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聖少女暴君  作者: うお座の運命に忠実な男
余命一年のヒロイン編 第九章 クライマックス! 世界大会GERO
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9-6 リフレイン・クリスマス・オブ・ナイトメア

 いつの間にか季節は一二月。日本で開催されるゲームの世界大会GERO当日。


 姫川さんの余命宣告期限を過ぎてしまった。つぎに学生カップルコンプレックスが発動したら、命の保証はない。本人は気丈にふるまい、わたしたちが気に病まないように計らっている。


 コトジョ組、鳳女子組は全員西武新宿駅に集まっていた。これから会場のイベントホールに向かう。引率の護国寺先生の姿だけが見えず、みな時計の針を気にしている。几帳面な彼らしくない。


 集合場所に現れたのは護国寺先生ではなくスクールカウンセラーの小山ひかり先生だった。なぜ彼女が現れたのか。不吉な予感が走った。


「護国寺先生は来ません」開口一番、音のない衝撃がわたしたちを襲った。「彼は謹慎処分を受けています」


「そんな……! なにか問題を起こしたんですか⁉ うっしーに限って、そんなことはあり得ない!」

 姫川さんがひかりちゃんに詰め寄った。


「話さないわけにいかないでしょうね。今日の職員室での朝礼中……」



【小山ひかり 視点】

 スクールカウンセラーであるわたしこと小山ひかりも朝礼には参加している。変わらない顔ぶれにわたしは退屈していた。いつもと違うところは不吉なニュースがもたらされたことだ。


 この学校を卒業した生徒(現在某大学二年生)が学内で人間関係のトラブルを起こして服薬自殺未遂(オーバードーズ)した事件の一報だった。


 頭がバーコードの校長は聞き捨てならないことを口走った。


『その生徒が事件を起こしたのが卒業後で良かったですね。われわれにはなんの関係もありません。クズはほうっておけばいいんです。勝手に自滅しますからね』


 わたしの全身を指先までアドレナリンが駆け巡る。この野郎……! 神聖な教職をなんだと思っているの。


 わたしよりさきに護国寺先生が席から立ちあがり校長に接近しました。彼は校長を見下しました。そのただならぬ様子に職員室全体に緊張が走りました。


『あなたはどんな想いで生徒に接しているのですか? いまと同じセリフを生徒の前で言えますか? 答えてください』


 彼は鬼気迫る表情で校長をにらんだ。


『なんですか、護国寺先生。その反抗的な眼は。われわれの仕事は腐ったミカンを取り除くことです』


『生徒は食材でも商品でもありません。一人ひとりが素晴らしい可能性を持ったこの国の宝です。自分が関わった生徒の未来がどうなっても構わないというのなら、あなたに校長の資格はありません』

 彼は年上の校長に毅然とした態度を取った。


『そんな侮辱は許しませんよ!』

 校長はヒステリックな金切り声をあげました。


 ほかの教員の仲裁でその場は収まりましたが護国寺先生は一週間の謹慎処分になりました。


 わたしは一部始終を鑑賞していました。素晴らしかった。魂がうち震えた。


 拍手したい腕を必死に抑えました、保身のためにね。わたしはスクールカウンセラーとして彼に完全敗北した。


 彼がやらなければわたしが校長先生を月までぶっ飛ばしていました。生徒の未来を永続的に守るのがわたしたちの使命。校長の発言はわたしを冒とくした。万死に値する。


 護国寺先生、彼には惚れ直したわ。彼のなかに気高いプラチナの意思を見た。真の教職とは彼のことです。


 彼が謹慎になったので本日のあなたたちの引率代替にわたしが立候補したわけです。

挿絵(By みてみん)

護国寺牛次郎のイラスト



つづく

護国寺の謹慎処分! どうなる天文部!?

続きが気になる方は「いいね」や「お星さま」、ブックマークで応援していただけますと嬉しいです!ご感想お待ちしております。

イラストレーターはイナ葉さま(Xアカウント@inaba_0717)

無断転載・AI学習禁止です。


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