウニィは前ダッシュで接近戦に持ち込んだ。突進必殺技『ノーブル・ブラッド』がまともに極まる。さらに彼女はシャフト卿の反撃をバックステップで回避。攻勢を継続した。


 シャフト卿は流れを変えるために全身無敵のバースト【ABC同時押し】を発動!

さらに超必殺技『天地覇王剣』を発動! 全身無敵の一撃がラウニィを襲う。


 そのとき危険を察知したラウニィはバックステップで画面端まで移動していた。『天地覇王剣』の終了間際、無敵時間が切れる瞬間を狙って正確に『エレガンス・ニードル』をショット!


 ラウニィは自ら放ったショットを追いかける。エレガンス・ニードルがシャフト卿に直撃した瞬間、ラウニィが超必殺技『ノブレス・オブリージュ』を発動!


 魔剣アイス・ピアースが五芒星を描く! シャフト卿は超必殺技KOの派手な画面効果とともに倒れた。わたしこと鳴海千尋は歓声をあげた。


「九条さん! さすがです」

 彼女は無言で立ち上がり対戦相手に握手を求めた。


「また闘りましょう。良い試合でした」

 九条さん、格好良い……。やばい、主人公持っていかれそう。


「九条さん、やるね」

 姫川さんが笑顔で彼女を迎える。


「赤子の手をひねるより造作もないことです。……と、言いたいところですがなかなかに手ごわい相手でした。ふふ」


 レンコンさんチーム シード枠第一戦勝利



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