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第九話 【三成との約束、藍姫の決断】

あけましておめでとうございます!!

明けてから2ヶ月経ってますが...


今年もよろしくお願いしますねm(*_ _)m


 波乱だったお見合いから一週間後、三成に呼ばれた

 あの場で言っていた食事デートの件だ。


 三成の好きな食べ物って柿くらいしか知らないが

 え?柿のお店?正直、私は柿が苦手だ.....


「姫、どうした?体調でも悪いのか?なれば、今日は辞めておくか?」

「いえ、心配は無用。少しばかり考え事をしていただけです」

「なに、話してみよ」

「本当に些細なことです。何を食べに行くのかと」


「左様か。今日行くのは美味しい鮎の店だ!」

「鮎のお店でしたか。良かったです。実は私、柿が苦手でして...三成様は柿がお好きだと聞いたことがあったので、少しばかり不安に思っておりました」


「そうか、すまない。苦手な食べ物など先に聞いておくべきだったな。だが、私の好物をそなたに知ってもらっているのは嬉しい」


「謝らないでくださいまし、安心しました」


 この会話は全て津之江城の門前での会話である。

 三成は先に馬に乗り、私が後ろに乗る手筈だったので見上げる形で会話していた。


 首が痛い。


 そして私は島左近に抱えられ、馬に乗った。

 どうでもいいんだけど、三成の馬が大きすぎるんだよな。戦の時に攻撃が当たりにくくするためなのだろうか?

 

 そんなことを考えつつ、私たちは鮎のお店へ向かった

 

 三成は常に後ろの私を心配してくれた。

「揺れで気持ち悪くはなっておらぬか?少し休むか?」

 優しさが心に染みる。


 どれくらい馬を走らせただろうか。かなり走っていたが、割と栄えている街に入った。ここは何処だろうか?


「三成様、栄えた街に入りましたね。目的地はもうすぐですか?」

「ここは大坂の堺だ。もうすぐ着くぞ」


 まさかの大阪府堺市!天下の台所やん。

 さらに上を目指すと私の地元...戦国時代の地元見てみたいな


 10分ほどで馬が止まった。店に到着したらしい

 看板には【鮎 食事処天龍】と書いてあった。かっこいい店名だな。


「さあ、到着したぞ。中へ入ろう」

「鮎料理ですよね?楽しみです」

「左様、ここは本当に美味しいから存分に味わうといいぞ」


 鮎は結構、好きだから楽しみだと気持ちを高ぶらせていると、私たち二人は何故か個室へと案内された。左近と舞兵庫は別である。所謂、二人きり。これだと話そうと思っていたことを伝えられそうで願ったり叶ったりだ。


「すまない、武将は個室へと案内されるのが決まりでな。左近たちが居ないと心細いか?不安か?」


 なるほど、VIPルーム的な感じか。


「いえ、心配ご無用です。むしろ、お伝えしたいことがあったので二人きりの方が有難いです」

「ほう、それはなんだ?」

「まずはご飯を食べてからに致しましょう。ちなみに、左近様たちは近くに居て会話は聞けるのでしょうか?」


「いや、武将が居ると悟られるわけにいかぬゆえ、離れていると思うぞ」

「承知しました、なれば安心ですね」

「おいおい、気になるではないか。今じゃ駄目なのか?」


「申し訳ありません。お恥ずかしながら空腹で....」

「左様か!なれば仕方あるまい!すまない!」


 そんな会話をしていると、タイミングよく料理が運ばれてきた。なんと美味しそうな!目を輝かせていると三成の視線を感じた。微笑みながら私の顔を見ていた。


「お恥ずかしい!見ないでくだされ!」

「良いではないか。さ、美味しいから存分にお食べ」


 三成に促され、鮎を一口食べる。

 塩加減も丁度よく、身もふっくらで最高だ。本当に美味しい。戦国時代は割と質素だと思われがちだが、ちゃんと定食のようになっている。馴染みのある和食である。


「本当に美味しいですね!鮎もふっくらで最高です」

「そうであろう!此処のご飯が好きでな。姫の喜ぶ顔が見れて私は幸せだ」


 ご飯を堪能した。そしてあっという間に食べ終わってしまった。

 私はここに覚悟を決めてやってきた。どうしても三成に伝えなければと。何を伝えるか?無論、私の全てと未来のことである。


「食べ終わったな。して、話とはなんだ?」

「今から話すことは事実です。が、信じて貰えないかもしれません」

「構わない。姫の言葉はどんな内容であれ、信じている」


 私は全てを話した。未来から来たこと、秀吉が死に、家康との関ヶ原の戦いが起きること、三成は負けて死ぬこと、包み隠さず話した。

 話し終えた後、暫く沈黙が続いた。仕方ないとはいえ、空気が重たい。


「黙ってすまない。そうか、そんな事が起きるのか。その関ヶ原の戦いとは今からどれくらい先なんだ?」

「およそ、十年後です。東軍が家康、西軍が三成様です」

「そうか。そしてそこで私は死ぬのだな?」


「戦場では、死にません。西軍が負けたことにより家康の命令で死んでしまいます」

「戦場で死ぬのは誰かいるか?その武士に伝えはせぬ、別れの日まで絆をさらに深めておきたくてな」


「そうですね……大谷吉継様が亡くなってしまいます」

「形部殿が!?そうか、形部殿が」

「関ヶ原の戦いはとある事件がなければ、西軍が勝っていたことでしょう」


「とある事件とは何だ?」

「こういったタイムスリップ、過去に戻るという状況では実際にあったことを変えてはならないとされています。故に、話して三成様が対策されてしまうと……」


「己の人生はしかと受け止める。未来を変えようとも思わない。何が起きるのか知りたいだけだ」

「本当に未来を変えませんか?」

「ああ、変えない。私を信じてくれると嬉しい」


 真剣な眼差し。嘘はついていない。信じる他ないよね


「承知しました。どうして西軍が負けたか、それは小早川秀秋など沢山の武将が裏切ったせいです。どちらに就くか決めかねていた小早川に家康が鉄砲で脅迫したからと言われていたり、戦いが始まった段階で既に東軍に就いていた、など様々ですが」


「どうして小早川が裏切ったから西軍が負けるのだ?」

「小早川は一万以上の兵を持っていたからです」

「あー、なるほど。理解した。一万の兵が東軍にいったから西軍は崩壊していったということだな」


「左様でございます」

「そのせいで形部殿が死ぬのか?」

「小早川が裏切るのではというのは形部殿も考えていたらしく、対策していました。ですが、脇坂らの裏切りも加わり、挟まれてしまった吉継様は自害を決断しました」


「潔い死に方だな。そうか、そうか。姫、大切な秘密を話してくれてありがとう。伝えるのにも勇気が必要であったろう?本当にありがとう」


 自分や仲間の死を聞いても顔色ひとつ変えず、私を心配する三成を見て自然と涙が溢れた。どうか三成が関ヶ原の戦いまで少しでも穏やかに過ごせますように。朝鮮行くから無理かな。


「一つだけ聞いても良いか?」

「はい」

「私が十年後に死ぬから祝言を断ったのか?」

 

「いえ、そうではなく。未来では好きな人を推しと言います。信繁様は私の推しだったので、もともと心は信繁様で決まっていました」

「左様か、まぁ左衛門佐殿はかっこいいからな。気持ちは分かるぞ。姫が左衛門佐殿と幸せに暮らしてくれたら私も幸せだ」


 私もあなたの幸せを願ってますぞ、三成様


 

 


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