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いのちの詩(仮題)

水底の詩

作者: 浮き雲

あらすじに書いたとおり、すでに投稿した詩の元の詩です。

個人的には、こちらのほうが気に入っています。同じ主題で、感情を乗せようとすると口語文のほうがエネルギッシュな気がします。もっとも、テーマ自体にエネルギーがないので、その差は小さいのですが。

前にも書いたように「水底の詩」は、梅原猛氏の「水底の歌~柿本人麻呂論」から拝借させいただいています。詩の内容的なものは、あまり関係ありません。

水底から水面を見上げるように、世の中の動きをみているような、そういう気分で書いた詩になります。




日常の景色が、ゆらゆらと流れていきます


いま、誰かが笑い


さっき、誰かが泣いていました


わたしは水の底から、それを眺めています


喜びも、悲しみも


それが届かなければ、たいした違いはないのですね



そう思ってもいいですか





水の底は澄んでいます


動かなければ、光も差します


だからこうして、煌く水面を眺めているのです


全てを濁らせ、あの場所を目指すのが哀しいから


こうして、膝を抱えたまま


わたしは、水の底で歌います



それは、少し哀しい歌です





その調は歪んでいます


それが屈折の悪戯か、伝播の不可思議か


それとも、歌うわたしが歪んでいるのか


なにもかも、解りませんが


口ずさむ歌は、いくつもの泡となって


ふつふつと湧きあがり、水面で弾けて消えてゆきました



その調は、もう、この耳にも届きません





それだけのことなのです


ただ、それだけのことなのです


水の中を泳ぐものも、水面(みなも)を覗くものも、誰も気づきません


気づくほどのことでもありません


水底に()むものの歌は


何処へも届かず


ただ、小さな丸い泡になって


すぐに弾けて、消えました



それだけのことなのです


そう、それだけのことなのです





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