再び学校へ行ってみよう その9
不気味な影が、掛け声と共に技を繰り出した。
平手、裏拳、正拳、貫手、手刀。回し蹴りに膝蹴りと、俺に向かって様々な打ち方を速攻でしてくる。心影流は守りの技のはずだったが、この不気味な影は攻撃に集中していた。
恐らくかなりの上段者なのだろう。
俺と光は、心影流では黒帯クラスだった。
だが、この影は黒帯クラス以上の師範代クラスだ。
不気味な影が軽いステップをして、連続して技を繰り出していくので、俺はなんとか避けるのに夢中になっていた。
気付いたら、俺の後ろは電信柱だった。
しまった!!
いつの間にか追い詰められている!?
「おにいちゃん!!」
「下がってろ! 我が妹よ!」
雨が土砂降りへと変わった。
周囲が瞬時に薄暗くなった。
稲光と共に俺は影の隙を見抜いた。
「そこだあああーー! ぶっ飛べええええーー!!」
俺は影の腰目掛けて、必中の膝蹴りを放った……。
だが、膝蹴りは躱された。
「う……ぎっ?!」
「おにいちゃんーー!!」
バスッと、派手な音が辺りに鳴り響いた。
不気味な影の後頭部に、我が妹の延髄蹴りが決まっていた。
そうだ!
こっちには心影流の使い手が、二人いるんだ!!
不気味な影が、前のめりに転がり込む。
だが、すぐに立ち上がる。
「心影流は二つといらない!!」
不気味な影が我が妹を襲う。
が……?!
雨が激しいなあ。
所々、雷が落ちてきているぜ。
見事、妹の急所攻撃が不気味な影の股間にクリーンヒットしていた。
蹲る不気味な影に俺の中段回し蹴りが、顔面のところへ命中。
「いくらお前が強いからって、二人も心影流の達人を呼んだのは、はん! 誤算だったな」
「……」
不気味な影は蹲る状態から後ろを向くと、そのまま一回転してソバットを放ってきた。
「うぎっ!」
ソバットは俺の腹部を抉った。
「おにいちゃん!!」
俺は悶絶して倒れた。
い、意識が……?!
「なんの! うりゃーー!」
俺は頭を振ってから、思いっきり立ち上がった。
足に来ている……。
ちゃんと立てない?!
「はんっ!」
俺は心影流を必死に構えた。
不気味な影も構える。
「そこだーーー! ぶっ飛べええええ!!」
一瞬だけグラついた不気味な影の顔面に向かって、飛び膝蹴りを放つ。
不気味な影は態勢を即座に整えて、右回りして裏拳を打った。
ざあざあと降る雨の音がけが、俺の耳にいつまでも残っていた……。




