7-4 護国寺先生VS黒咲ノア
黒咲ノアちゃんの番が来た。彼女は余裕たっぷりでコントローラーを握る。
「黒咲さん、眼帯を取りなさい。両目の視力が偏った状態ではベストな試合はできない」
護国寺先生がノアちゃんに指示をだす。
「朱雀の瞳を解放しろと? 部室が火の海になります」
「ノア。いいから言う通りにしなさい」
姫川さんが命令をくだす。
「イエッサ!」
ノアちゃんは敬礼した。
「こういうところは素直なのよね」
折笠さんが彼女の素直さを認めた。
眼帯を外したノアちゃんは新キャラクターのライナス・バストラルを選んだ。
「前はセラノ使ってたよね」
わたしこと鳴海千尋はノアちゃんに確認した。
「ボクはオールラウンダーなので。全キャラクター人並み以上には使いこせます」
試合開始。第一ラウンド。
彼女のビックマウスはほらではなかった。
ノーマルアストリアを選んだ先生は突進必殺技の『ラッシング・エッジ』で攻め込んだが、ライナスは『ダイヤモンド・シェル』を発動。
三カウント完全無敵になる必殺技だ。
ライナスは溜めキャラクターなのでPディフェンスをすると溜めが解除されてしまう。
しかし、ノアちゃんはガードの直前だけニュートラルにレバーを戻しPディフェンスを発動させることによって溜めを持続するシステムの裏をかいた超高度テクニックを披露した。
「朱雀の瞳解放! 朱雀よ! ボクにちからを貸してくれ!」
ノアちゃんのおたけびとともにゲージがMAXになったライナスは超必殺技『クエタフレア』を発動! モニタ上が業火で焼き尽くされる。
【※クエタは一〇の三〇乗を表す】
ガードが遅れたアストリアはまともに喰らってしまった。その後、ノアちゃんは通常技と必殺技を織り交ぜながら攻撃して先生から一本取った。
第二ラウンド。先生は一瞬でノアちゃんに対する戦術を編みだしていた。
ガードされても隙の少ない通常技で攻め込む。Pディフェンスからの反撃にはバーストで対抗。
ライナスの『ダイヤモンド・シェル』には終了間際に無敵必殺技の『ソード・テンペスト』で反撃。低空ジャンプの中段攻撃で溜めを解除させる荒業も披露。
ライナスが『サモン・スケルトン』で死体を呼びだす。これはネクロマンサーであるライナスが死体を操る禁忌魔術である。しかし、先生は読み切っていた。
ライフを崩られながらも確実にガード。技をだし終えたライナスに『二刀流乱舞の太刀』で襲いかかる!
ライナスはまだ生きていたが、残りライフがわずかな彼に、超至近距離からの低空バックジャンプからの強斬りがヒット! えげつない攻撃でライナスはKO。
第三ラウンドも流れは護国寺先生のペース。勝者は先生だが、彼から一本取ったのはノアちゃんだけだった。
「黒咲さん。第一ラウンドはとても良かったぞ。第二ラウンドは戦術を変えるべきだった。
きみの格闘センスは部員のなかでも随一だ。ジャイアントキリングの素質がある。世界大会では大いに期待している」
部員全員との対戦が終わった。全員の課題が浮き彫りになった。
わたしたちeスポーツ部のメンバーに全勝した護国寺先生はすご腕の格闘プレイヤーだ。
彼ならプロゲーマーとして生きていけたかもしれない。
「うっしーはなんでプロゲーマーにならなかったの?」
姫川さんが長身の彼を見あげた。
「おれが学生時代のとき、プロゲーマーという言葉すら世間には認知されていなかった。プロゲーマーは日本に数人という時代だ。格闘ゲームのブームも下火になっていた。格闘ゲームの大会は世界情勢にも左右される。プロゲーマーは一生つづけられる仕事ではないと思った」
「クレバーだね」
「話したいことがある。世界大会GEROに一緒に参加する鳳女学院のメンバーとは連絡が取れているのか? 姫川。打ち合わせがしたいと思っている」
「もちろん。いまRINNEする」
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イラストレーターはイナ葉さま(Xアカウント@inaba_0717)
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