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第七話 【見合い 真田信繁編 】


「藍姫様、香乃にございます。朝食の準備が整っておりますが」


 ふぁぁ〜。なんだが頭がボーッとする。

 侍女の香乃(かの)によって起こされた藍姫は何だかとても眠そうだ。


「だれ?あ、香乃さん?」

「左様。香乃でございます。今日は珍しく起きてこられなかったので」


 あー、そっか。頭が起きてきた。

 見合いは1日ずつを予定されていた。三成は昨日、終わって今日は.....信繁様!!!


 それで緊張してなかなか寝付けなかったんだった...


「藍姫様?どうなさいましたか?」

「ごめんなさい、ちょっと入ってきてもらえる?」

「承知しました。失礼致します」


 とりあえず、香乃さんに話して落ち着こう。

 あ、でもみんな待ってるのかな…?


「ご気分でも悪ぅございますか?」

「いえ、実は今日のことで」

「今日のこと?」


「そう、今日は信繁様とお見合いじゃない?実は信繁様のことは前々から存じ上げていて...正直な気持ちを話すと、信繁様とのお見合いが上手くいったら嬉しいなって思ってて」


「藍姫様は信繁様を今までの武将様の中で一番、好いておられるということですね」

「そうなの!だから緊張しちゃって、昨夜はなかなか寝付けなかったの...だから起きれなかった」


「あら、やだ。うちの姫様、可愛い」

「ちょっと!茶化さないでよ!」

 

「失礼しました。今日の見合いが上手くいきますようにお祈りしております。さ、皆様がお待ちです。行きましょう」


 やっぱりみんな待ってたか!

 信繁様を待たせてしまってた...寝坊するとか第一印象、絶対悪くなったじゃん…


「藍姫様、ご心配なさらないで下さい。秀吉様もまだ起きておられません。家臣たちは主君より早く起きねばならないので、既に起きているだけですよ。今頃、殿が秀吉様を起こしに参られてる頃だと思いますよ」


「あら、そうなの!?」


「はい、それにいつもは既に起きておられる藍姫様が居なかったので三成様も左衛門佐様もご心配されておりました。それ以外の感情は抱いておりませぬ」


 香乃さんは超能力でもあるのかしら?

 どうして私の考えが分かったのか。いや、普通に考えて顔に出てしまっていたか。


 私を慰めながら、いつも通りテキパキと着物を正す香乃さん。本当に尊敬しちゃう。


「お待たせしてしまい、申し訳ありませぬ!」


 部屋に着いたと同時に大きな声で謝罪する藍姫。


[何事じゃい]

「藍姫様!心配しておりましたぞ。如何なされた?」

「姫様、昨日は疲れさせてしまったか?」


 信繁様....あなたが原因ですとは言えないので、理由は聞かないでくだされ....


[お前ら!説明せぬか!]

 

「失礼致しました。大変恐縮ながら、真田左衛門佐信繁が説明させて頂きます。藍姫様はいつも朝食の準備が整う前には起きておられたのですが、今日は起きてこられず...三成殿と共に心配しておった所でございます」


「.........左衛門佐殿との見合いで緊張して眠れなかったのか?」

「っ!!!!!父上、お気づきだったのですか!?」


[藍姫、どうした?]

「あ、いえ。なんでもございません!!!」


「父上、一体いつからですか?」

「そなたが左衛門佐殿の事を聞いてきた段階で薄々、気づいておったわい。今日の見合い、上手くいくといいな」


[藍姫、義昭!それぐらいにして朝食にしようぞ]

「失礼致しました」


 この日の朝食は全く味がしなかった。

 お父上に気づかれていた恥ずかしさと緊張によって、きっと私は顔が真っ赤であったであろう。


 朝食後、見合いの場となる応接間で推しを待っていた。緊張から動き回っていた私に着物を正しに来た香乃さんに笑われた。


「失礼します。真田左衛門佐信繁でございます」


 やだ、推しが来た。


「ど、どうぞ」

「藍姫様、今日は体調が優れないですか?見合いは中止致しますか?」


「あ、いえ。ご心配、感謝しますと共に申し訳ありません。私めは大丈夫です」

「いえ、謝らないでください。姫様が大丈夫と言うなら信じます。ですが、あまり無理はしないでくださいね」


 あの.....推しが優しすぎて既に天に召されそうです!


「本日はよろしく頼みまする」

「こちらこそ。恥ずかしながら見合いは初めてなのだが、どうすればいい?」


「あなたも初めてなのですね!」

「ん?どういう意味だ?」

「申し訳ございません。三成様も初めてだと仰っていたので」


「そうであったか。殿に仕えてる者は殆どが初めてだと思われるぞ。見合いをしろと命令を受けたのも初めてで非常に驚いた」


「あ、そうなんですね。見合いはお互いの聞きたいこと、話したいことを話せば良いと思われます!」


「承知した。そなたは私に聞きたいことはあるか?」

 

「はい!!まず初めに......あなたのことは何とお呼びしたらよろしいですか?真田様、左衛門佐様、信繁様、どの呼び方をすれば良いのか分からず」


「承知、故に あなた と呼んでいたのだな」

「申し訳ありません.....」

「まず、そなたに1つ。謝るのはよしてくれ。私は別に怒ってはおらぬ。そなたも悪いことをしていないのだから」


「もう.......あ、はい。ありがとうございます」

「はははっ!呼び方についての質問だったな。そなたの好きな呼び方で構わぬぞ」

 

「では、信繁様でよろしいでしょうか?」

「ああ、問題ない」

「ありがとうございます」


 意外と喋れるな、良かった。


「意外と元気そうで安心した」

「はい、問題ございません!元気です!」


「なんか......そなた可愛いな」

「ふぇぇっ!?」

「ははは!うむ、可愛い」


 やだ、推しに可愛いって言われた。死んじゃう。


「顔が真っ赤ではないか!やはり体調が悪いのではないか!無理をするな」

「いえ、違います。信繁様に可愛いと言われ、恥ずかしいのです.....」


「.........私の嫁にならないか?」

「ふぇっ!?よろしくお願いします」


 え、やだ。プロポーズされちゃった。

 受け入れるに決まってるじゃないか!!!!


「ちょっと待ってくれ、私への返事は?!」

「やはり居たか、政宗殿」

「伊達政宗様!?!?どうして此処に.....?」


 なんで政宗がここに居るんだ、信繁様は政宗の存在に気づいていたのか?


「政宗殿、悪いが藍姫は渡さぬぞ。私の正室になるのだ」

「いや、私は諦めきれぬのだ.....」

「私たちは武士だ。二人で戦い、決めようではないか」


 おっと、不穏な流れになってきたな....

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