愛されたい…
掲載日:2021/05/15
行方知れずの未来
目を閉じた5時間
とっくに過ぎた春の別れ
まぶしい朝の光がつたえに来る
冷たい白い冬
閉ざされたままの黒い柩
春さえも迎えられてゆく
空と海の境界線の奥で
夏が生まれる
多くを奪った多くを与えた
人の夢
広大な原野
まだそこには目覚めることを知らぬ獣たちの意識の流れ
大陸と海洋の地球自身が生きる宇宙への爆発
ただひたすらに星であった
秋は未知なる夢
誰も今さら感じえぬ幻想
忘れ去られた存在
氷の世界でもなく炎の世界でもなく
人の感情を模した季節
春と秋 夏と冬
恋びとなのか
孤独なのか
古びたコートの背中に話しかける
雨がみえる
雲がみえる
近代の文明
お洋服も着物も着せてほしい
繰り返し生まれる赤子
祝福されていいんだよ
どんよりと曇る空も
すべて忘れ去る快晴も
愛されたいと願った人の想いが地球を取り巻く
それまでは
むき出しだった地球
獣たちの生まれる前
生命誕生以前
ただの氷と炎
塊だった
ふたつしか知らなかった
鉱物だった
かたまっていた
めにみえぬ光を中心に溶かして
いつ生まれたとも知らなかった
いつまでも知らなかった




