戦国時代に来てしまったのですが…
数多くある作品の中から私の小説を選んで頂き、ありがとうございます。
この小説には実在した武将も出てきますが、存在しない武将も出てきます。ご了承の上、お読み下さい。
作者は歴史小説を初めて書きます。
つたない部分もあるかとは思いますが、完結するまで読んで頂けますと幸いにございます。
眩しい…もう朝か…。起きなければ。
私は朝日に照らされて目が覚めた。
今は何時かな?明るさ的に10時頃か?いや、それやったら遅刻やないか!
一人ツッコミをいれながら時間を確認するためにスマホを探す。
顔を上げた瞬間、私は固まった。
ここは何処だ!?無駄に広い部屋…。あれ?自分の部屋じゃない!?
夜、眠りにつくまでは間違いなく自分の部屋に居たはずが、目を覚ますと全く知らない部屋に来てしまっていた。
状況的にお酒でも呑んで酔っ払ったのかと思ったが、それは絶対にない。だって私はまだ高校生。父と叔母との三人暮らしだが、二人ともそんな非常識なことはしない。だから尚更、意味が分からない。
長野県にある祖母の家という可能性もあったが、私が寝ている間に父がこっそりと長野に連れて行くなど、これまた考えにくい。
ダメだ…正解が全く分からない…
考えることに必死で近づいてくる足音に気づかなかった。
(藍姫様、お目覚めでしょうか?朝食の準備が出来ております)
心臓が止まるかと思った。
藍姫とは誰ですか?私の名前は前田藍佳ですけども。
本当にここは何処なのですか。
(藍姫様…?まだお眠りなのでしょうか…?)
まずい、返事をしなければ。
…ちょっと待て。
考えることに精一杯で気づかなかったけど、どうして私は着物を来ているのだ?
祖母から貰った着物は持ってるけど、この着物は知らないぞ?藍姫とかいう人の着物なのかな?
「すみません、起きてます」
(良かったです。お部屋に入らせて頂いてもよろしいでしょうか?)
「あ、どうぞ」
私の返事を聞いて女性が入ってきた。
この人もまた着物姿である。
(起きられたばかりですか?朝食の準備が出来ておりますが)
「…あなたは誰ですか?」
(えっと…どういった御冗談で?)
困惑した表情を浮かべる女性。この方にとって私はどんな存在なのだろうか?これって完全に怪しまれてるよね。どう説明したら良いんだろう…。
「ごめんなさい。記憶がなくなってしまって…あなたが誰なのか分からないんです。ところで、私のスマホを知りませんか?」
(スマホ…とは?何処かに頭をぶつけられたのでしょうか?医者を呼んでまいります)
スマホを知らないだと!?医者に診てもらっても解決しないだろう。これは流れに身を任せたほうが良い気がしてきたぞ。
女性を呼び止めようとしたが、足早に何処かへ消えて行ってしまった。
本当に何がどうなっているんだ…
考えるが、正解そうな案は出てこない。頭を抱えていると、また声がした。
(藍姫様、医者を連れてまいりました。失礼します)
本当に医者を連れてきた。見覚えのある白衣。が……丁髷!?
丁髷なんて肖像画でしか見たことがないぞ?
尚更、訳が分からなくなった。あれ?なんだか目眩もするぞ…。
(藍姫様、大丈夫でしょうか?目の焦点が合っておりませぬ)
〘これは早く診たほうが良いですね〙
(お願いします)
そこから診察が始まった。身体は健康そのものだった。女性と医者は首を傾げる。
「本当に誰なのか分からなくて…ごめんなさい…」
二人に申し訳なくて涙が溢れた。そんな私を見てさらに驚く二人。いやはや…困った。
〘記憶喪失なるものかもしれませぬ〙
(それはどういった病気なのですか?)
〘症例が書かれた書物でしか見たことはないのですが、稀に記憶喪失なるものが起きるそうです。頭をぶつけたり、強い不快感を覚えた場合にそうなるのだとか〙
えぇ、間違いなくそれだと思います。強い不快感ってストレスのことか?
(薬を飲めば、治るのですか?)
〘治し方などは書いておりませんでした。未知の病かと〙
『藍姫様が未知の病…なんということでしょう…』
未知の病なんだ。それもそうだね。治し方なんて誰も分からないよね。あと、さっきから喋り方がえらい古風だな。気になって仕方がないのだが。
「あの…今って何年ですか?」
(暦でございますか?天正18年にございます)
はい?今なんと?
天正18年って聞こえたんだけど、気のせいかしら?
「えっ?天正18年と言いましたか?」
(はい。そう申し上げましたが)
なんということでしょう。聞き間違いではなかった。
えっと…タイムスリップ?
戦国時代に来たということでよろしいでしょうか?
ということは、真田信繁様が生きておられる!?現代に戻る前に推しに会えるかな?
楽しみが出来たわ!
でも、これからどうやって生活しましょう・・・