第六話 【見合い 石田三成編】
遅くなってしまい、申し訳ありません。
第六話の投稿です。
今回はついにお見合いです!石田三成編になってます。
次話はいよいよ真田信繁編です。お楽しみに。
お父上は何やら事情を知っている感じがする。だけど、探りすぎると不思議に思われて勘づかれるかもしれない。程々にしておこう。
お父上の口から信繁様は良き漢と聞けただけでも嬉しい。それに何かあればすぐに駆けつけてきてくれるとのこと。心強い。
秀吉は忙しい。戦もきっと多いだろう。
果たして、現代に帰る前にまたお父上と会うことは出来るのだろうか?戦で死なず、また再会できることを切に願う。
お父上と話をしてから1週間後、秀吉に呼ばれた。
「秀吉様、失礼致します。藍姫にございます」
[うむ、入りたまえ]
「お呼びでしょうか?」
[うむ、そろそろ二人と見合いでも如何かな?と思ってな。先ずは三成からと考えておるのだが、そなたの気持ちを聞きたくてな]
「左様でございますか。そうですね、私めは特に問題はございませぬ。お心遣い、感謝致します」
[そない、畏まる必要はないのだぞ?三成にも、左衛門佐にも。無論、儂にもな。互いに素で楽しく話せばよい]
秀吉に畏まらないのは無理があるでしょう。殿下だぞ?天下統一する武将だぞ?
[こんな話をそちに話すのは恥だが、皆が殿下!殿下!と儂に畏まって話すが、本音を言うと、ちと寂しいんじゃ。本当はもっと友のように喋りたいのじゃがな...立場上、仕方ないとはいえ寂しいわな]
秀吉はそんなことを考えていたのか…
[そちに友のように話せとは言わぬ。無理に畏まるなとも言わぬ。じゃが、可能なれば…義昭と話す時みたいに儂にも話してくれると嬉しい。皆、儂を偉い大名だと崇めるように話すが、儂は元々、農民出身。未だに慣れぬわ]
照れたように笑う秀吉。
威厳を保たなければならないから弱音も吐けずに孤独な気持ちはあるんだろうな。出来る限り、要望に応えられるように努力しよう。
「かしこまりました。それが秀吉様の願いなれば、叶えられるように善処します」
[感謝する。まだあと2週間は此処に滞在するつもりだ。あと2週間、よろしく頼む。素敵な見合いになり、そちが幸せになることを儂は心から祈っておるぞ]
正直、この1週間が最高に幸せな一時だった。推しと一緒にご飯を食べてるんぞ?これは夢か、幻かとふわふわした気持ちだったよ。このまま続けば良いのにとさえ思った。
でもあと2週間で信繁様は大坂城へ帰られる。見合いが上手くいったらいいな...
そして、見合いは三成からか。三成に対しては特に何も考えてないんだよなぁ...
秀吉にお茶を何段階かに分けて出したとか佐和山城の城主だったとか基本的な知識があるだけで、どういう人物かはよく分かってないんだよね。
相手を詳しく知るのも見合いの一つか。
色々と質問してみよう。
「失礼致します。石田三成にございます」
「どうぞ、お入りくださいませ」
応接間に三成がやってきた。果たして、どんな見合いになるのか。急に緊張してきた。
「今日はよろしく頼みまする」
「こちらこそ」
見合いは三成と信繁様ともに1日ずつの予定である。
「何か聞きたいことはあるか?なんでも答えようぞ。先ずは私から聞いてもよいか?」
「無論。なんなりとお聞きください」
「そなた、見合いは何度かやっているのか?恥ずかしながら、私は今日が初めてで何をするのか、何を話せば良いのか分からぬのだ。教えてくれるか?」
「実は最近、目覚めた時に記憶がなくなってしまいまして...その日からお見合いしたのはお二人です。西尾宗次様と伊達政宗様です。見合いは何をするのか、何を話すかですが、特に決まりは無いと思います。互いに話したいことを話すで問題ないかと」
「なんと、記憶がなくなったのか!前柴殿のことも覚えておらぬのか?」
「正直、初めて会うという印象でした。良き人で安堵しました」
「記憶がなくなる前も見合いはしていたのか?」
「侍女によりますと、その様ですね。見合いの申し込みが多くて怪訝な顔をされておりました」
「侍女も大変だな(笑)」
「そうですね。私めは絶世の美女と噂されているのが恥ずかしい限りでございます」
「そなたは私から見ても美しいと思う。そなたを正室にしたいと申し込む武将の気持ちが分かるわ」
「そんなそんな、よしてくだされ」
「その反応も愛おしいではないか。して、そなたは私に聞きたいことは無いのか?」
改めて聞きたいことって言われても難しいな。今後、起きる関ヶ原の事を聞いても仕方ないし...無難に家族構成や好きな物でも聞いてみるか。
「そうですね...西尾宗次様も政宗様も殆ど一方的にお話されていて、私はそれをひたすら聞く感じでしたので、何を聞けばよいのか混乱しております。そうですね、御家族についてお聞きしたいです」
「ふむ、家族についてか。家族の何について聞きたい?」
「仲が良いのか、御両親についてなどですかね」
「家族の仲についてだが、普通と言ったところか。他所の家族がどれほどの仲なのか定かではないからな。両親については、二人共に心から尊敬しておる。幼少の頃より殿下に仕えることになったが、快く送り出してくれたしな」
「左様でございますか。御両親を尊敬されるのはすごく良いことですね。確かに秀吉様に仕えるとなると、戦が増えて危険な目に遭うことは想像できますものね」
「左様。なのに、快く送り出してくれた両親の優しさには深く感謝しておる」
「なるほど。三成様は秀吉様に仕えることになった時、どんなお気持ちでしたか?」
「偉い人が来たから失礼のないように振舞っただけなんだが、まさかその行動が気に入られようとは思いもせんなんだ。凄い武将に仕えることになってしまったなというのが率直な気持ちだな」
「色々と答えて頂き、感謝します。それでは、とても重要な質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「なんなりと」
「私と祝言をあげることになった場合、その後の生活はどのように過ごしたいですか?」
「うむ、難しいな。殿下次第ではあるが、城で共に過ごしたいと思っておる。戦の際は、そなたに危険な目に遭ってほしくないゆえ、城に籠るか、何処か安全な所へ逃げてほしいと考えておる」
意外と色々と考えてくれていた。
「あとは私の好きな料理の店に共に行って分かち合いたい」
なるほど、ご飯デートか。悪くない。
「承知しました。色々と考えてくれていたんですね。感謝します。信繁様との見合いの後にお返事させて頂きますね」

「承知した。どんな結果でも構わぬが、そなたとは良き関係のままで居たい。」
「三成様の願い、しかと受け止めました。お返事するまで暫し、お待ちください」
結婚が無理でも友達として関係を続けたいってことか。それが三成の願いなら叶えてあげよう。問題は信繁様とのお見合いがどうなるか。
もし、上手くいかなかったら誰と結婚しようか。もう一人の推しである政宗にするか。はたまた、別の武将にするのか。悩ましいところだな