再び近所を見に行こう その5
「うりゃ!」
俺は影斬りの刃を拾った。
この刃は、きっと影を斬れるんだ!
難なく拾った影斬りの刃で、影の倒れている地面を円を描くように斬っていった。すると、周囲の影も斬ることができて、音もなく地面に大きな穴ができた。
「うぎっ!」
俺の影が叫び声と共にその穴に落ちていった。
「ほ、ほにいちゃん? なん???」
「大丈夫だ我が妹よ! これが影斬りの刃の正しい使い方なんだ! この刃は地面に浮き出た影そのものを斬れるんだ……。多分な! だから、心影山では岩面のあんなところに埋まっていたんだよ」
「ほにいちゃん? さっすが! ……ほにいちゃん……? でも、影が死んだら本体のほにいちゃんは無事じゃないんじゃない……?」
「うぎっ! とっても不吉な事を言うなー! 多分、今俺はピンピンしているから大丈夫だ! 地面の下へ落ちた俺の影は無事だからだろう。それじゃ、先に行こうか」
俺は妹を連れて、俺の家に走った。
恵さんたちの影は、今も影の集団と戦っていた。
日の当たる道路を走っていると、汗を掻いてしまった。
片腕で拭うと、とあることに気が付いた。
「おにいちゃんは、ここで影斬りの刃で地面にかなり大きな穴を掘っているから。……いや、掘っている? じゃなくて、斬っている……か? その間に、光は光の影をここまでおびきよせてくれ……」
「ほひ? うん、わかった。……あ、そうか。私の影も家にいるんだよね。了解。了解。ほひいちゃん。ここで待っててね。すぐ戻る」
「よし、任せたぞ! あ、くれぐれも攻撃しちゃ駄目だぞ!」
我が妹はその言葉には返事もせずに、俺の家の方角へ駆け出した。
俺は影斬りの刃で道路の中央から端と端まで、影があるところなら、片っ端から穴を開けていった。
やっぱり、影斬りの刃で斬っても道路自体はなんともない。
ただ、斬った部分の道路は真っ暗な黒い色になるだけだ。
足で黒い色のところを踏んでも、地面から落ちることもなく固いアスファルトの感触だった。
その時。
ドゴン!!
という派手な音と共に、我が妹の影がこちらにふっ飛んできた。
「うぎっ! 人選間違えたーーー!!」
難なく?
我が妹の影が影斬りの刃で斬って、作った。真っ暗な穴へと落ちていった。




