心影山へ行こう その6
「おにいちゃん! お風呂! 恵さん家に帰ろ!」
「おう!」
「え、私のお父さんは?」
「いんや、ここは危険だ……君のお父さんも帰っているかも知れない」
三人で山を下りた。
荒涼として小石だらけの心影山は、どこも真っ暗だったが、頂上付近に明かりが見えた。
きっと、まさかの杉崎のおじさんか俺の影たちだろう。
「そういえば、影洋くん。あなたの影って……あれ? あなたの妹さんも? 普通にあるはずの影がないわよね」
「ああ、俺と妹の影はないんだ。それが女神さまから試練だといわれてるんだなあ。多分……」
「ほい。私の影もないです。これは試練です」
心影山からのトンネル内で、突然四方からライトで照らされた。
強い光に目を細めて周囲を見ると、いつの間にか俺たちは囲まれている。
その光は、トンネル内の前方と後方を埋め尽くしている自動車のライトだった。
トンネル内は、真っ暗だから今まで気がつかなかったんだ!
自動車から降りだした複数の影。光で露わになった影のシルエットの中には、俺の影はいない。だけど、全員が全員、斧のような影を持つ武装した大男たちだった。
挟み撃ちだ!!
それと、照射されたライトの中央に立っている俺たちは、格好の餌食だった!!
「うぎっ、どうしようってんだ!!」
「きゃ! 影洋くん! どうしよう?!」
「ぶー!」
退路もない!
隙もない!
助っ人も多分いない!
では、どうするか!
俺は即座に踏み込んだ。
一人の斧のような影を持つ大男の間へ。
すかさず大男の影の腹に二発瞬時に膝蹴りを打った。
大男がもんどりうって、倒れた。
けれど、すぐに後ろから杉崎の悲鳴が聞こえた。
だけど!?
ゴキッ!!
鈍い音が派手になったかと思うと、自動車のライトに照らされているのは、地面に倒れた二人の大男の影しかなかった。
なん???




