近所をもっと調べてみよう その5
が……。
「すいませーーん!! 今度買いますーーーー!!」
俺は本屋を飛び出し猛ダッシュ。
でも、なんていうか、店内の照明が弱くてか薄暗いが凄く落ち着ける本屋だったな。マジでまた来てもいいかな?
近所を散策していると、空は柔い暗黒からどんよりとした暗闇になった。
俺を包み込む空気もやたらと寒くなってきた。
そして、やっと来た。
問題の黒い家に……。
黒屋根に黒い扉。それ以外は何の変哲もない普通の家だった。
近づくと、窓から大勢の祈りの声が聞こえてくる。
どこか、おどろおどろしいその声を放っているのは、他でもない影だった。
うぎっ?!
この部屋の中。
全員が影だ!!
俺は窓から中の様子を窺っていた。
そこには、地下への扉があって、影はみんな床に平伏してお祈りをしていた。
そして、徐々にお祈りを終えた影から地下へと扉を開けて降りていった。
辺りには俺の影は見当たらなかった。
地下には何があるんだ?
そう思ったら、さすがに怖くなった。
今さらながら、妹を屋敷に置いておいて良かったぜ。
全員の影が地下へと降りてしまうと、俺は黒い扉から室内へと入った。
さあ、玄関から右の部屋にある扉から地下へ降りてみよう。
本当に地獄や魔界に繋がっていたりして……。
一歩、一歩、地下への階段を降りると……。
うぎっ?!
そこは、さっきまでいた黒い家の右の部屋だった。
俺は部屋にあった地下への階段を何故か……上っていた??
いや、確かに降りたんだ……!!
うーん???
不思議だが、階段を降りるとまた同じ部屋へと戻るようだ。
まるで、ゲームの世界の無限ループだ。
だけど、何かが違った。
家の外へ行ってみよう。
黒い家だったところから外へ出ると、そこはスッキリとした朝日が射す虎倉街の住宅街だった……。
驚いて、出てきた家を振り向くと、そこは黒い家ではなくて白い教会に変わっていた。
「うぎっ!! ここは……どうなってるんだ!! 女神さま!! いや、あーー! わかった!! やったー!! 多分、戻れたんだ!! 表の世界に!! ここには俺の家があるはずだから! 帰れるんだ!! 早速、妹を呼びに……あれ?」
住宅街の通行人たちは何故か全て真っ黒な影だった……。
異様な雰囲気が包み込んでいて、本当にここは虎倉街なのかと俺は思った。
周囲の生活の音が木霊して、自動車も影が運転している。
自動車のクラクション、チャイムの音、「行ってきまーす」とかの日常会話。
音だけは、それぞれのいつもの喧騒が聞こえてくる。
だけど、全て影たちによるものだった。
ここでは、影たちが普通に生活をしているんだ。
「な……なんだってんだ! ここも影の世界なのか?!」
俺は暴走する不安を、一旦立ち止まらせた。
ここは表の世界のはずだ。
そう、俺たちの世界だ。
だけど、辺りは影たちが生活をしていて、普通の人が一人もいない。
「と、とりあえずはだなあー。近所をもっと調べてみようか……」




