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虎倉街の偽の射影たち  作者: 主道 学


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心影山へ行こう その4

「あれ? あれって?」


 確かに光るものが大きな岩肌にあった。

 ただ、その光るものはどうやって取っていいかわからなかった。

 丁度、岩肌の中に埋まっているのだ。


 荒涼とした心影山には、木と岩しかなかった。

 その広い山で、たった一本の影斬りの刃を探すのだから、こうもすぐに見つかって良かったが、岩の奥深くに埋まっていてどうしたら取れるのだろうと考えさせられた。


「あ、そうだ! 登山道具一式!」

「おにいちゃん! 頑張れ!」

 

 岩を削る道具がないかと、登山道具を開けてみる。

 だが、ピッケルなどはあるが、どうも岩に穴が空けられない。かなり深い場所にあるから今持っている道具では掘るのは難しかった。


 と、突然。

 ゾワリと来た。


「おにいちゃん! あれ!」


 見ると、影が何体か山の上の方から降りてきた。

 その中には俺の影もいる。


「まずーい! 妹よ! どこかに隠れてろ!」

「ほいーー!」


 妹の光が近くの岩陰に隠れると、俺は心影流の構えをして様子を窺った。


 俺の影たちがこちらにゆっくりと歩いてくる。

 当然、こちらに気が付いている。

 あ、そうか!

 影なら体が通り抜けるから岩から、影斬りの刃を取り出せるはずだ!

 影斬りの刃が、俺の影に奪われてしまったら、かなりまずいぞ!!


 でも、どうして?

 

 ここに俺たちがいるって、わかったんだろう?

 ひょっとして、尾行か?

 でも、どこから?


 うーん……?

 わからん!


「おにいちゃんも隠れて! ヤバイよ!」

「うぎっ!」


 よく見ると、俺の影が従えている影に刀を持った奴が何体も混じっていた。

 ええーい!

 考えてもしょうがねえええ!!

 今は、この窮地を脱しないと!!


 心影流は最強の守りの技だって、ここでも証明してやる!!

 でも、ちょっと絶体絶命かもな……。

 妹もいるし……。


「おにいちゃん……逃げたら?」

「いや、ダメだ! 影斬りの刃が……」

「うーん、たぶん影は影斬りの刃のことは、知らないんじゃないかな?」

「……でもなあ。俺の影以外もいるから、偶然でも、影斬りの刃を見つけてしまったら?」

「うーん……」

 

 徐々にこっちへ近づいてくる影たちに俺は冷や汗を掻いた。

 

「あ、こんなところにいた! 病院に行っていないの!」


 後ろを振り向くと、夜の暗闇の中から……あのホームセンターの杉崎がいた。


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