9-3 修学旅行! 神話の舞台出雲へ!
※本文中で使われている画像は、作者が2023年に島根県に旅行したときに撮影した当時のものです
わたしこと鳴海千尋と村雨初音さんは二年生。島根県への修学旅行が予定されていた。
「いいわね。飛行機に乗れて。あたしたちは京都だった」
姫川さんが微笑んだ。
「わたしは京都が大好きだわ。去年はヒメが駅のホームに転落して楽しめなかったけど」
姫川さんは重度の学生カップルコンプレックス。去年の修学旅行にて京都駅で学生カップルのキスシーンを目撃して駅のホームに転落。
彼女の死亡説が流れて当時の天文部は大混乱。彼女たちはGEBOの決勝当日にヘリコプターから降下して登場した。
「千尋、ハイジャックしたくなっても我慢してね。めっだよ」
姫川さんは真剣な表情。
「はい?」
「どあほう」折笠さんの突っ込みが入る。「ハイジャックしたら『めっ』じゃ済まないわよ! 逮捕よ、逮捕」
「わたくしは飛行機に乗るのはじめてです」
村雨さんがひかえめに発言した。
「飛行機処女ね」
折笠さんがとんでもないことを発言する。
「そんな言葉はない」
姫川さんが断言する。
「わたくしは出雲大社さまにお参りするつもりです。これでも譲羽神社の巫女ですので」
村雨さんの実家は神社。彼女は巫女さんでもあるのだ。
そんなわけでわたしこと鳴海千尋と村雨さんは島根県へ!
羽田空港で飛行機に乗り込んだわたしたちはフライトを楽しんだ。座席が中央だったので窓の外の景色をよく見られなかったのは悔しかった。
お昼近くに出雲縁結び空港に到着したわたしたちは都電で出雲大社さまへ!
村雨さんと合流したわたしは予定通り彼女と行動をともにした。
大きな鳥居をくぐり境内を歩く。わたしは素通りしそうになったけど村雨さんに呼び止められる。
「鳴海さん、祓社で穢れを払いましょう。本殿にお参りする前に祓社で穢れを落とすのがしきたりです」
「そうなんだ」
「出雲大社さまでは二礼四拍手一礼でご挨拶します」
日本全国でも二礼四拍手一礼は出雲大社さまだけなのだそうだ。
下り坂の参道は全国でも珍しい。出雲大社さまでは右側を歩く。
境内には神話にまつわるウサギさんの像がたくさん。神話にちなんだ大国主さまの像を見あげた。拝殿前にある大きな鳥居を一礼してくぐり、手水舎で手口を清める。
村雨さんいわく、神さまは礼儀正しい人が好きなのだそうだ。拝殿にお参りしたあと本殿の周壁を回り、隣接した敷地にある神楽殿を見学する。なんという巨大なしめ縄か。
さらに境内をでて、稲佐の浜まで歩き、弁天島を見る。砂浜にある巨大な岩壁の頂上に赤い鳥居が設置されていた。神秘的だ。
砂浜のお砂取りをしてふたたび出雲大社さまへ。それを出雲大社さまの素鵞社に収めた分だけもともとあるお砂を持ち帰っていいことになっている。
お守りを家族の分だけいただいた。村雨さんは社務所で神職の方にご挨拶をしていた。
ホテルの集合時間があるので早めに帰路についた。
「稲佐の浜の夕日、見たかったね!」
「わたくしは出雲にお住まいの方がうらやましいです。こんなに素晴らしい神社さまの傍で生活できるなんて」
村雨さんは瞳を輝かせている。
神社の近くにあるお土産屋さんで縁結びのパワーストーンを購入。わたしにもご縁があるかな。村雨さんは夫婦箸を買っていた。楽しい! 出雲素晴らしい!
二日目、現地を観光した。出雲そば、出雲ぜんざい、美味だった。松江市に電車で移動した。松江市駅からバスに乗り、八重垣神社さまでおみくじをいただき鏡の池に沈める。
水に浸されたおみくじに文字が浮かびあがる。このおみくじの沈み方で恋模様がわかるという粋な演出だ。
〝すべてがいまのあなたにちょうどいい〟
これが神さまからのわたしへのメッセージなのだろうか。
隣にいる村雨さんは目を閉じてなにかをささやいている。
きっと護国寺先生への気持ちが成就するよう祈っているのだろう。
わたしたちはおみくじが鏡の池に沈むのを見守った。
バスで駅に戻りふたたび電車で移動して玉造温泉街へ。
姫神広場の足湯につかり、勾玉橋で写真を撮った。川のなかにある幸せ青めのうにおさわりすると恋愛運アップだそうな。
恋来井戸で鯉にえさをあげると恋が来るとのこと。恋叶橋でも記念写真を撮影。
玉造湯神社さまで自分だけの願い石 (パワーストーン)をつくる。最後に清巌寺のおしろい地蔵さまに美肌の願いを込めてお参りした。
かけあしで観光予定地をすべてまわった。歩数計は一万を超えていた。
ホテルで引率の先生と合流。大浴場の温泉に入る。天国だ~
以前のわたしは体形のことを気にしていたけどいまは気にしていない。姫川さんたちがわたしを変えてくれたのだ。
三日目も観光を予定していたが、村雨さんの脚が限界になり、ホテルでゆっくり温泉につかりながら過ごした。
彼女は気を遣わなくてもいいと言ったが、わたしもけっこう疲れていたのでこれで良かったと思っている。
入浴場の側にゲームコーナーがあり、アーケード筐体が設置されていた。わたしたちがメインでやりこんでいるMODはなかったが、プレイしてみると新作ゲームは人気があるのがわかるほど面白い。
ホテル宿泊中の小さな男の子が乱入してきて熱い対戦をしてしまった。対戦後、すぐに仲良くなった。
格闘ゲームは言語以上の仲良くなるツールだ。
四日目は午前中にフライト。出雲縁結び空港から羽田へ。悔いはない。最高の修学旅行だった。
つづく
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